タイトルがながーい絵本。When Sophie Gets Angry ― Really, Really
Angry... 黄色の原色にふちどりされた表紙に大きく
Sophie のおこった顔。青い目は怒りの炎がみえそうなくらいメラメラしている。なにを、そんなにおこってるの?
小さい子どもがいる暮らしでは、しょっちゅう子どものかんしゃくにつきあうことになる。なので、この女の子、Sophie
の表情は私にとっても人ごとではない。Sophie
の怒りはおもちゃの取りあいから始まる。お気に入りのおもちゃで遊んでいたら、妹がやってきて「私の番よ」と横取りしていったのだ。それなのに、お母さんも妹の順番よと加勢する。順番じゃない! まだ私が遊びたいの! と、Sophie
は怒りを爆発。
この絵本を子どもと一緒に読んでいるうちに、ストーリーをすっかり覚えてしまった息子が、自分の言葉で私に読んでくれるようになった。タイトルにもなっている、Sophie
の様子を彼はこんな風に読む。「ソフィーはおこった、ふんとに、ふんとに、おこった!」もちろん、私は「ほんとに、ほんとに」と即興翻訳しながら読んでいるのだが、口のまわらない小さい子どもは「ほんとに」を「ふんとに」としか発音できない。おもちゃの取りあいの悔しさに共感できるのか、息子はこの絵本がとても気に入って、1人本だなから取り出しては「ふんとにおこった!」と何度も読みかえしている。
作者 Molly Bang は、この絵本を描く前に子どもがおこっている絵本を図書館や本屋さんでいろいろ読みくらべたそうだ。しかし、特に女の子がおこって、そしてどうやってその気持ちを静めるかについて描かれているものがないと感じた。確かに、絵本の中では
Sophie の火山が爆発したような怒りを描くだけでなく、その感情をどうやって静めていくかについても語っている。
でも、たまには Sophie のように怒りを爆発させるのも悪くない。子ども、大人にかかわらず、おこった感情とつきあっていかなくてはいけないのだもの。静めるのに特効薬はないけれど、こうして絵本から客観的に怒りをみつめるのも冷静になれる1つの方法かも。
(林 さかな)
When Sophie Gets Angry ― Really, Really
Angry...
by Molly Bang, 1999
(Scholastic $15.95 40 pages)
※邦訳は『ソフィーはとってもおこったの』のタイトルで、評論社より2002年1月頃刊行予定。 |
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