04.Nov.1999 NO.57 Sincerely やまねこの絵本箱 by 中村 久里子
このお話のおもしろさは、猫が「かわいいおやゆびさん」と言いながら、確信犯的にいたずらをしているところにあります。この「確信犯的」なところが、猫のにくらしさでもあり、かわいさでもあるのです。猫好きの方なら、この気持ち、きっとわかってくださると思います。しかられるとしゅんとする犬とちがって、あくまでもマイペースをくずさず、自分の欲求に素直な猫。この自由な生き方が、うらやましくもあったりして……。 画家のニコラ・ベイリーは、イギリスでは「猫の絵を描かせたら右に出る者はいない」と言われています。さすが、毛の一本一本までリアルに描きこまれた細密画のような絵には、思わずため息がこぼれるほど。また、微妙に変わるおやゆびさんの表情や、美しいドールハウスのインテリアなど、すみずみまでじっくりと、そして何度でも楽しめます。 現在のわたしの住まいは、狭いマンションの一室。いつか広い家で猫と暮らせる日までは、この絵本をながめて、むふふと笑っていることにします。 |
※本の表紙は、出版社の許可を得て使用しています。
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