私は私。自分らしく生きよう! |
************* The Story of Ferdinand マンロー・リーフ (Munro Leaf)/文 ロバート・ローソン (Robert Lawson)/絵 光吉夏弥/訳 岩波書店 1998.11.25 ************* |
*表紙の画像は、出版社の許可を得て使用しています。
ここはスペイン、闘牛の国。牧場の牛たちは、みなマドリードの闘牛場で華々し く戦うことを夢みています……フェルジナンドを除いては。この牛は、元気に跳ね
回る仲間から離れ、いつもひとりでコルクの木陰にすわっています。優しい牛で、花を愛でていれば幸せなのでした。そんな息子を、おかあさんはちょっぴり心配し
ながらも、好きなようにさせておいてあげました。ある日のことです。闘牛にだす 牛の品定めに、牧場に男たちがやってきました。牛たちはわれこそはと、暴れん坊
ぶりを見せつけます。もちろんフェルジナンドはそんなさわぎにも知らん顔。とこ ろが、思わぬアクシデントが起きて、フェルジナンドが闘牛にでることになってし
まったのです。フェルジナンドの運命やいかに? ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ 【作者】Munro Leaf(マンロー・リーフ)アメリカ、ボルチモア生まれ。メリーラ
ンド大学から、ハーバード大学院へと進んだ後編集者となる。本作品は編集長時代
に、親友のローソンのために書いたもの。他に、絵も自分で手がけた作品、『おっ
とあぶない』(渡辺茂男訳/学習研究社)や『みんなの世界』(光吉夏弥訳/岩波
書店)などがある。 |
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************* ダイアナ・コールス (Diana Coles)/作 ロス・アスクィス (Ros Asquith)/絵 グループ・ウィメンズ・プレイス/訳 学陽書房 ************* |
*表紙の画像は、出版社の許可を得て使用しています。
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お姫様といえば、美人で従順を最大の武器にして、王子様に幸せにしてもらうのが常だった。でも、この本に出てくるアリーテ姫は違う。自分の足で歩き、人生を切り開いていくお姫様なのだ。アリーテ姫は本が大好きで、豊富な知識を持っていた。だから、王子様の話に、だた相槌をうつなんてことは到底出来ない。「この美しい花は△△から来たのですよ。」と物知り顔で言われると「この花の名前は○○で、実は××という国が原産地です。」などと、ついつい本当の事を教えたくなってしまう。姫が賢いという噂は日に日に広まり始め「女が賢いのは悪しき事、姫の賢さが方々に知れ渡る前に結婚相手を」と王様は焦るばかり。そんな時、一人の魔法使いボルックスが、宝のいっぱい詰まった小箱と共に「賢い姫を自分の嫁に」と王様の前に現れる。何より宝石に目のない王様は、姫を差し出してしまった。賢さを確かめるための3つの難問を姫が解けなければ、殺してもよいという条件までをものんで。実はこのボルックス、将来姫に殺されると占い師に予言されていたために、そうなる前に姫を……と命を狙っていたのだ。 ボルックスとその手下が、どうにかして姫を落としいれようと、四苦八苦しながら繰り出した3つの難問を、姫が事も無げに解決していってしまう様は痛快だ。例えば、森の奥深くにある「永遠に減らない水」を手に入れてくるという第一の難問。数千匹のヘビに囲まれている井戸には、勇者さえ容易に近づけない。アリーテ姫も当然失敗するだろうと、高をくくりほくそえむボルックス達だったが、アリーテ姫は、彼女らしい方法でいとも簡単に水を汲んできてしまう。 それぞれの難問の解決の仕方も楽しいけれど、彼女のもっとも素敵なところは魔法の使い方。その魔法というのは、彼女の身を心配した友人の魔女から与えられた、たった3回だけ願いを叶えられるというもの。その魔法をアリーテ姫は、難問を解決するためや逃げ出すためには使わなかった。ボルックスの手によって閉じ込められてしまった、何もない退屈な地下室での時間を有効に使うため、そして今ある生活を充実させるために魔法を使ったのだ。 この作品はジェンダー・フリー*の入門書のように扱われることが多いため、評価も賛否両論である。実際、ジェンダーを意識しすぎている部分があることも否めない。けれども、アリーテ姫の現実から逃げることのない姿勢、どんな状況においても、より良く楽しく生きようとする姿勢に、この本の別の価値があることにも気づいて欲しい。 なお、当作品は1992年に同出版社から絵本版も出版されている。またアニメ映画化もされ、2002年夏より上映される予定。 *ジェンダー・フリー 性別にこだわらず、とらわれずに行動すること、男らしさ、女らしさにしばられず、自分らしく生きること。 ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ 【作者】 Diana Coles (ダイアナ・コールス)イギリス、ロンドン北部在住。教師をする傍らこの作品を手がけた。一人息子を育てるシングルマザー。 西薗房枝 |
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