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※こちらは「情報編」です。「書評編」もお見逃しなく!!
児童文学翻訳学習者による、児童文学翻訳学習者のための、
M E N U |
出版社研究 第10回 |
―― 文溪堂 ――
今年、創業100周年という記念すべき年を迎えた文溪堂。長い歴史を持つ同社は創業の地、岐阜県羽島市に本社を置く。今回は、東京・文京区にある東京本社を訪ね、一般図書の編集・販売部門である図書出版グループのチームチーフ、道家洋さんにお話をうかがった。 |
★会社概要 〜教育を基本に、常に新しいことに取り組む 100年の歴史の幕開けは1900年。初代社長・水谷林之助氏が岐阜県で書籍・教科書の販売を始めたのが第一歩だ。これを基盤に、1923年には2代目社長が学校用品販売業に乗り出す。それから約80年間、文溪堂は一貫して教育の現場に向けた教材・教具を作りつづけてきた。 その一方で、一般向けの出版物を出したいという希望もあった。それが実を結んだのは4代目社長の時。1990年、月刊誌『日本児童文学』の出版をきっかけに、同社は日本の創作絵本や読み物の出版・販売事業を開始。人気シリーズとなった「バムとケロ」絵本の第一弾、『バムとケロのにちようび』(島田ゆか文・絵)、今江祥智ら一流作家の童話に長新太が挿絵をつけたシリーズ「おはなしメリーゴーランド」などを世に送り出した。 1995年、この図書出版グループに転機が訪れた。編集顧問として迎えた金森三千雄氏が、創作中心だった同社のラインナップに翻訳作品を加えたのだ。海外の作品を取り上げることで、同社の出版活動に幅が出た。道家さんは振り返る。「金森氏は何もわからなかった私たちに、翻訳出版のノウハウをゼロから教えてくれました」 ★出版傾向 〜売れ筋は絵本、読み物は翻訳作品が主流 現在の文溪堂の出版物は読み物と比べて絵本の比率が高くなっている。絵本は売れ筋であるため出版点数が多く、ラインナップも多彩なのだ。創作絵本と翻訳絵本はほぼ同じ割合で刊行されている。翻訳作品ではティム・ワーンズ、イアン・ベックの作品を多数出版。また、「絵本・大草原の小さな家」シリーズなどの古典も手がけている。一方、読み物は翻訳作品が多い。既に海外で評価を受けている作品を選んだほうが、リスクが少ないからだ。具体的には、『ダルメシアン』(ドディー・スミス作/熊谷鉱司訳)など、海外で人気があるが日本では知られていない作品を紹介していく「モダン クラシック」シリーズや、テーマ性の高い作品を集めた「翼をひろげて」シリーズなどがある。 |
【こぼれ話――テーマ性の重視】 同社では、死について考える絵本『「死」って、なに?』(ローリー&マーク・ブラウン作/高峰あづさ訳)や、エイズを扱った読み物『イーグルカイト』(ポーラ・フォックス作/村田薫訳)など、比較的重いテーマを取り上げた作品が多い。テーマを打ち出すことで、読者は読みたい本を選びやすくなる。また、「この問題について考えてもらいたい」という、出版する側の教育的配慮がそこにはある。「子どもに向けて出版するという時には、意識的にでも無意識にでも〈教育〉という要素が入ってくると思っています」と語る道家さん。今あたためているテーマは、「日本と近隣諸国の戦後史」。無頓着ではいられない問題なのに、授業でも軽く扱われがちなことを憂慮している。 |
★翻訳作品の選定 〜イメージ通りの作品との出会いをじっくり待つ
テーマ性を重視するという同社の理念から、エージェントに原書を紹介してもらう時には「環境問題」「死」など具体的な題目を提示する。そのため、特に読み物の選定については時間がかかってしまうこともあるそうだ。これという作品に出会うのを待つ、じっくりとした取り組みがよい本を生み出す。
他に、作家からの持ち込みや大使館からの原書の紹介が出版に至った例もあるそうだ。
★訳者の選定 〜新人を積極的に採用
同社は新人を積極的に起用している。主に翻訳学校のフェロー・アカデミーから紹介してもらうケースが多く、下調べなどもきちんとする誠実な取り組みを買っている。
原書の持ち込みは、いい作品、いい企画であれば歓迎する。ただし、「テーマ」を重視するということを頭に入れておいてほしい。
【道家さんから翻訳家志望のみなさんへ】 謙虚な姿勢で編集者と話し合いながら訳を仕上げていけること、自分の文に酔うことなく淡々と訳せること、ただ訳すだけではなく下調べがしっかりしていること。これらができている訳者さんとは仕事がしやすいですね。 |
株式会社文溪堂 図書出版グループ 住所 〒112-8635 文京区大塚3-16-12 電話 (03)5976-1511(代) ホームページ http://www.bunkei.co.jp/ |
(取材・文 大塚典子)
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コンテスト/展示会/セミナー・講演会情報 |
―― コンテスト情報 ――
◎山形県遊学館「第10回外国絵本翻訳コンクール」 | |
---|---|
課 題: |
"Stripe" by Joanne Partis "HOME Before DARK" by Ian Beck |
締 切: | 平成12年10月31日(火)当日消印有効 |
問合せ: |
山形市緑町1-2-36「遊学館」内「外国絵本翻訳コンクール」係 TEL 023-631-2523(山形県立図書館) 625-6411(県生涯学習センター) |
詳 細: | http://www.yugakukan.or.jp/ |
◎板橋区「第7回いたばし国際絵本翻訳大賞」 | |
課 題: |
英語部門 "When Woman Became the Sea" by Susan Strauss, Cristina Acosta (Illustrator) 伊語部門 "ABUK,IL RAGAZZO CHE LIBERAVA I PESCI" by Sandra Sei, Filippo Brunello (Illustrator) |
締 切: |
平成12年11月10日(金)当日消印有効 (参加申し込みは既に締め切られています。) |
問合せ: |
TEL 03-3836-3222(翻訳大賞事務局) 3967-5261(板橋区立中央図書館) |
詳 細: | http://www.city.itabashi.tokyo.jp/TOSYOKAN/ |
◎バベル・プレス「第9回絵本翻訳コンテスト」 | |
課 題: |
"MAD DOG McGRAW" by Myron Uhlberg, Lydia Monks (Illustrator) |
※詳細は、『eとらんす』12月号(平成12年11月3日発売)で発表。 |
(中野伊都子)
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―― 展示会情報 ――
◎和歌山県立近代美術館「東欧絵本の世界展」 | |
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所在地: | 和歌山県和歌山市吹上1-4-14 |
電 話: | 073-436-8690 |
会 期: | 平成12年10月22日まで |
休館日: | 月曜日 |
入場料: | 一般810円、大学・高校生510円、小・中学生310円 |
内 容: | 東欧の絵本界を代表する作家たちの絵本原画展。ウィルコンの『子馬とカバ』、グレイニエツの『お月さまってどんなあじ?』など200点を紹介。 |
◎ブリティッシュカウンシル「イギリスの絵本展」 | |
所在地: |
福岡/福岡県福岡市中央区舞鶴1-1-7 全労済モルティ天神ビル2F 大阪/大阪府大阪市中央区博労町3-5-1 セイコー大阪ビル19F 京都/京都府京都市左京区北白川西町77 |
電 話: |
福岡/092-752-3737 大阪/06-6282-1984 京都/075-791-7151 |
会 期: |
福岡/平成12年10月16日から10月18日まで 大阪/平成12年11月8日から11月11日まで 京都/平成12年11月15日から11月18日まで |
休館日: | 日曜日 |
入場料: | 無料 |
内 容: | 1992年、イギリスで始まった読書推進プロジェクト「ブックスタート」が日本に上陸。これを記念して行われる絵本の展示会。 |
◎大丸ミュージアムKOBE 「ディック・ブルーナの世界展 Miffy―うさこちゃんとなかまたち」 | |
所在地: | 神戸市中央区明石町40番地 大丸神戸店内 |
電 話: | 078-331-8121(大丸神戸店) |
会 期: | 平成12年10月24日まで |
休館日: | なし |
入場料: | 一般800円、大学・高校生600円、中学生以下無料 |
内 容: | 原画約100点、立体絵本、映像、パソコンソフトなどあり。 |
(瀬尾友子)
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―― セミナー・講演会情報 ――
◎文京区立図書館 講演会 | |
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講 師: |
10月27日 小澤俊夫(白百合女子大学教授)「昔話が語る子どもの姿」 10月29日 中村柾子(私立豊川保育園園長)「絵本はともだち」 |
場 所: | 女性センター(東京都文京区本郷4-8-3) |
日 時: |
平成12年10月27日(金)、29日(日) いずれも14:00〜16:00 |
参加費: | 無料 |
定 員: | 各120名(予約なし、先着順) |
問合せ: | 文京区立真砂図書館(TEL 03-3815-6801) |
その他: | 保育あり(2歳〜就学前、20名)。希望者は電話で真砂図書館まで。 |
◎日本イギリス児童文学会研究大会 | |
場 所: | 川村学園女子大学(千葉県我孫子市下ケ戸1133)11号館、3号館 |
日 時: |
平成12年11月4日(土)13:00〜17:00(12:30受付開始) 平成12年11月5日(日)9:30〜16:40(9:15受付開始) |
参加費: | 2日間 500円(会員以外の参加可。申し込み不要) |
内 容: | ランサム、カニグズバーグ、プルマン他、多彩な作家・作品をテーマに20を超える研究発表・講演などを行う。4日には翻訳家の井辻朱美氏も講演。 |
問合せ: | 日本イギリス児童文学会2000年大会事務局 森恵子 TEL 03-5996-8783 |
◎東京子ども図書館 講演会「絵本の歴史 アンドレ・エレ」 | |
講 師: | 島多代(東京子ども図書館評議員、国際児童図書評議会会長) |
場 所: | 東京子ども図書館(〒165-0023 東京都中野区江原町1-19-10) |
日 時: | 平成12年11月4日(土) 14:00〜16:00 |
参加費: | 一般 2,000円 賛助会員 1,500円 |
定 員: | 50名(定員を超えたときは抽選) |
申 込: | 往復はがきに (1)希望する講演・講座名 (2)氏名 (3)住所(郵便番号も) (4)電話番号(昼の連絡先) (5)賛助会員か否かを記入して、東京子ども図書館まで。1人1枚に限る。10月17日(火)締切。 |
内 容: | フランスの近代絵本の黄金時代を開いた画家アンドレ・エレを取り上げる。 |
詳 細: | http://www.litrans.net/maplestreet/tklib/index.htm |
◎広島市こども図書館 児童文化講座「こどものほっぺに、おいしい絵本」 | |
講 師: | 中川千尋(翻訳家、絵本作家) |
場 所: | 広島市こども文化科学館(広島市中区基町5-83)1階 アポロホール |
日 時: | 平成12年11月8日(水)10:00〜12:00(申し込み不要) |
問合せ: |
広島市こども図書館 (〒730-0011 中区基町5-83 TEL 082-221-6755) |
その他: | 託児希望者は、往復はがきに郵便番号、住所、氏名、電話番号、子どもの名前、年齢(対象:1歳6か月以上)を記入の上、広島市こども図書館まで。10月26日締切(当日消印有効)。 |
◎クレヨンハウス 子どもの本の学校「トラをバターにする方法」 | |
講 師: | 富安陽子(児童文学作家) |
場 所: | クレヨンハウス(東京 港区北青山3-8-15 大阪 吹田市江の木町5-3) |
日 時: |
東京 平成12年11月11日 大阪 平成12年11月18日(いずれも土曜) 16:00〜17:30(15:30開場) |
参加費: |
非会員 2,500円(当日の朝11時から販売される当日券を購入) 会員は無料(年会費に含まれる) |
内 容: | (1)トラをバターにする方法、(2)空を飛ぶための心構え、(3)化けるキツネと化けないキツネの見分け方、他。 |
問合せ: | クレヨンハウス(東京 03-3406-6492 大阪 06-6330-8071) |
◎大阪府立国際児童文学館 児童文学講演会「バルト海からのたより〜リトアニアの児童文学〜」 | |
講 師: |
ケスタティス・ウルバ (国際児童文学館客員研究員、ヴィリニュス大学教授) |
通 訳: | 多田昌美(関西大学非常勤講師) |
場 所: |
大阪府立国際児童文学館 (〒565-0826 大阪府吹田市千里万博公園10-6) |
日 時: | 平成12年11月23日(木・祝) 14:00〜16:00 |
参加費: | 1,000円 |
申 込: |
大阪府立国際児童文学館まで。電話、FAX、郵便、電子メール可。 (TEL 06-6876-8800 e-mail info@iiclo.or.jp) |
詳 細: | http://www.iiclo.or.jp/event/special/special.htm |
(中野伊都子)
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お菓子の旅 第12回 |
―― 人気のお菓子の北欧版 ――
(ノルウェー風ワッフル)
『スプーンおばさんのゆかいな旅』 |
ノルウェー児童文学の代表的作品である「スプーンおばさん」シリーズ。突然、ティースプーンほどの大きさになってしまうおばさんが、機転を利かせてピンチを切り抜けていく楽しいお話です。働き者でお料理上手のおばさんが作る、おいしそうな食べ物も魅力のひとつ。シリーズ2作目の『スプーンおばさんのゆかいな旅』では、手作りのワッフルやパンを持って、ご亭主と車でお出かけします。
ワッフルは、もともとベルギーで生まれましたが、今では日本も含め世界中で食べられるようになりました。"waffle" の語源は、ドイツ語から派生した中世オランダ語で「蜂の巣」を意味する "wafel"。フランスのお菓子ゴーフル(gaufre)も同じ語源と言われます。スプーンおばさんの国、ノルウェーでは "vaffle" と言われ、生地にカルダモンとサワークリームを入れるのが特徴。薫り高く、コクのある味です。
*-* ノルウェー風ワッフルの作り方 *-*
材料:ワッフル約20枚分 *ワッフル型の鉄板が必要です*
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★参考文献
ノルウェー大使館ホームページ "Welcome Norway"
"Epicurious Eating"
"Sons of Norway"
"The Norwegian Table"
(森久里子/田中亜希子)
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読者の広場 | ★新企画★ |
―― 海外児童文学や翻訳にまつわるお話をどうぞ! ――
今月から、読者のみなさまの交流コーナー「読者の広場」をはじめることになりました。海外児童文学や翻訳にまつわるお話、また、それに対するご意見、ご感想、ご回答を募集します。 |
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などなど、なんでも結構です。mgzn@yamaneko.org までお気軽にお寄せください。
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やまねこ翻訳クラブ(会員数199名)
やまねこ翻訳クラブは、海外の子どもの本に関する情報交換、翻訳・シノプシス自主勉強会などを行っている児童書専門サークルです。翻訳と子どもの本に興味のある方でしたらどなたでも入会できますので、ぜひお気軽にご参加ください。
出版翻訳のポータルサイトをめざします。
●編集後記●
秋は絵本翻訳コンテストの季節。今年も大きなコンテストが3つ出そろいました。入賞、できれば翻訳家デビューをめざして、がんばりましょう!(み)
発 行: | やまねこ翻訳クラブ |
発行人: | 赤間美和子(やまねこ翻訳クラブ 会長) |
編集人: | 宮坂宏美 (やまねこ翻訳クラブ スタッフ) |
企 画: | 河まこ キャトル きら くるり こべに さかな 小湖 SUGO Chicoco つー どんぐり NON BUN ベス みーこ みるか MOMO YUU りり Rinko ワラビ わんちゅく |
協 力: |
@nifty 文芸翻訳フォーラム 小野仙内 ながさわくにお じゅんこ やまだれ 月彦 |
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