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今年5月、福音館書店から『子どもの瞬間<とき>』と題する写真集が出版された。アメリカの写真家、ウェイン・F・ミラーが、自分の4人の子どもたちと、その同級生たちの「子どもらしい一瞬」を捉え、詩的なキャプションや愛情あふれる解説とともにまとめた作品だ。翻訳を担当したのは、山形県遊学館外国絵本翻訳コンクールで2年連続優秀賞を受賞し、96年秋に『おじいさんのえんぴつ』(マイケル・フォアマン/金の星社)で翻訳家デビューを果たした黒沢優子さん。コンクール受賞者のその後に大いに興味を持つやまねこ調査隊は、北海道在住の黒沢さんに、さっそく電話インタビューを試みた。 黒沢さんによると、この作品は、出版社側からの紹介だったそうだ。もともと福音館の編集者と知り合いだった黒沢さんは、デビュー後、同社から下訳や訳文チェックの仕事を依頼されるようになった。『子どもの瞬間』の原書を紹介されたのは、昨年の10月。自らも三児の母である黒沢さんは、一読してこの作品に共感、すぐに仕事を引き受けた。ミラー氏の写真展の企画が先に持ち上がっていたため、翻訳開始から発行まで約半年間という、スピード出版となった。今年秋には、同じく福音館から『建物スタンプであそぼう』(仮題)というスタンプ付きの本の翻訳出版も決まっている。 児童書に関わる一方で、黒沢さんは、獣医師のご主人と一緒に自然環境の保護活動に取り組み、自主的に環境問題に関する本や資料を翻訳してきた。98年にご主人との共訳として出版された『水鳥のための油汚染救護マニュアル』(北海道大学図書刊行会)も、そんな活動の成果のひとつだ。今後は、子どもにも読んでもらえる自然関係の本を翻訳したいとのこと。「先日、自然に関する内容の作品で、初めて持ち込みをしました。現在、期待しながらお返事を待っているところです」と、黒沢さんは、お子さんと猫の声に囲まれながら、電話口で語ってくれた。 (宮坂宏美) |
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撮影されたのは1950年代。モノクロの写真が、古き良き時代のアメリカを思い 起こさせる。しかし、泣き、笑い、はしゃぎ、すねる子どもたちの表情は、今の 時代と全く変わらない。 |
-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・- 追加情報:記事の中で刊行予定としていた本は、1999年11月に出版されました。 『建物スタンプであそぼう』 (1999.12.10) -・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・- |
「キッズBOOKカフェ」(月刊『翻訳の世界』1999年10月号掲載)のホームページ版です。
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