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2008年10月号
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  =====★   月 刊  児 童 文 学 翻 訳   ★=====
   =====☆   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  ☆=====

                                No.104
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児童文学翻訳学習者による、児童文学翻訳学習者のための、電子メール版情報誌
http://www.yamaneko.org                         
編集部:mgzn@yamaneko.org     2008年10月15日発行 配信数 2510 無料
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●2008年10月号もくじ●
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◎特別企画:メールマガジン「月刊児童文学翻訳」100号と記念アンケート
◎注目の本(邦訳読み物):『秘密の島のニム』
                    ウェンディー・オルー作/田中亜希子訳
◎注目の本(邦訳読み物):『エマ・ジーン・ラザルス、木から落ちる』
                     ローレン・ターシス作/部谷真奈実訳
◎注目の本(未訳絵本):"The Tear Thief"
            キャロル・アン・ダフィ文/ニコレッタ・チェッコリィ絵
◎賞速報
◎イベント速報
◎世界のお祭り:第14回 感謝祭(アメリカ)
◎読者の広場:
 9月号「新人応援! 読後アンケート」でいただいたご質問にお答えします

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●特別企画●メールマガジン「月刊児童文学翻訳」100号と記念アンケート
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 本誌は読者のみなさまのおかげで、2008年5月に100号を発行することができまし
た。1998年8月の創刊号から約10年。その間、掲載したレビューは400作以上にのぼ
り、賞速報などで紹介した作品は数えきれません。しかし、「注目の本」のレビュー
に関していえば、邦訳で半年、未訳で1年以内に発行された中から選ぶ決まりがある
ため、対象期間外に発行された本は、作品名を紹介する程度でした。これは、「月刊
児童文学翻訳」が児童書翻訳者をめざす人を念頭に置いているため、少しでも新しい
作品に目を通し、レビューを書くことを目的としてきたからです。
 一方、本誌は翻訳学習者や新人翻訳者のみなさんに向けて、先輩翻訳者のインタビ
ューやシノプシスの書き方などの情報も発信してきました。また、今年で第11回を迎
える「やまねこ賞」では、1年間に出版された児童書を対象に投票を行い、優れた作
品を選んでいます。とはいえ、やはり子ども時代から今までの間に読んだ本を対象に、
やまねこ翻訳クラブ会員や読者のみなさまから作品を推薦していただく機会はありま
せんでした。
 翻訳者を目指す人たちは、いったいどのような作品を読んできたのでしょうか?
そんな好奇心から、メルマガ100号記念として、「出版年を問わず、心に残る作品」
を募集することになりました。たくさんの思いを乗せて集まった作品は、シリーズを
含め79作品。この場を借りて、回答を送ってくださったみなさまに、あらためてお礼
を申し上げます。

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       「今、心に残っている翻訳児童文学作品は何ですか」
           ― 100号記念アンケート結果 ―

◆愛すべき主人公と、見知らぬ世界へ

 アンケート全体を通して、多くの心をとらえていたのは、現在より少し前の時代を
背景とした心温まる作品だった。その代表が「大草原の小さな家」シリーズ(ローラ
・インガルス・ワイルダー作)である。150年以上前の北アメリカ、ウィスコンシン
州が舞台で、少女ローラとその家族を中心に、開拓者の生活が描かれている。「子ど
も時代に繰り返し読んだ作品」で、「作中に登場する食べ物に心惹かれた」という声
が多い。異文化との遭遇は外国文学ならではの経験である。
 そして、今年誕生100年を迎えた「赤毛のアン」シリーズ(L・M・モンゴメリ作)
も人気が高かった。「中高生時代、つねにわたしとともにあった」、「わたしたちと
変わらない等身大のアンは、自分の短所に悩みながらも前向きに生きている」。心に
残るキーワードは、どうやら〈わたしとアン〉のようだ。村岡花子さんによる、「プ
リンス・エドワード島や登場人物の暮らしぶりの背景描写は特にすばらしい」と、訳
へのコメントも目立つ。
 同じく、「美しい日本語でありながら、新しさやおかし味のある文体」として忘れ
てならないのが、石井桃子さん訳の「クマのプーさん」シリーズ(A・A・ミルン作)。
「この作品から、原書と翻訳、両方の楽しさを知り翻訳者を志すきっかけとなった」
という方もいた。
 その他、『あしながおじさん』(ジーン・ウェブスター作)、『トムは真夜中の庭
で』(フィリッパ・ピアス作)、「ドリトル先生」シリーズ(ヒュー・ロフティング
作)など、昔から愛され続けてきた名前がいくつもあげられている。どの時代でも、
子どもたちに安心して手渡すことのできる作品といえるだろう。

◆現実から離れた世界への冒険と帰還

 やまねこ翻訳クラブでは、一昨年『大人のファンタジー読本』を出版し、多くのフ
ァンタジー作品を紹介させていただいた。その際、ファンタジーのカテゴリーには実
にさまざまな種類の本が含まれることに驚いたが、今回のアンケートでもたくさんの
ファンタジー作品が寄せられた。その中でも多数の方が名前をあげているのが、「ゲ
ド戦記」シリーズ(アーシュラ・K・ル=グウィン作)である。「子どものころ、全
6巻シリーズの第1巻から第3巻に出合えたのは幸せでした。図書館でふと見かけて
1巻を読みはじめたときの興奮はいまも覚えています。たしか、一気に読んで、気づ
いたら部屋が真っ暗になっていました。残りの3巻を大人になってから読んだのもラ
ッキーだった気がします」読者の子ども時代から大人の時代までを通して訴える、作
品の厚みが伝わってくる。
 装丁も本の大事な要素とわかるのが、『はてしない物語』(ミヒャエル・エンデ作)。
「赤と緑の文字で印刷された本の美しい姿と、ページから立ちのぼる格調高い文学の
香りに、うっとりしました」
 冒険の楽しさ、壮大さに加え、読んだ時の読者を取り巻く思い出も深く作品に関わ
っていることがわかるコメントもあった。「市松模様ってなあに? と、母にたずね
たことや、ガチョウのモルテンの背中に乗って舞い上がり、その市松模様の風景をニ
ルスとともに空から(何度も何度も)眺めた記憶がこみあげてくるのを感じています」
というのは、もちろん『ニルスのふしぎな旅』(セルマ・ラーゲルレーヴ作)。
 読後すぐは心に残らなくても、「時間が経つにつれ忘れられなくなる作品になった」
のが、魔術師の少年と妖霊(悪魔)の物語「バーティミアス」シリーズ(ジョナサン
・ストラウド作)だそうだ。
 最近のファンタジー作品で、特に人気の高い「ライラの冒険」シリーズ(フィリッ
プ・プルマン作)は、多くの方が「大人になって出合い、夢中になった本の代表」と
コメントしている。今後、古典として長く読み継がれる作品になることが想像に難く
ない。
 その他、「ナルニア国物語」シリーズ(C・S・ルイス作)、『妖精王の月』(O
・R・メリング作)など、不思議な世界への旅をいつまでも心に留めている読者がた
くさんいるようだ。

◆心に響くメッセージ

 物語には作者の主張が含まれるが、押しつけがましい作品は好まれないようである。
「決して説教くさくなく、じんと胸に響く」という『豚の死なない日』(ロバート・
ニュートン・ペック作)は、生き方を教えてくれた父の死により、成長していく少年
の姿を描きベストセラーとなった。
 また、父の死で180度境遇が変わるのが、『小公女』(フランシス・ホジソン・バ
ーネット作)。「本好きになったのはこの本のおかげかも」というぐらい何度も読ん
だのは、逆境にあっても自分を見失わない主人公への同調が生まれるからだろうか。
日本で初めて邦訳が紹介されたのは、なんと1893年というロングセラーだ。
 作者への強い共感も送られてきた。『火を喰うものたち』(デイヴィッド・アーモ
ンド作)では、「作者の祈りにも似た反戦のメッセージがこめられた美しい物語に、
ただただ感動。ささやかで平凡な日常を、ファンタジーの世界に、すとんと落とし込
む技はまさにアーモンドマジック」とのコメントが寄せられた。
 意外なことに、やまねこ賞などで日ごろ人気の高いYA作品が少なかったのが、ア
ンケート結果の特徴としてあげられる。その中で、「一気に読み、児童書・YAの分
野でがんばろうと思わせてくれた」というのが、2001年の邦訳出版以来、主人公と同
世代の子どもたちに読み継がれている『スター・ガール』(ジェリー・スピネッリ作)
である。奇抜な格好と行動で人目を引く人気者の少女が、ある事件がきっかけとなり、
急に友達から拒否されてしまう。
 YA作品は10数年前からの出版が多いので、回答者の年代層から考えると、大人に
なってから手にした人が多いようだ。「こんな児童文学があるのか! と、衝撃が走
った」のは、『めざめれば魔女』(マーガレット・マーヒー作)。「本当の意味で児
童書の魅力に触れた最初の1冊」は、『わたしたちの鳴らす鐘』(ロバート・コーミ
ア作)。「再び児童文学を読むきっかけになった1冊」は、『めぐりめぐる月』(シ
ャロン・クリーチ作)。その後、作者と読者の長い旅が始まったに違いない。
 その他、『ブラッカムの爆撃機』(ロバート・ウェストール作)、『レモネードを
作ろう』(ヴァージニア・ユウワー・ウルフ作)、『光草 ―ストラリスコ―』(ロ
ベルト・ピウミーニ作)など、作者の言葉が静かに深く伝わってくる作品が多い。

◆背中を押してくれた本たち

 本との出合いが、その後の生き方に少なからず影響を与えることはよくある。「ム
ーミン」シリーズ(トーベ・ヤンソン作)には、「人生を決定づけた作品です。子ど
ものころにこの作品を読まなかったら、海外児童書に関わることはなかったと思いま
す」との熱い思いが寄せられていた。
 また、多言語との出合いもある。『イスカンダルと伝説の庭園』(ジョアン・マヌ
エル・ジズベルト作)は、「翻訳を志したものの、何をすればいいのか分からなかっ
たころ、やまねこ翻訳クラブの掲示板で紹介され、夢中で読み、その言語の翻訳家を
目指すきっかけとなった」そうだ。
「自分が作品の影響を受けたのか、生まれつきそうなのかは定かではないが、考えと
好みがぴったりな作品」だった述べられていたのが『不思議の国のアリス』(ルイス
・キャロル作)。この方は、何種類もある原書や邦訳を集めているとのこと。〈出合
い〉の瞬間は恋のようだったのだろう。
 影響を受けた作品を語ることができるのは、実にうらやましい。

 誌面の都合上、ここにすべてを紹介できないのは残念だが、やまねこ翻訳クラブの
ウェブサイトに全作品のリストを公開させていただくので、ぜひご覧いただきたい。
持ち込み作品を選ぶ際の参考や、児童書翻訳者を目指す上で読んでおきたい作品とし
て、役立つことと思う。

 http://www.yamaneko.org/mgzn/dtp/2008/10f.htm

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 活字離れを危惧する声が聞かれて久しいですが、最近では、読書のすばらしさが見
直され始めています。アンケート結果が、次の世代へ伝えたい本としても価値のある
リストになったことは、もうひとつの大変うれしい収穫でした。いずれ、1作ずつに
レビューを加え、やまねこ翻訳クラブお勧めの本として、紹介させていただきます。
 読者のみなさまの心にも、アンケートを通して、記憶の底に沈んでいた作品がよみ
がえり、誰かに何かのきっかけを伝えてくださることになれば、二重の喜びです。

※シリーズ作品名以外のかっこ書き(「 」)は、アンケートに寄せられたコメント
 から、一部抜粋および内容を変えない範囲で改変し、掲載させていただきました。

                                (大原慈省)

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●注目の本(邦訳読み物)●大人も子どもも、南の島で大冒険!
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『秘密の島のニム』 ウェンディー・オルー作/田中亜希子訳
あすなろ書房 定価1,260円(税込) 2008.07 195ページ ISBN 978-4751524725
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"Nim's Island" by Wendy Orr
Allen & Unwin Australia Pty. Ltd, 1999
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 白い貝がらでいっぱいの浜、エメラルド色に輝く入り江。サンゴ礁に守られたこの
美しい秘密の島で、少女ニムは海洋学者であるお父さんとふたりきりで暮らしている。
ニムはこれから〈たった3日〉だけ、この島でひとりで留守番をするのだ。いつもは
パソコンや携帯電話を使いながら島で研究を続けているお父さんが、調査のために、
外洋まで出かけることになったからだ。「アシカのセルキーと、ウミイグアナのフレ
ッドがいてくれるから大丈夫」ニムは自分にそう言い聞かせていた。ところが、お父
さんが出かけて2日目の夕方、連絡が途絶えてしまう。なにかあったのかな? ニム
の胸に不安がこみあげてきたとき、パソコンに1通のメールが……。
 自由気ままに楽園のような南の島で暮らす、と聞くと、さぞかしゆったりした夢の
ような毎日だろうと思われるかもしれない。でも、実際にはいろんなアクシデントが
起こるもの。しかも、孤島に子どもがひとりきりなのだ。だが、ニムは動物たちと心
を通わせて、パソコンや携帯電話などの最先端の道具も使いながら、前向きにアクシ
デントを乗り越えていく。そんなニムの姿は、とてもエネルギッシュで魅力的だ。そ
れに、南国の孤島で育ったニムは、すばらしい発想と想像力の持ち主でもある。ニム
が考え出す遊びや実験は、どれも限られた道具を駆使したアイデアのかたまりだ。
 でも、真っ暗な夜に吹き荒れる風の音をひとりで聞いていたり、けがをした膝がぱ
んぱんにはれてしまったりすると、普段は元気なニムの心にも、不安と寂しさが押し
寄せてくる。動物の友だちも大好きだけれど、会話を交わせる人間の友だちがいたら
どんなに楽しく心強いだろう。ニムの揺れる気持ちが実によく伝わってきて、胸がき
ゅっと痛くなった。そんなニムとメールを交わすのが、冒険小説家のアレックス。ニ
ムとアレックスは、互いの現実を知らないままメールで会話を続けるのだが、ユーモ
アあふれるそのやり取りが、この作品のもうひとつの魅力となっている。
 平凡な人生には冒険なんて無縁かもしれない。でも、嵐を乗り越えたり火山の噴火
から逃げたりすることだけが冒険ではないはず。自分の殻を突き破ること――それこ
そが、「人生最大の冒険」なのかもしれない、と思わせてくれる作品だ。

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【作】ウェンディー・オルー(Wendy Orr):1953年、カナダ生まれ。父親の勤務先
の都合で、子ども時代はカナダ・フランス・アメリカなどを転々とする。1986年に
"Amanda's Dinosaur" でデビュー。1991年より執筆業に専念している。邦訳に『ソフ
ィーのねがいごと』(ゆあさふみえ訳/むかいながまさ絵/あすなろ書房)がある。
本作品は、この秋公開された映画『幸せの1ページ』の原作本である。

【訳】田中亜希子(たなか あきこ):千葉県生まれ。東京女子大学短期大学部英語
科卒業。主な訳書に「魔女ネコ日記」シリーズ(ハーウィン・オラム作/サラ・ウォ
ーバートン絵/ポプラ社)、「マーメイド・ガールズ」シリーズ(ジリアン・シール
ズ作/つじむらあゆこ絵/宮坂宏美共訳/あすなろ書房)、『囚われちゃったお姫さ
ま』(パトリシア・C・リーデ作/東京創元社)など多数。

【参考】
▼ウェンディー・オルー公式ウェブサイト
http://www.wendyorr.com/new/index.html

▽田中亜希子訳書リスト(やまねこ翻訳クラブ資料室)
http://www.yamaneko.org/bookdb/int/ls/atanaka.htm

                                (村上利佳)

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●注目の本(邦訳読み物)●転げ落ちてはじめて目に入る眺めもある
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『エマ・ジーン・ラザルス、木から落ちる』 ローレン・ターシス作/部谷真奈実訳
主婦の友社 定価1,680円(税込) 2008.09 207ページ ISBN 978-4072578803
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"Emma-Jean Lazarus Fell Out of a Tree" by Lauren Tarshis
Dial Books, 2007
Amazonで詳細を見る
★2007年ゴールデン・カイト賞フィクション部門オナー(次点)作品

 エマ・ジーンは頭脳明晰(めいせき)で冷静沈着な7年生の女の子。同年代の子た
ちのように群れるのは苦手だから、だれかから悩みをうち明けられるなんて体験とは
無縁だった。ある日、学校のトイレでクラスメートのコリーンが泣いているのを目撃
するまでは。わけを聞いてみると、親友のケイトリンとの仲にクラスの女王様のロー
ラが強引に割りこんできたのだという。注意深い観察を旨とするエマ・ジーンは、ロ
ーラにそういう意地の悪さがあることをよく知っていた。見るからに打ちひしがれて、
「助けて」とつぶやくコリーン。柄にもなく使命感にかられたエマ・ジーンは、ロー
ラの嫌がらせをやめさせる方法をひそかに考えだして実行に移した。独創的なアイデ
アと厳密な論理にもとづいてとり組めば、どんなに難しい問題も解決できると信じて。
だが、エマ・ジーンの人間観察には大きな見落としがあった……。
 いつもマイペースなエマ・ジーンと、ついつい他人の目が気になってしまうコリー
ン。性格はまるで違うけれど、どちらも思いやりのある愛すべき子たちだ。それなの
に、ローラの意地悪に巻きこまれた日を境に、ふたりの中にも知らず知らず自分本位
の考え方が芽ばえていく。だれかを傷つけるなんて思いも寄らないことだったのに、
事態はあらぬ方向へ進んでしまう。だれの心にも潜んでいる身勝手さがどれほど目を
曇らせるものなのか、読者は思い知らされることになる。
 生き生きとした軽快な筆致がポップな雰囲気を漂わせているが、芯のあるガールズ
・フィクションだ。いくつものサブプロットを絡ませた、ひねりのあるストーリーと、
人間性の本質を的確にとらえた深い洞察が光る。脇を固めるキャラクターの魅力も大
きい。先回りすることなく娘に知恵を授けるエマ・ジーンのお母さん、少しも聖人ぶ
らずに自分の弱さを信徒にもさらけ出すウィリアム神父、小さな友人の歩みをそっと
見守るラザルス家の下宿人ヴィクラムなどなど。なんともステキなおとなたちが日だ
まりのような暖かさを添えている。
 アイデンティティーの崩壊から再生までを鮮やかに描きだした本書は、失敗を繰り
かえしては自己嫌悪に陥るわたしたちを優しく前に押しだす。転げ落ちてはい上がろ
うともがくのは、たしかに苦しいけれど、それこそが人間のもっとも尊い姿であるこ
とに気づかせてくれるのだ。

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【作】ローレン・ターシス(Lauren Tarshis):米国ニューメキシコ州に生まれニュ
ーヨーク州で育つ。現在は、夫と4人の子ども、夫の母とともにコネティカット州ウ
ェストポートに住む。1989年から教育系出版社のスカラスティック社で学習雑誌の編
集に携わっており、執筆者として受賞歴もある。作家としては本書がデビュー作。目
下、続編 "Emma-Jean Lazarus Fell in Love" を執筆中で、2009年5月に上梓予定。

【訳】部谷真奈実(とりや まなみ):1971年生まれ。早稲田大学法学部卒。訳書に
『レーズン ひみつのブログ』(ジュディ・ゴールドシュミット作/主婦の友社)、
『標的のミシェル』(ジュリー・ガーウッド作/ヴィレッジブックス)、『子持ちク
レアの逆転勝利』(マリアン・キーズ作/扶桑社)、『テンプ』(セリーナ・マッケ
シー作/アーティストハウスパブリッシャーズ)などがある。

【参考】
▼ローレン・ターシス公式ウェブサイト
http://www.laurentarshis.com/

▽ゴールデン・カイト賞受賞作品リスト(やまねこ翻訳クラブ資料室)
http://www.yamaneko.org/bookdb/award/us/gkite/index.htm

                                (雲野雨希)

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●注目の本(未訳絵本)●涙の数だけ美しく――月の夜の物語
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『なみだどろぼう』(仮題)
キャロル・アン・ダフィ文/ニコレッタ・チェッコリィ絵
"The Tear Thief" text by Carol Ann Duffy, illustrations by Nicoletta Ceccoli
Bearfoot Books, 2007 ISBN 978-1846860454
32pp.
Amazonで詳細を見る
★2008年チルドレンズ・ブック賞幼年向け部門ショートリスト作品

 表紙の屋根の上、出窓の影にぼうっと白い女の子が潜んでいる。幽霊? いいえ、
彼女はなみだどろぼう。といっても決して怖いどろぼうではない。それどころか、来
たのも気づかれないことがほとんどだろう。白く半透明の姿で描かれているが、実は
透明で目に見えないのだ。姿を見たかったら水たまりをのぞいてみよう。運がよけれ
ば、白いひらひらドレスを着た、白いつんつん頭に灰色の目をした女の子が、銀色の
袋を肩にかついだ姿を見られるかもしれない。
 なみだどろぼうは、毎晩、夕飯時からお休み前までの時間にあちこちの街に現れる。
けがをした子、むずかる子、けんかをしている子など、子どもの泣き声を聞きつけ、
家に忍び込んでは涙を盗んで袋に入れていく。袋の中で涙は色とりどりの宝石に変わ
る。怒りの涙はルビーの赤に、ねたみや嫉妬の涙はエメラルドのグリーンに……。で
は、うれし涙は? なぜだか書かれていない。うれしくて泣いたあとは心がほんわか
温かくなるし、きれいな宝石になりそうなのに。そうか、だから何もしなくていいわ
けだ。怒りやねたみは、いわば負の感情だ。涙とともに流れ出たそんな感情を、なみ
だどろぼうが袋の中で昇華させ、美しいものに変えてくれるのだろう。なんだか、ど
ろぼうなんて呼ぶのが悪くなってきた。とにかく彼女は仕事熱心。せっせと集めるの
で、袋はすぐにいっぱいになる。そのあとどうするのかは、読んでのお楽しみ。
 あやしく風変わりな絵の多いチェッコリィにしてはわりと普通な絵だが、写真でい
うとソフトフィルターをかけたような柔らかな描写がとても幻想的で、独特の雰囲気
をかもしだしている。走りすぎる車や行き交う人々、それにあちこちの家で響く子ど
もの泣き声。街はさまざまな音で溢れているはずだが、この作品の絵からは不思議と
音の気配は伝わってこない。まるで音にまでフィルターをかけたかのような静けさが
漂っている。その中をひそやかに飛び回るなみだどろぼうは、どこかはかなげ。彼女
が盗む涙にしても、涙でできているという月の光にしても、やはりはかなく、とらえ
どころがない。そんなすぐ消えてしまいそうな一瞬一瞬を慈しみ、とどめようとする
かのような静謐な美しさが感じられる絵本だ。お休み前の1冊にどうぞ。

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【文】Carol Ann Duffy(キャロル・アン・ダフィ):1955年、スコットランド生ま
れ。リバプール大学で哲学を専攻後、新聞の詩批評、詩の雑誌編集などに従事。詩人
で劇作家としても人気がある。"Meeting Midnight" でウィットブレッド賞(現在の
コスタ賞)児童書部門ショートリストに選ばれ、"Mean Time" で Poetry Award を、
"Rapture" でT・S・エリオット賞を受賞。最近の子ども向けの詩集に "The Hat"
がある。

【絵】Nicoletta Ceccoli(ニコレッタ・チェッコリィ):1973年、サンマリノ共和
国生まれ。現在もサンマリノを生活圏にしながら国内外で活動しているイラストレー
ター。イタリアでは絵本の挿絵画家として有名。2001年にはイタリア・アンデルセン
賞のベスト・イラストレーター賞を受賞。その他、多くの受賞作がある。

【参考】
▼ニコレッタ・チェッコリィ公式ウェブサイト
http://www.nicolettaceccoli.com/

▽チルドレンズ・ブック賞受賞作品リスト(やまねこ翻訳クラブ資料室)
http://www.yamaneko.org/bookdb/award/uk/children/index.htm

                                (吉崎泰世)

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●賞速報━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

★2008年ニルス・ホルゲッソン賞発表
★2008年 Booktrust Early Years Awards 発表
★2008年ガーディアン賞発表
★2008年オランダ金の石筆賞発表

 海外児童文学賞の書誌情報を随時掲載しています。「速報(海外児童文学賞)」を
ご覧ください。
http://www.yamaneko.org/cgi-bin/sc-board/c-board.cgi?id=award

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●イベント速報━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

★展示会情報
 成羽町美術館「美術館に行こう!」
 北九州市立美術館「リサとガスパール&ペネロペ展」
 新潟県立自然科学館「コロボックル物語の世界〜自然からのメッセージ〜」 など

★講演会・イベント情報
 日本アイスランド協会
  「ノンニ70周年後の再訪日」展示・シンポジウム他
 東京都立図書館「子供の読書フォーラム」講演・シンポジウム など

★コンテスト情報
 第15回いたばし国際絵本翻訳大賞

 詳細やその他のイベント情報は、「速報(イベント情報)」をご覧ください。なお、
空席状況については各自ご確認願います。
http://www.yamaneko.org/cgi-bin/sc-board/c-board.cgi?id=event

                           (冬木恵子/笹山裕子)

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●世界のお祭り●第14回 感謝祭(アメリカ) 11月第4木曜日
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 暑かった夏も終わり、いつも目にする風景の中にも、食卓の上にも、秋を感じるこ
とができるようになってきました。さまざまな農作物が収穫期を迎えるこの季節。1
年の労をねぎらい、実りに感謝するお祭りが日本各地で行われていますが、アメリカ
でも文字通り「感謝祭」という行事があります。七面鳥を食べて祝うことから「ター
キー・デイ」とも呼ばれるこのお祭りは、英語の教科書でも取り上げられているので、
ご存じの方も多いでしょう。
 感謝祭は、1620年にメイフラワー号でアメリカに入植したピルグリムファーザーズ
が、厳しい冬を乗り越えて、1621年の秋に初めての収穫を祝ったのが始まりだと言わ
れています。イギリスを出た時に102人いたピルグリムファーザーズが、飢えや病気
のために半分以下になっていたそうですから、収穫を迎えることができた喜びはさぞ
大きかったことでしょう。穀物の育て方や狩猟の仕方を教えてくれた先住民族の人た
ちといっしょに、野生の七面鳥や鹿、採れたての野菜などで3日間祝ったということ
です。
 感謝祭は新しい入植者たちの間にも定着していき、1789年にジョージ・ワシントン
大統領が11月26日を国民の祝日と定めました。現在のように11月の第4木曜日と決め
られたのは、1941年のことです。またカナダでも、10月に感謝祭を祝う習慣がありま
す。
 現在でも、感謝祭には家族や友人が集まり、七面鳥の丸焼きやカボチャのパイ、プ
ラム・プディングなどを食べて、楽しいひとときを過ごします。多様な背景を持つ人
びとが暮らすアメリカでは、宗教や文化を超えて純粋に収穫を祝う感謝祭は、クリス
マスとはまた違った意味で大切にされているのでしょう。
 感謝祭は、子どもの本にもしばしば登場します。「うら庭のエンジェル」シリーズ
(ジュディ・デルトン作/岡本浜江訳/朔北社)の『エンジェルとお母さんの恋人』
では、お母さんのボーイフレンドのルディが、小さなアパートの部屋で心温まるパー
ティを開いてくれます。『アップルバウム先生にベゴニアの花を』(ポール・ジンデ
ル作/田中美保子訳/岩波書店)では、ホームレスの人たちに食べ物を配っていたア
ップルバウム先生が、死を目前にしながらも感謝祭やクリスマスの前には贈り物を増
やすことを忘れなかった様子が描かれています。
 また、ピルグリムファーザーズの物語『メイフラワー号の少女』(キャスリン・ラ
スキー作/宮木陽子訳/岩崎書店)では、苦難に満ちた航海や過酷な冬、初めての感
謝祭の喜びなどが、ひとりの少女の日記という形で生き生きとつづられています。
 引用は、「インガルス一家の物語」シリーズ(ローラ・インガルス・ワイルダー作
/恩地三保子訳/福音館書店)の『プラム・クリークの土手で』から。開拓時代の感
謝祭の食事の様子が描かれています。

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 感謝祭のごちそうは、とてもおいしいのです。とうさんが、ガンを一羽、きょうの
ために撃ちました。かあさんは、暖炉に料理用ストーブの天火もないので、焼くかわ
りにゆで煮にしました。そして、その煮汁に小麦粉をまるめていれた、ダンプリング
もあります。それと、トウモロコシのかたぱんにジャガイモ。バターもミルクも、干
しプラムをあまく煮たのもありました。そして、めいめいのブリキのお皿のわきには、
はじけトウモロコシの粒が三つずつおいてありました。
*〜*〜*〜*〜*〜*〜*〜*〜*〜*〜*〜*〜*〜*〜*〜*〜*〜*〜*〜*〜*〜*〜*〜*〜*〜*

 けっして豪華なディナーではありませんが、心のこもった食卓に、感謝祭の原点が
見えるようです。

★参考文献
"Encyclopedia of Britannica"
『アメリカ文化史入門』亀井俊介著/昭和堂

                           (笹山裕子/村上利佳)

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●読者の広場● 海外児童文学や翻訳にまつわるお話をどうぞ!
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 9月号の「新人応援!」の読後アンケートへのご協力、ありがとうございました。
 たくさんのご意見、ご感想をいただきましたので、来月号でまとめてご紹介する予
定です。みなさま楽しみにお待ちください。
 いただいた中に勉強会についてのご質問があり、「公開してよい」ということでし
たので、こちらでお返事をさせていただきます。

【ご質問】
 オンライン勉強会というものにとても興味があるのですが、英語しかないのでしょ
うか。スペイン語での翻訳を希望しているのですが。

【編集部 インタビュー担当者より】
 やまねこ翻訳クラブのオンライン勉強会は、「3人以上」で開催できることになっ
ています。自主勉強会なので講師はおりませんが、それぞれがお互いの訳文やシノプ
シスなどを見て評価し合い、自分の知っている範囲、また調べた範囲で知識を共有し
合える、とても有意義な勉強会です。
 現在スペイン語を得意とする会員は、わかっているだけで2名おります。つまり、
あと1名増えれば、都合を合わせてオンラインで勉強会を開催することができるとい
う状況です。その会員たちは、いまは英語の勉強会に参加することで、訳文やシノプ
シスの日本語に磨きをかけています。
 ここ数年、英語以外の言語を専門にする、あるいは学んでいる会員の数が増えてい
ます。本誌で不定期に掲載している多言語の作品のレビュー「世界の本棚」は、そう
いった会員たちが執筆しています。また、ひとりでは情報を得るのが難しくても、多
言語という立場で共有できるものもあるということで、会員限定掲示板ではいろいろ
な情報が飛び交っています。それぞれが違う言語の題材を選んで訳文を持ち寄っても、
日本語を磨くという意味で、お互いの訳文の問題点を指摘し合うことはできると思い
ます。そういう形の新しい勉強会も、これからは開催されるかもしれません。
 これを機に、ご質問下さった方の世界が広がることをお祈りします。

▽「世界の本棚」
 http://www.yamaneko.org/mgzn/corner/hondana.htm

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 このコーナーでは、本誌に対するご感想・ご質問をはじめ、海外児童書にまつわる
お話、ご質問、ご意見等を募集しています。mgzn@yamaneko.org までお気軽にお寄せ
ください。

※メールはなるべく400字以内で、ペンネームをつけてお送りください。
※タイトルには必ず「読者の広場」とお入れください。
※掲載時には、趣旨を変えない範囲で文章を改変させていただく場合があります。
※質問に対するお返事は、こちらに掲載させていただくことがあります。原則的に編
集部からメールでの回答はいたしませんので、ご了承ください。

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 本誌でご紹介した本を、各種のインターネット書店で簡単に参照していただけます。
こちらの「やまねこ翻訳クラブ オンライン書店」よりお入りください。
http://www.yamaneko.org/info/order.htm
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  やまねこ翻訳クラブ(yagisan@yamaneko.org)までお気軽にご相談ください。
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     ☆☆ FOSSIL 〜 Made in USA のカジュアルウオッチ ☆☆
「FOSSIL は化石って意味でしょ? レトロ調の時計なの?」 これは創業者の父親が
FOSSIL(石頭、がんこ者)というあだ名だったことから誕生したブランド名。オーソ
ドックスからユニークまで様々なテイストの時計がいずれもお手頃価格で揃います。
2005年より新しいスローガン "What Vintage are you?" を掲げ、更にパワーアップ
した商品ラインナップでキャンペーンを展開。Vintage を表現する重要なツールが
TIN CAN(ブリキの缶)のパッケージです。年間200種類以上の新しいTIN CAN が発表
され、時計のデザイン同様、常に世界中のコレクターから注目を集めています。
http://www.fossil.co.jp/      (株)フォッシルジャパン:TEL 03-5981-5620
                             やまねこ賞協賛会社
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     http://www.litrans.net/maplestreet/kodomo/info/index.htm
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◆次号予告は毎月10日頃、やまねこ翻訳クラブHPメニューページに掲載します。◆
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●編集後記●アンケートに寄せられたたくさんの作品。その中に、みなさまのお気に
入りの1冊はありましたか?/今月より編集長としてメルマガに携わることになりま
した。これからも編集スタッフ一同で、楽しめる情報や、未訳・邦訳問わず、おもし
ろい作品を多数紹介していきたいと思っております。どうぞよろしくお願いします。
(い)
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発行人 寺岡由紀(やまねこ翻訳クラブ 会長)
編集人 井原美穂/植村わらび/大原慈省(やまねこ翻訳クラブ スタッフ)
企 画 雲野雨希 かまだゆうこ 児玉敦子 笹山裕子 冬木恵子 村上利佳
    吉崎泰世
協 力 出版翻訳ネットワーク 管理人 小野仙内
    ながさわくにお ナウシカ
    html版担当 ハイタカ
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