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ウィリアム・スタイグ作の痛快絵本『みにくいシュレック』(おがわえつこ訳/セーラー出版)が、3Dアニメーション映画となってアメリカに登場する。 映画のタイトルはズバリ Shrek。制作を手がけるのは、これまで『アンツ』や『チキンラン』など、珠玉のアニメーション作品を披露してきたドリームワークスだ。 注目すべきは何と言っても豪華な顔ぶれの声優陣。強烈なニオイと個性を放つ主人公シュレックの声には、映画『オースティン・パワーズ』でお下劣パロディを連発し、日本をも席巻したマイク・マイヤーズ。そして、機関銃のようにしゃべりまくるドンキー役は、日本でもお馴染みのコメディ俳優、エディ・マーフィーが担当する。絵本には登場しない美しいヒロイン、プリンセス・フィオナには『チャーリーズ・エンジェル』のキャメロン・ディアス。そして敵役のファークアード卿の声は、アカデミー賞ノミネートの実力派俳優、ジョン・リスゴーが受け持つ。 また映画では、原作とすっかり異なるストーリーが用意されている。孤独を愛するシュレックはひとり沼地に住んでいる。ところがある日突然、昔話に登場する動物たちがシュレックの元に押しかける。完璧主義の独裁者、ファークアード卿に住処を追われたというのだ。「こいつらに沼を占領されたらかなわん」そう感じたシュレックは、ファークアード卿と話をつけるべく城へ向かう。するとそこでは、領内一の勇者を決定する闘技会が行われていた、といった展開だ。 映画のストーリーが原作と異なるからと言って、がっかりしないでほしい。「ありのままの自分を肯定する」という絵本のテーマは、映画にもしっかり引き継がれている。また、各所にちりばめられた童話や映画のパロディが、見る者を大いに笑わせてくれる。まさに、原作の良さを継いだ映画となっているのだ。 さて、アメリカで5月に公開の本作、日本にお目見えするのは12月の予定だ。また、本国では映画をベースにしたコンピュータゲームの発売も決定している。シュレックパワーはどこまで続くのか。今後の展開から目が離せない。 (瀬尾友子) |
「キッズBOOKカフェ」(月刊『eとらんす』2001年6月号掲載)のホームページ版です。
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