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9月新刊『リサのこわいゆめ』 『ガスパールびょういんへいく』 アン・グッドマン文 ゲオルグ・ハレンスレーベン絵 石津ちひろ訳(ブロンズ新社 本体各1000円) ※またまた起こるか珍騒動?! かわいいだけではない、奥の深い魅力が幅広い読者の心をつかむ。 |
とびきりキュートなカップルが、フランスからやってきた! その名も「リサとガスパール」。ブロンズ新社から刊行中の絵本、「リサ」シリーズ(アン・グットマン文/ゲオルグ・ハレンスレーベン絵/石津ちひろ訳)の主人公たちだ。その魅力や今後の邦訳展開について、同社広報担当の中根伸子さんと、編集担当の高野直子さんにお話をうかがった。 本国フランスでは、1999年の第1作発売以来、2年間で10作以上が出版されているという人気の「リサ」シリーズ。高野さんが、2000年春に原書をひとめ見て気に入り、すぐに版権取得にかかった。人気作なだけに他社との競合もあったが、無事権利を獲得。そして同年9月にはシリーズ第1、2作である『リサひこうきにのる』、『リサとガスパールのクリスマス』を出版、今年4月には第3、4作が続いた。リサは好奇心いっぱいの元気な女の子で、ガスパールはおっとりマイペースの男の子。いぬ? うさぎ? 正体不明だけど、とにかくかわいい。ふたりがあれこれ事件を起こす物語は、おかしくてほのぼのしていながら、どこかシュールな香りも漂う。絵は、しっかりと塗りこまれた油彩画なのに、コミカルで軽やかな印象。当初は若い女性をメインの読者層に想定していたが、読者はがきでは子どもたちの評判も上々とのこと。五味太郎さん、荒井良二さん、今江祥智さんら、本の作り手たちにもファンが多い。 訳者は詩人でもある石津ちひろさん。フランス語に堪能なうえ、ことば遊びの絵本を手がけていることから、リサのテンポのいい「おしゃま感」を引き出してくれるだろうとお願いした。高野さんによると、実際石津さんは、訳しながら「リサ化する」ほど入れこんでいるのだそう。「ひゃー やっちゃった」「わたしってあったまいい!」など、はちゃめちゃながら憎めない、リサのキュートな魅力あふれるセリフがならぶ。 9月、11月にはそれぞれ2作の発売が決定、今後も原書出版のペースに合わせて、定期的に邦訳を出していく予定。絵本界に、久々の「スーパーアイドル」誕生の予感がする。 (森久里子) |
「キッズBOOKカフェ」(月刊『eとらんす』2001年10月号掲載)のホームページ版です。
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