Page 32 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 通常モードに戻る ┃ INDEX ┃ ≪前へ │ 次へ≫ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ▼【カ】Millions りり(WYN-1006) 05/7/19(火) 2:01 ┗Re:【カ】Millions Chicoco 05/7/19(火) 23:18 ┗Re:【カ】Millions あんこ(WYN-2063) 05/7/20(水) 10:23 ─────────────────────────────────────── ■題名 : 【カ】Millions ■名前 : りり(WYN-1006) ■日付 : 05/7/19(火) 2:01 -------------------------------------------------------------------------
Millions Frank Cottrell Boyce 受賞作です。 原書はずいぶん前に読み、けっこう気に入ってはいたのですが、やや娯楽性が強い気がして、カーネギーを受賞するようなタイプの本だとは思ってませんでした(って、モーリスのときも書いたような気がしますが)。 邦訳は未読です。 【あらすじと感想など】 英国がいよいよユーロ導入を決めたという架空の設定。通貨切り替えが迫った時期に、ひょんなことから英国ポンドの大金を手に入れた少年ダミアンと兄アンソニーは、ポンド札が廃止になるまでに、あの手この手でひそかにこのお金を使おうとします。友人やまわりの大人たちをどんどん巻き込みながら、滑稽なドタバタ劇がくりひろげられ、事情を知ったダミアンの父も大金に目がくらみ、なんとかユーロへ両替して金持ちになろうとします。札束を狙う何者かの手も伸びてきて、さあ、大変。いったいこの札束はどこから……? 作者フランク・コットレル・ボイスは映画の脚本家として定評があり、 gWelcome To Sarajevo h(『ウェルカム・トゥ・サラエボ』)、 hHilary and Jackie h(『ほんとうのジャクリーヌ・デュ・プレ』)、 h24 hour party people h(『24アワー・パーティ・ピープル』)などの脚本を執筆。本作も、ダニー・ボイル(『トレインスポッティング』『ザ・ビーチ』)を監督に迎えて映画化されました(脚本はもちろん作者自身が担当)。昨年公開されたようです。日本ではこの冬公開予定とのこと。 ダミアンは聖人に夢中の、一風変わった少年。苦行をしたり「隠者の庵」を作ったり、母が亡くなってからというものは、父のいいつけどおり、「いい子」になろうとけなげにがんばっています。ちょっと変な言動をしていることに自分では気づいてません。兄の方はもっと実際的、現実的な子で、「母さんが死んだ」ことでわざと同情をひいて、得をしたりしてますが、それでも心の底では母を恋しがっています。 お金のもついろんな側面、それにおどらされる人間の本性があらわれていて、面白い作品でした。スピード感のある映像的なシーンが多く、ぜひ映画も見てみたいです。皮肉や滑稽な場面の中にまじる、兄弟が亡き母を思う気持ちがあらわれる場面が痛切。クライマックスのシーンでは、ほろりとしてしまいました。 りり |
りりさん わたしも読みました(^^)。(原書読破マラソンで) 読みながら、描写のしかたや物語の展開が、映画的だと思いました。 映画好きなので、わたしは楽しめました。(でも、すごく文学的というわけではないと感じたので、カ賞受賞はないと思った……) 「ユーロ統合まであと17日」と、カウントダウンみたいに期日が迫って行くのが、はらはらして面白いです。あと、ダミアンとアンソニーが、むちゃくちゃなお金の使い方をするところも笑えました。 最後のほう、りりさんと同じく、ほろりとしました。 Chicoco(WYN-1007) |
りりさん、Chicocoさん おもしろそうな本ですね。当地の書店で注文しましたが、入荷は1ヶ月後とのこと。読めるのは8月中旬以降になりそうです。 いま原書マラソン掲示板で、Chicocoさんのツリーを見てきたら、カ賞ショートリスト作を3冊も読んでいらしたんですね。すごい先見の明〜! わたしは今年、この特設掲示板のおかげで初めて候補作を読むことができ、臨場感を味わえました。感謝です。 あんこ |