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※こちらは「情報編」です。「書評編」もお見逃しなく!!
児童文学翻訳学習者による、児童文学翻訳学習者のための、
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特別企画 |
本誌では毎月のように海外の児童文学賞の速報を掲載している。未訳の新刊情報を入手するには、海外の書評誌を購読するのが一番だが(本誌2000年3月号情報編、特集記事参照)、本誌の速報記事からも話題の作品や作家の情報がかなり得られる。そこで今回は、これまでに本誌であつかってきた児童文学賞を振り返ってみる。海外で話題になっている作品・作家を押さえておきたい人は、「翻訳と子どもの本に興味がある人」が集うやまねこ翻訳クラブから発信される情報を活用してみよう。
◆1年間に発表される児童文学賞 ~ 全体を整理しよう
まずは、発表時期ごとに主要な児童文学賞をみていこう。
●1月~3月
なんといっても注目すべきは、1月下旬(年によって2月初旬)にアメリカで発表されるニューベリー賞とコールデコット賞。本誌では1999年から両賞の受賞作を、簡単なあらすじと作者紹介をつけて速報している(発表の数日後に本誌号外を発行)。
発表時刻になると、主催する米国図書館協会(ALA)のサイトは混み合ってなかなかつながらないが、やまねこ翻訳クラブの読書室掲示板なら、ほとんどタイムラグなしで、かつ軽快に、受賞作の一覧を見ることができる。例年、多くのやまねこ翻訳クラブ会員がALAサイトに必死でアクセスし、入手した情報を掲示板にアップしてくれるからだ。来年は、発表時刻に読書室掲示板で確認してみてはどうだろう? あるいは、いちはやく受賞作のリストをアップする側にまわるのもいい。読書室掲示板は会員以外の方からの書き込みも歓迎している。
●4月~6月
毎年4月にイタリアで開催されるボローニャ・ブックフェアでは、期間中にボローニャ・ラガッツィ賞が発表される。さまざまな国の画家が受賞対象となるため、編集部では速報記事で作品紹介を書くときの調査が一苦労だ。
5月には、ミステリー作品を対象にしたアガサ賞とMWA賞が、それぞれイギリスとアメリカで発表となる。
6月はボストングローブ・ホーンブック賞だ。受賞の対象となる作品の出版時期は、前年6月からこの5月まで。ニューベリー賞などALAが主催する各賞の対象出版時期と5か月ずれる。つまり、1月から5月に刊行され、受賞作に選ばれた本は、次回のALA各賞に選ばれる可能性もある。新たに登場した作家はチェックしておきたい。
●7月~9月
いよいよ、イギリスでもっとも権威のあるカーネギー賞とケイト・グリーナウェイ賞の発表がある。アメリカのニューベリー賞等と異なり事前に候補作がわかるので、読書室掲示板は、レビューや予想で盛況だ。もちろん、編集部も賞情報の誌面づくりで忙しくなる。
両賞の候補作は、3月頃に40冊前後にしぼられ、5月に各10冊程度が決まる。発表までに時間があるので候補作の読破に挑んでみよう。発表の瞬間が一層楽しみになること請け合いだ。翻訳学習者にとっては、レビュー執筆に挑戦するいい機会にもなるだろう(本誌2003年11月号情報編「レビューを書く〈翻訳学習者編〉」参照)。
●10月~12月
10月にはイギリスのガーディアン賞が発表される。この賞も事前に候補作がわかる。カーネギー賞候補作を読んできた人は引き続き、読んでいなかった人は、ここから、候補作を読んでみるのはどうだろう。2つの賞の候補作を読破できたなら、イギリスで注目される作家の新作を押さえたぞ!という充実感が味わえるはず。
続く11月は全米図書賞(今月号書評編「賞情報1」参照)。受賞作ほか候補に上がった全作品は、2か月後に控えるニューベリー賞に大きく関係してくる。今からこれらの作品を読んでおけば、年明けから盛り上がる読書室掲示板での“ニューベリー賞下馬評ツリー”に参加できる。
以上、駆け足の紹介となったが、本誌では、ここに挙げていない賞の速報も掲載している。月ごとの詳しい情報は、こちら(↓)を参照してほしい。
http://www.yamaneko.org/bookdb/award/calendar.htm
◆賞の由来も知っておこう ~ 関連知識は将来きっと役にたつ
児童文学賞と発表時期がわかったら、その賞の由来も押さえておきたい。受賞作がどのように選ばれるのか――たとえば選考委員はどんなメンバーで構成されているか、など、特に翻訳学習者なら、知っていて損になることはない。
本誌の「世界の児童文学賞」コーナーは今月号で26回を数える。そのすべての記事がやまねこ翻訳クラブのサイトで閲覧可能だ。それぞれの賞ができるまでの経緯が簡潔にまとめられ、受賞者や受賞作の紹介ほか、主催者サイトへのリンクもはられている。英米以外にも、スウェーデン、スペイン、台湾などの賞も紹介されている。
◆他にも児童文学賞はいっぱい ~ やまねこ翻訳クラブを大いに活用しよう
英語圏の情報が多くなっているが、やまねこ翻訳クラブの読書室掲示板やホームページの速報(海外児童文学賞)コーナーには、英語圏以外の賞情報も掲載されている。興味のある方は、定期的にサイトのチェックをしてほしい。
世界には児童書を対象にした賞がたくさんある。全体からみれば、本誌があつかっているのはごく一部。もしも読者のみなさんが、速報(海外児童文学賞)コーナーにない情報をみつけたときは、読書室掲示板にご一報いただけるとうれしい。
◆やまねこ賞 ~ 1年を振り返りながら投票
11月初旬、やまねこ翻訳クラブ主催“やまねこ賞”の投票がはじまる。翻訳作品を対象とした読み物部門/絵本部門のほかに、オールタイム部門と未訳部門がある(今月号書評編「特集」参照)。未訳部門は文字どおり、まだ翻訳されていない海外の作品のなかからベストを選ぼうというもの。これからの1年、本誌とともに受賞作、候補作をチェックし、興味のある作品を読んだら、来年はぜひ未訳部門に投票しよう。結果を見るだけでも楽しいが、投票に参加するともっとおもしろい。なお、投票はやまねこ翻訳クラブ会員に限定されるが、会員以外の方も投票結果をみることができる。
(河原まこ)
【参考】 ◇特集記事「海外の児童書の新刊情報を手に入れよう!」(本誌2000年3月号情報編) |
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展示会/セミナー・講演会情報 |
―― 展示会情報 ――
◎国際子ども図書館「国際アンデルセン賞受賞作家・画家展」 | |
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所在地: | 東京都台東区上野公園12-49 |
電 話: | 03-3827-2053 |
会 期: | 平成16年1月11日(日)まで |
休館日: | 月曜日、祝日、12月28日から1月4日まで |
入館料: | 無料 |
内 容: | 国際児童図書評議会(IBBY)によって偶数年に贈られるアンデルセン賞の全受賞者の著書と原画を、国際子ども図書館所蔵の翻訳資料とともに紹介。 |
参 考: | http://www.kodomo.go.jp/cal/tenji.html |
◎うらわ美術館「赤羽夕景―高田誠・石井桃子の家路より―」 | |
所在地: | 埼玉県さいたま市浦和区仲町2-5-1 浦和センチュリーシティ3階 |
電 話: | 048-827-3215 |
会 期: | 平成16年2月22日(日)まで |
休館日: | 月曜日(祝日の場合は翌日)、12月13日から22日まで、12月27日から1月4日まで |
入館料: | 無料 |
内 容: | 洋画家高田誠の風景画と、児童文学者石井桃子の『幼ものがたり』や『ノンちゃん雲に乗る』などの作品を紹介し、共に浦和に生まれ育ったふたりの、故郷や都心へ通う際に見た赤羽の風景への思いに焦点を当てる。 |
参 考: | http://www.uam.urawa.saitama.jp/tenran.htm |
◎子どもの本のみせ ナルニア国「ナルニア国のクリスマス」 | |
所在地: | 東京都中央区銀座4-5-1 教文館8階 |
電 話: | 03-3563-0730 |
会 期: | 平成15年12月25日(木)まで(無休) |
入館料: | 無料 |
内 容: | 親から子へ受け継がれてきたクリスマスのロングセラー本を紹介。クリスマスカードやカレンダーの販売も行う。ギャラリーでは刺繍芸術家ベリンダ・ダウンズの作品も展示する。 |
参 考: | http://www.kyobunkwan.co.jp/ |
上記以外のものもやまねこ翻訳クラブのホームページで随時紹介しています。
「速報(イベント情報)」をご覧ください。 http://www.yamaneko.org/event/
(笹山裕子/清水陽子)
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―― セミナー・講演会情報 ――
◎クレヨンハウス子どもの本の学校「わたしの中の子どもへ わたしの中の大人へ」 | |
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講 師: | 落合恵子(作家) |
場 所: |
クレヨンハウス東京店(東京都港区北青山3-8-15) 劇団ひまわりビル(大阪府吹田市江坂町1-18-2) |
日 時: | 東京 平成16年1月17日(土) 大阪1月10日(土)ともに16:00~17:30 |
参加費: | 2500円(会員は無料) |
定 員: | 東京 120名 大阪 120名 |
申込み: | 東京店 TEL(03-3406-6492) 大阪店 TEL(06-6330-8071) |
その他: | 非会員は、当日の朝11時から子どもの本売場にて販売される当日券を購入。会員のみで定員に達した場合は立ち見になることもあり。 |
詳 細: | http://www.crayonhouse.co.jp/kodomo-kouen.htm |
◎NPO法人時をつむぐ会 松居直講演会「絵本の時をつむぐ」 | |
講 師: | 松居直(児童文学家) |
場 所: | 高崎シティギャラリーコアホール(群馬県高崎市高松町35-1) |
日 時: | 平成16年1月25日(土) 13:30~15:00 |
参加費: | 1000円 |
定 員: | 300名 |
申込み: | E-mail(honnoie@olive.ocn.ne.jp)/FAX(027-352-4613)で申し込む。 |
詳 細: | http://www3.ocn.ne.jp/~honnoie/bunsyou/tokitumumain.htm |
◎JBBY全国リレー講演会「本は世界を結ぶ」 | |
協 力: | 子どもゆめ基金(国立オリンピック記念青少年総合センター) |
日 程: |
平成16年1月~2月分
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参加費: | 無料 |
問合せ: | JBBY事務局 TEL(03-5228-0051)/FAX(03-5228-0053) |
11月号情報編「梅花女子大学・大学院児童文学会 秋季学術講演会」の記事中、講師の方のお名前を誤って記載いたしました。正しくは「松居直」さんです。松居さんをはじめ、皆さまにご迷惑をおかけしましたことをお詫びし、訂正いたします。
(竹内みどり/吉村有加)
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世界の児童文学賞 第26回 |
―― 全米図書賞児童書部門(アメリカ) ――
~アメリカにおける国民的文学賞の児童書部門~
名 称 : | 全米図書賞児童書部門(The National Book Award for Young People's Literature) |
対 象 : | 米国籍を持つ作家による児童書 |
創 設 : | 1969年 |
主 催 : | 全米図書財団(NBF: The National Book Foundation) |
発 表 : | 毎年11月(候補作の発表は10月) |
関連サイト: | http://www.nationalbook.org/ |
全米図書賞は、1950年にアメリカ出版社協議会 (The American Book Publishers' Council)(*)他の団体により創設された。アメリカ人作家による優れた文学作品の普及と、読書人口の増加が目的である。当初は一般書のみが対象だったが、1969年に児童書 (Children's Literature) 部門が加わった。その後、ペーパーバック、絵本、ノンフィクションと、次々に部門が増えたが、1984年、賞全体の見直しで、児童書関連の部門はすべて廃止。しかし、1989年に主催団体となった NBF により、1996年、児童書 (Young People's Literature) 部門があらたに設けられた。以来、ジャンルを問わずもっとも優れた児童書に対して贈られている。ちなみに、1980年から1983年までは、賞の名称が米国図書賞 (The American Book Awards) だった。
選考の対象となるのは、前年12月1日から本年11月末日までに米国で出版された作品で、2001年からは紙媒体の出版物だけでなく e-Book の形式で発表された作品についても考慮されるようになった。審査は NBF に任命された5名によって行われ、文学的価値が重視される。
(*)現在の団体名は、アメリカ出版社協会 (The Association of American Publishers)。
◆2003年の受賞者(2003年11月19日発表) |
◇過去の主な受賞者
○Han Nolan(ハン・ノラン) 1997年、"Dancing on the Edge" で受賞。前1996年には "Send Me Down a Miracle" で候補に挙げられている。邦訳はまだない。 ○Kimberly Willis Holt(キンバリー・ウィリス・ホルト) 1999年、"When Zachary Beaver Came to Town"(『ザッカリー・ビーヴァーが町に来た日』河野万里子訳/白水社)で受賞。大人向けの短編発表などを含め、作家活動を始めてから6年目でのスピード受賞だった。 (参考サイト:http://www.kimberlyholt.com/→http://www.kimberlyholt.com/2004.09修正) |
【参考】 |
(須田直美)
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読者の広場 |
―― 海外児童文学や翻訳にまつわるお話をどうぞ! ――
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編集人: | 林さかな/西薗房江(やまねこ翻訳クラブ スタッフ) |
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