5.Aug.1999 NO.44 Sincerely やまねこの絵本箱 by よしいちよこ
『ひみつのパーティーはじまるよ!』 リンゼイ・キャンプ作 トニー・ロス絵 吉井知代子訳 文溪堂 幼い頃、二段ベッドで寝ていました。兄が上の段で、私が下の段です。寝る時間になると、母が私の横に座って、お話をしてくれました。話の内容はいろいろで、本を読んでくれるときもあれば、まったくの創作のときもありました。創作のときは、話の続きを兄と私に交互に語らせます。おかげで、突拍子もないような展開の話になり、ますます頭がさえてきました。それでも、母は適当なところできりあげ、「おやすみ」というと、部屋の電気を消してドアを閉めました。 おもしろいお話で笑った後、そうそう簡単に眠れるものではありません。兄がベッドの階段をおりてきます。そして、二人で、そっとドアを開け、廊下に出ました。廊下の先のドアの隙間から明かりがもれています。足音をたてないように歩いていき、そのドアを細くあけて、父と母のようすをのぞいたものです。もう私は笑いたくて、笑いたくて仕方がありませんでしたが、声を出さないように必死でこらえました。きっと、父も母ものぞかれていることに気づいていたとは思いますが。
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※本の表紙は、出版社の許可を得て使用しています。
[やまねこの絵本箱]
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