メニュー読書室レビュー集キッズBOOKカフェ洋書でブレイク オンライン書店

洋書でブレイク

ニューヨークからコブタのスター誕生!

 真っ白な表紙に赤いドレスをきたオリビアがおすまししている。
 このオリビアに一目惚れした。

 雑誌「ニューヨーカー」のアーティスト、イアン・ファルコナーの絵本デビュー作、Olivia はとにかくキュートな1冊。
 オリビアは40曲ものレパートリーをおおきな声で歌い、まねっこ弟イアンを暗がりに閉じこめる。雨の日には美術鑑賞。ドレスアップも大好きで、まわりの人を疲れさすのも大得意。眠る前には母親と絵本を何冊読むかで押し問答をする。
 私が、オリビアの得意わざで一番好きなのは、砂の城づくり。その腕前はぜひとも絵本で確かめてほしい。すごい腕前なのだ。
 さて、この魅力あふれるオリビアは人間ではなくコブタ。木炭で描かれたかわいいオリビアのエネルギーはたっぷり。それを、ファルコナーのシンプルな絵と簡潔な文章でセンスよい1冊の絵本に仕上げている。
 3年前、ファルコナーはこの絵本を最初に持ち込んだエージェントに、絵だけ欲しいと言われ断っている。エージェントは文章を既存の作家のものと差し替えたかったらしい。しかし、絵のみファルコナーの名前で出版されるのは嫌だった。そして3年後、今のエージェントと出会い Olivia は出版され、翌月には25万部を刷るベストセラーとなる。そして2001年度ニューベリー賞のオナーを受賞。
 アメリカのロングセラー絵本 Eloise とよく比較されるが、確かに絵の色合い、キャラクターの性格に共通するものを感じる。どちらも、主人公の奔放な行動から目が離せない。ファルコナー自身、Eloise の画家ヒラリー・ナイトの長年のファンだったという。絵本の裏表紙には、ナイトからの賛辞も紹介され、それを眺めるオリビアがいる。
 とにかく、ごたくを並べなくてもオリビアの魅力は光っている。眠る夢までもオリビアらしいオリビア。絵本のページをとじるのがさみしくなる。ファルコナーは劇場の舞台や衣装の仕事も手がけており、そちらの仕事が一段落したら Olivia の次作を考えたいという。次はどんなオリビアに会えるだろう。

                                                           

 (林さかな)
Olivia
by Ian Falconer, 2000
(Atheneum $16.00 40pages)

「キッズBOOKカフェ」(月刊『eとらんす』2001年7月号掲載)のホームページ版です。

7月号「やまねこ調査隊」

「洋書でブレイク」もくじ

メニュー読書室レビュー集 キッズBOOKカフェ洋書でブレイク

Copyright (c) 1998-2002 yamaneko honyaku club All rights reserved.