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※こちらは「情報編」です。「書評編」もお見逃しなく!!
児童文学翻訳学習者による、児童文学翻訳学習者のための、
M E N U |
出版社研究 第8回 |
―― あすなろ書房 ――
出版社研究第8回は、絵本『木を植えた男』などでおなじみの「あすなろ書房」。最近ではヤングアダルト向けの翻訳読み物や、名作の復刊にも力を入れている。今回は東京・早稲田のオフィスを訪ね、社長兼編集長の山浦真一氏にお話をうかがった。 |
★会社概要 〜家庭教育書から多彩な翻訳児童書まで〜
あすなろ書房の創業者は、山浦真一氏の父、山浦常克氏。日本で初めての児童書専門店を開いた後、編集者として出版社に入社し、1961年に独立した。『母と子の20分間読書』(椋鳩十著)の出版で実質的なスタートを切り、その後は「お母さんが賢くならなければ、子どもの幸せはありえない」という信念から、『私の育てた三人の子』(羽仁説子著)や『親でなければできない教育』(品川孝子著)などの家庭教育書と、日本の創作読み物や絵本を出版してきた。
「若いうちから責任ある仕事を」という創業者の意向から、1989年、当時31歳の山浦真一氏(以下、山浦氏)が会社を引き継ぐ。そのほぼ同時期に、山浦氏は電機メーカーに勤める友人から、「こちらでバックというアニメーション作家の作品をビデオ化するから、そちらで絵本を同時発売してくれないか」という誘いを受けた。そのときに作ったのが、『クラック!』(フレデリック・バック作/山下明生訳)という絵本。これが翻訳書を出していくきっかけとなった。2年後には、バックの次作『木を植えた男』(ジャン・ジオノ文/フレデリック・バック絵/寺岡襄訳)を出版。これは今も版を重ねるロングセラーとなっている。
1993年には翻訳読み物『ぼくが絵本作家になったわけ』(ビル・ピート作/ゆあさふみえ訳)を出した。以後、絵本と並行して、『ナゲキバト』(ラリー・バークダル作/片岡しのぶ訳)や『種をまく人』(ポール・フライシュマン作/片岡しのぶ訳)など、読み物の点数を増やしていく。その流れの中で、本を紹介してくれるエージェントや訳者と信頼関係を多数築いてきた。それが今の実績につながり、毎月ほぼ1冊の割合で翻訳書の新刊を出すまでとなった。
★出版傾向 〜長く読み継がれる本を目指して〜 編集部のスタッフが少ないこともあり、本づくりの半分ほどは社外スタッフの助けを借りている。翻訳書の選定に関しては、信頼できる翻訳者やフリーの編集者に原書を読んでもらい、意見を求めることが少なくない。原書は、エージェントから紹介してもらったり、山浦氏が自ら海外のブックフェアやカタログで探したりしている。本選びの基準は、「小学6年生と幼稚園児になる自分の娘たちが読んで喜びそうな本かどうか、またはふたりに読んでほしい本かどうか」、「長く読み継がれていくような作品かどうか」の2点。そのためか、ラインアップは多彩だ。ここにあすなろ書房の翻訳書を、ほんの一部だがご紹介する。 |
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最近、あすなろ書房が特に力を入れているのが「復刊」だ。さまざまな事情で品切れ状態となっている名作を掘り起こし、新訳をつけ、あらたに出版している。2000年5月下旬には、『アウトサイダーズ』(S・E・ヒントン作/唐沢則幸訳)と『スチュアートの大ぼうけん』(E・B・ホワイト作/さくまゆみこ訳)をたてつづけに出した。他にもすでに復刊予定の作品がいくつかある。これからもロングセラーを目指して、今の時代にも通用する作品を積極的に探していく意気込みだ。 最も思い入れのある本として山浦氏が挙げたのは、『あなたがもし奴隷だったら・・・』(ジュリアス・レスター文/ロッド・ブラウン絵/片岡しのぶ訳)。「娘たちにもぜひ知ってほしかった」と語るこの作品は、アフリカの黒人たちが、奴隷船の劣悪な条件のもと、アメリカに運ばれ、南北戦争後に解放されるまでを描いた絵本。優れた児童文学作品として、先日、第47回産経児童出版文化賞大賞を受賞した。「人間としてどう生きたらいいか。宗教とはなにか。“人間”を考えていくうえでのいろんな要素が、この作品には入っています。いろんな価値観や考え方を、児童書を通して声高ではなく、淡々と語りかけていけたらと考えています」(山浦氏) |
【訳者に求めたいこと】 「求める」というほどのことではないのですが、しいていえば、こちらのスタンスを知っていただいたうえで、お互いに気持ちよく仕事をしたいということですね。訳者だけでなく、フリー編集者、ブックデザイナー、画家といった、本づくりにかかわる人たちと、率直に話し合える信頼関係を築き、前向きに、気持ちよく仕事をする。そして、売るための工夫や努力を精一杯する、というのがうちの方針です。翻訳に関しては、訳者の領域を侵さないように注意しています。つまり、こちらはあくまで「提案」するだけで、最終的には訳者の判断に任せるということです。訳文の著作権は訳者のものですから。お互いに信頼関係を築いて、よりよいものを作り上げていきたいですね。(山浦氏) |
★今後の出版予定
6月 | 『金鉱町のルーシー』 | カレン・クシュマン作/柳井薫訳 | (読み物) |
7月 | 『ローワンと魔法の地図』 | エミリー・ロッダ作/さくまゆみこ訳 | (読み物) |
8月 | 『トビアと天使』 | スザンナ・タマーロ作/高畠恵美子訳 | (読み物) |
『ぞうのさんすう』 | ヘルメ・ハイネ作/いとうひろし訳 | (絵本) |
『金鉱町のルーシー』は、ニューベリー賞受賞作『アリスの見習い物語』(カレン・クシュマン作/柳井薫訳/中村悦子絵/あすなろ書房)の作家による作品。『ローワンと魔法の地図』は、オーストラリア児童文学賞受賞作。他にも、E・B・ホワイトの復刊作品や、故バーバラ・クーニーの最後の絵本、ドイツの作家による長編ファンタジーなど、続々刊行の予定だ。
株式会社あすなろ書房 住 所 〒162-0041 東京都新宿区早稲田鶴巻町551-4 |
※参考:やまねこ翻訳クラブ作成 あすなろ書房翻訳作品リスト
(取材・文 田中亜希子)
出版社研究(あすなろ書房) 「バベル絵本翻訳コンテスト特別講義」レポート コンテスト情報 展示会情報 セミナー・講演会情報 お菓子の旅(マーマレード) MENU |
特別企画 |
―― 「バベル絵本翻訳コンテスト特別講義」レポート ――
去る5月21日、東京の有明にて、バベル・プレス主催の「絵本翻訳コンテスト特別講義」が催された。絵本翻訳コンテストは、同社が月刊『翻訳の世界(現:eとらんす)』を通じて実施しているもので、今回で8回目になる。特別講義はコンテストの開催記念として、表彰式をかねて行われた。以下に、コンテストの概要と講義当日の模様を紹介する。 |
★これまでのコンテストの流れ 〜第1回〜第7回までを振り返って〜
第1回の課題作が発表されたのは『翻訳の世界』93年7月号。同誌が大きく誌面刷新したころで、コンテストにも「リニューアル記念」と銘打たれていた。これが大きな反響を呼び、以来同誌では名物コンテストのひとつになった。課題発表号では、毎回、絵本や子どもの本関連の特集が組まれるのも話題を呼んでいる。
出題形式にもさまざまな変遷があり、一般部門と学生部門に分かれての応募や、課題作が2作品という場合もあった。また、課題箇所が部分訳か全訳かも回によって異なるが、現在、課題は1作品、部門分けはなく、部分訳となるのが通例である。
これまでの課題作の傾向をみると、第5回までは、ネズミやゾウなど動物を主人公としたかわいらしい雰囲気のものが続いていたが、第6回の"The Ghost of Nicholas Greebe"ではガラリとイメージを変えた。以降、課題作はバラエティにとんだものとなっている。
★第8回課題作について 〜なまけ者がスターになるお話 "Pierre's Dream"〜
第8回の課題作は"Pierre's Dream"(Jennifer Armstrong作、Susan Gaber絵)。いつも居眠りばかりしている村のなまけ者が、1日にしてサーカスの大スターになってしまうお話だ。課題箇所は、主人公のピエールがあっと驚く芸当を次から次へと披露する、作品の山場となる部分。サーカスの臨場感をどう表わすかが難しいところだが、訳しがいのある場面でもあった。『翻訳の世界』5月号での発表によると、第8回コンテストの応募総数は803編。受賞者は以下の方々。
【金の歌賞(最優秀賞)】 | 大谷真弓 |
【銀の調べ賞(優秀賞)】 | 森内寿美子、森久里子 |
【努 力 賞】 | 大間知知子、亀井千雅、川崎永子、神田浩美 |
【敢 闘 賞】 | 加藤恵子 |
【佳 作】 | 岡田まゆみ、小林淳子、近藤美陽子、中村由美子、寄宗千恵、渡辺素子 |
(敬称略) |
★会場の様子と表彰式 〜参加者の拍手に包まれて〜
コンテスト審査員による「特別講義」は、第6回から実施されている。今回は、移転したばかりのバベル・プレスのオフィスがある、有明のTFTビルで行われた。最寄り駅は、ゆりかもめの「国際展示場正門」駅。当日は、この国際展示場(東京ビッグサイト)で大きな催しが行われていたらしく、駅は若者たちでごったがえしていた。
だが、会場のほうはうってかわって落ち着いた雰囲気。関係者を除いて女性ばかり、約50名の参加者が、審査員であり翻訳家でもある井辻朱美さんと金原瑞人さんの到着を緊張した面持ちで待っていた。
Tシャツにジーンズという若々しい姿の金原さんと、黒を基調としたシックな装いの井辻さんが現れると、さっそく表彰式が始まった。受賞者の名前がひと通り読み上げられたあと、代表として、金の歌賞(最優秀賞)と銀の調べ賞(優秀賞)の受賞者から感想が述べられた。それぞれのコメントからは、率直な驚きや喜び、勉強を続けてきてよかったという思いが伝わってきた。このあと、井辻さんと金原さんから、参加した受賞者全員に賞状が手渡されると、参加者から大きな拍手がおこった。
★講義内容(1) 〜語り手の存在を意識した訳〜
表彰式が終わると、いよいよ特別講義。最初に井辻さんから、「物語の語り手(地の文)の存在を意識して訳してみる」ということについてお話があった。地の文を透明に訳すか(つまり俗に言う「神の視点」から訳すか)、語り手としてキャラクター性を持たせて訳すか、それによって雰囲気がどのぐらい違ってくるかを、訳例を挙げて示された。なるほど、地の文にキャラクターを持たせると、物語が立ち上がってくるのがわかる。「語りの本」ともいわれる絵本においては特に効果的だ。実際、今回入賞した方の訳文は、地の文にキャラクター性があるものが多く、語り手がひとつのキャラクターとして動いていて読みやすい感じがしたとのこと。また、「絵と文のバランスを考えて訳す」必要性についても語られた。絵が具象的か抽象的かなどによって、訳し方も変わってくる。絵を見て、文章を合わせる、あるいは少し引いた立場からとらえるなど、「絵と一緒にデュエット」して訳をつくる必要があるとのことだった。
★講義内容(2) 〜文体や視点を考えて訳そう〜
休憩をはさんで、金原さんが、日本語の小説と英語の小説の違いについてお話しされた。ひとつ目の違いは、会話文と地の文の「文体」。日本語は英語ほど言文一致しておらず、会話文と地の文では使われる言葉が分かれているとのことだった。ふたつ目の違いは、地の文の「視点」。英語の小説の場合、地の文の視点が主人公に寄ったり急に離れたりと、移動することがあるが、日本語の小説の場合は、地の文の視点が動くことはほとんどないという。そのことから、翻訳をするときも、会話文や地の文の「文体」をどうするか、「視点」をどうそろえるかを考えて訳さなければならないと指摘された。最後にコンテストのことに触れて、「応募原稿は全体的に文体が均質化されていて、表現のおもしろさを審査することができなかったのが残念。遊び心をもって文体を考えてみてほしい」とのアドバイスがあった。
★質疑応答 〜参加者からの質問に答えて〜
それぞれの講義のあと、質問の時間が設けられ、「視点をどこに置いて訳したらよいか?」「絵本を訳すときの注意点は?」などの質問が出された。視点については「(映画を撮影する)カメラだと思ってほしい。カメラがどこにあるか決めて訳すこと」、注意点については「ページをめくったところで、どういう言葉で始まるか、耳で聞いてどうかを考えること」など、丁寧な回答があった。最後に、講師のお二人とともに参加者全員で記念撮影。2時間半にわたった特別講義はお開きとなった。
★終わりに 〜次のコンテストに向けて〜
また今年もコンテストの時期が近づいてきた。夏から秋にかけては、バベルのコンテストのほかに、「山形県『遊学館』外国絵本翻訳コンクール」、「いたばし国際絵本翻訳大賞」なども実施される予定だ。絵本の翻訳は難しい。でも言葉を紡ぐのは楽しいものだ。特別講義の参加者たちは、今回の講義の内容をしっかり自分のものにして、また応募しようと思っていることだろう。コンテスト未経験の方も、今年こそトライしてみては?
(レポーター 蒲池由佳/ながさわくにお/宮坂宏美)
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コンテスト/展示会/セミナー・講演会情報 |
―― コンテスト情報 ――
◎「遊学館」外国絵本翻訳コンクール | |
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課 題: |
"Stripe" by Joanne Partis "HOME Before DARK" by Ian Beck |
締 切: | 平成12年10月31日(火)当日消印有効 |
問合せ: |
山形市緑町1-2-36「遊学館」内「外国絵本翻訳コンクール」係 TEL 023-631-2523(山形県立図書館) 625-6411(県生涯学習センター) |
詳 細: | http://www.yugakukan.or.jp/ |
(中野伊都子)
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―― 展示会情報 ――
◎宮城県美術館「オリニの世界から――韓国絵本原画展」 | |
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所在地: | 宮城県仙台市青葉区川内元支倉34−1 |
電 話: | 022-221-2111 |
会 期: | 平成12年6月25日まで |
休館日: | 月曜日(祝日は開館) |
入場料: | 一般300円、大学生・高校生150円、小・中学生70円 |
内 容: | 『マンヒのいえ』(セーラー出版)など、韓国の絵本25作品の原画を200点以上展示。 |
◎伊勢丹美術館「ちひろと世界の絵本画家たち」 | |
所在地: | 東京都新宿区新宿3−14−1 伊勢丹新宿店新館8階 |
電 話: | 03-3352-1111 |
会 期: | 平成12年7月1日から7月30日まで |
休館日: | 会期中無休 |
入場料: | 一般800円、大学生・高校生500円、小・中学生300円 |
内 容: | ちひろ美術館のコレクション18,000点の中から、選りすぐりの作品180点を紹介。 |
◎プラザイースト「瀬田貞二の世界」 | |
所在地: | 埼玉県浦和市中尾1440−8 |
電 話: | 048-875-9933 |
会 期: | 平成12年6月18日から25日まで |
休館日: | 会期中無休 |
入場料: | 無料 |
内 容: | 『指輪物語』『ホビットの冒険』『三びきのやぎのがらがらどん』などの訳者として知られる瀬田貞二氏の展示会。 |
◎大丸ミュージアムKOBE「ブラティスラヴァ世界絵本原画展(BIB)」 | |
所在地: | 神戸市中央区明石町40番地 大丸神戸店 9階 |
電 話: | 078-331-8121 |
会 期: | 平成12年6月15日から6月27日まで |
休館日: | 会期中無休 |
入場料: | 一般700円、大学生・高校生500円、中学生以下無料 |
内 容: | 世界中のブラティスラヴァ賞(BIB賞)歴代受賞作家たちの名作を中心に、日本の受賞作品などあわせて約150点を紹介。 |
(瀬尾友子)
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―― セミナー・講演会情報 ――
◎東京都児童会館・子どもの本の店共催 作家との集い「子どもの本と向きあって半世紀」 | |
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講 師: | 中川李枝子 |
日 時: | 平成12年7月1日(土)14:00〜16:00 |
場 所: |
東京都児童会館 4階講堂 (〒150-0002 東京都渋谷区渋谷1-18-24 TEL 03-3409-6361) |
定 員: | 100名(先着順) |
参加費: | 無料 |
内 容: | 作家の中川李枝子さんが、子どもの頃に夢中になって読んだ本、子どもたちと一緒に楽しんだ本、また自身の作品について語る。 |
申込先: | 子どもの本の店(TEL 03-3400-2723) |
◎本の探偵 赤木かん子講演会「子どもに読んであげたい本」 | |
講 師: | 赤木かん子 |
日 時: | 平成12年7月1日(土)10:30〜12:30 |
場 所: |
山形市立図書館 2階集会室 (〒990-0035 山形市小荷駄町7-12 TEL 023-624-0822) |
定 員: | 50名 |
参加費: | 無料 |
申込先: | 山形市立図書館 |
◎入門・絵本翻訳講座 | |
講 師: | 灰島かり |
日 時: | 平成12年7月1日〜9月30日(全11回) 毎土曜 13:00〜14:30 |
場 所: |
朝日カルチャーセンター・横浜 (〒220-0011 横浜市西区高島2-16-1 ルミネ横浜8階) |
受講料: | 36,300円(入会金5,000円)*消費税別 |
内 容: | 名作絵本を英語と日本語両方で読み比べるとともに、未訳絵本を実際に翻訳して互いに批評しあう。 |
申込先: | 朝日カルチャーセンター・横浜(TEL 045-453-1122) |
(横山和江)
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お菓子の旅 第10回 |
―― マーマレードは“夏みかん”のジャム? ――
〜英国の保存食〜
"Oh, Paddington!" Mrs. Brown looked despairingly at him." Do you have to bring marmalade sandwiches to the theatre?" Michael Bond "A Bear Called Paddington" (1985) Chancellor Press |
「マーマレード」と聞くと、くまのパディントンを思い浮かべる方も多いでしょう。パディントンはマーマレードが大好き。ブラウンさんの家でやっかいになることに決めたのも、「毎朝マーマレードをあげるわよ」という奥さんの一言からでした。
ところで、みなさんはマーマレードが「オレンジ」のジャムだけではないことをご存じでしょうか。マーマレードとは「“柑橘類”のジャムで、果肉と果皮を含むもの」を指します。ですから、グレープフルーツのマーマレードもあれば、夏みかんのマーマレードもあるわけです。
なお、「マーマレード」の語は、フランスでは果実の煮つぶしたものを、スペインではリンゴの煮つぶしたものをいうそうです。語源は、ポルトガル語の「マルメロ」であるといわれています。マルメロは中央アジア原産の香りの強い果物で、ヨーロッパではジャムによく使われます(本誌2000年2月号の「お菓子の旅」参照)。
ジャムはもともと果物や野菜の保存のために作られたもの。イギリスでは、保存食というと、「ジャム」のほかに「プリザーブ」「ゼリー」がポピュラー。今回は、この3つと「チャツネ」について簡単にご説明します。
★ジャム JAM ★プリザーブ PRESERVE ★ゼリー JELLY ★チャツネ CHUTNEY |
※ジャム類の分類の仕方は国や本によって違います。たとえば、日本農林規格(JAS)ではジャム類を「ジャム、ミックスジャム、マーマレード、ゼリー」の4つに分類しています。本誌では、イギリスで一般的と思われる分類の仕方を参考にしました。
今回は、今が旬の「夏みかん」のマーマレードの作り方をご紹介します。
*-* 材料 *-*
【夏みかんのマーマレード】 | |
夏みかん(無農薬か低農薬のもの) | 2個 |
砂糖 | 300g |
レモン汁 | 1/2個分 |
水 | 2カップ |
*-* 作り方 *-*
夏みかんをよく洗って皮をむき、長さ1cmの千切りにする。水をはったボールに千切りにした皮を入れ、2、3時間つけておく。その間、水は2、3度替える。
2個分の実は、それぞれ袋からはずし、ばらしておく。
たっぷりの熱湯に1の皮を入れ、3回ゆでこぼし、そのつど冷水に放す。
ほうろう鍋に3の皮、2の実、水を加え、15〜20分中火から弱火で煮る。砂糖を3度に分けて入れ、レモン汁も加える。あくがでてきたら、まめに取り除く。30分ほど煮詰める。
出来上がったジャムは熱いうちに温めたびんに入れ、密封する。
★参考文献 『くまのパディントン』M・ボンド作 松岡享子訳 福音館書店 |
(田中亜希子/森久里子)
出版社研究(あすなろ書房) 「バベル絵本翻訳コンテスト特別講義」レポート コンテスト情報 展示会情報 セミナー・講演会情報 お菓子の旅(マーマレード) MENU |
やまねこ翻訳クラブ(会員数186名)
やまねこ翻訳クラブは、海外の子どもの本に関する情報交換、翻訳・シノプシス自主勉強会などを行っている児童書専門サークルです。翻訳と子どもの本に興味のある方でしたらどなたでも入会できますので、ぜひお気軽にご参加ください。
―― 開催中! ――
◆ニューベリー賞読破マラソン ◆オランダ児童書読書会 |
●編集後記●
バベルの絵本コン講義に参加するために、初めて「ゆりかもめ」に乗りました。無人運転だし、空中を走っているみたいな感じだし……こわかった。(み)
発 行: | やまねこ翻訳クラブ |
発行人: | 林さかな(やまねこ翻訳クラブ 会長) |
編集人: | 宮坂宏美(やまねこ翻訳クラブ スタッフ) |
企 画: | 河まこ キャトル くるり 小湖 Chicoco どんぐり BUN ベス YUU りり ワラビ MOMO つー さかな こべに みーこ きら Rinko SUGO わんちゅく みるか NON |
協 力: |
@nifty 文芸翻訳フォーラム 小野仙内 ながさわくにお Mkwaju |
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