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やまねこ翻訳クラブ レビュー集

ストライプ


13.Oct.1999 NO.54 Sincerely やまねこの絵本箱 by 林 さかな

ストライプ
デヴィッド・シャノン作 清水奈緒子訳 セーラー出版

 リマ豆という食べ物をご存知でしょうか。ライマビーンとも発音される豆でアオイマメ・ゴモンマメの類の植物とのこと。今回ご紹介します『ストライプ』(デヴィッド・シャノン作 清水奈緒子訳 セーラー出版)はこのリマ豆好きなカミラという少女のお話です。

 絵本の表紙はきれいな原色のストライプ模様(なんと顔から腕から全部!)の少女。カラフルな表紙のあとも、コクのある絵で物語は進行します。

 カミラはあることを我慢してストライプ病にかかってしまいます。ストライプ病はどんどん悪化していき、騒ぎも家族から学校、世間へと広がる一方です。ひどくなるこの病気を治してくれるのは、誰でしょう。

 それは、医者でも科学者でも環境セラピストでもなく……。

「ストライプ」表紙

 どのページも丹念に描き込まれた深い色づかいの絵は、それぞれ額に入れて一枚の絵としても楽しめそうです。特に登場するそれぞれの人物像は何度見ても新たな発見があり見飽きません。また、カミラには申し訳ないのですが、ストライプ病が悪化する様は迫力があり見応えたっぷりです。 私のお気に入りの一枚は、ある女性が登場するページ。物語の展開を知っている今もそのページをめくるのが待ち遠しいほどです。

 もちろん絵ばかりでなく、物語にも引き込まれます。最初はふむふむ考えながら読み、最後は心にストンとおさまります。我が家ではこの絵本、子どもばかりでなく、つれあいも「シンプルでわかりやすくておもしろい」とお気に入りの一冊です。

 さて私自身がくいしんぼうの豆好きなので『ストライプ』を読んで以来、食べたことのないリマ豆にすっかりあこがれてしまいました。アメリカではポピュラーな豆とのことですが、子どもには不人気という話を小耳にはさみました。その真偽はさておき、一冊の絵本から未知の食べ物への興味がむくむくとわいてきています。ぜひぜひ味見したい!

 読書の秋、食欲の秋といわれるこの季節に絵も物語も味わってほしい絵本です。

※本の表紙は、出版社の許可を得て使用しています。


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