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新刊絵本おすすめメニュー

夏だから、翔んではじけて楽しくいこう!

「そらとぶいぬ」表紙

『そらとぶいぬ』
SHAGGY AND SPOTTY (1997)
テッド・ヒューズ文
デイビッド・ルーカス絵
長田弘訳
(メディアファクトリー 本体1400円)
「ペンギン・カルテット ニューヨークへいく」表紙

『ペンギン・カルテット
ニューヨークへいく』

PINGVINKVARTETTEN (1996)
ペーテル・アルヘニウス作
インゲラ・ペテッション絵
ひしきあきらこ訳
(BL出版 本体1300円)
「ウエズレーの国」表紙

『ウエズレーの国』
WESLANDIA (1999)
ポール・フライシュマン作
ケビン・ホークス絵
千葉茂樹訳
(あすなろ書房 本体1400円)

 夏、といってももう残りわずかだけど、くよくよ考えずに楽しくいきたいもの。スカッと爽快な気分になりたい人には、『そらとぶいぬ』がおすすめ。

 イギリスの桂冠詩人の遺作を、日本を代表する詩人が翻訳、と聞くとなにやらものものしいが、読んでびっくり見てびっくり。ヘタウマな絵もすごいが、話の「翔び」っぷりもすごい。 2匹の犬が、カーニバルの回転木馬にのっているうちに回転で投げ出され、落ちたところは電気自動車、正面衝突して投げ出されると、そこは観覧車で……と、どんどんとばされていく。そのあげく、どうなってしまうのか。最後のシーンがほっとさせる。

 ペンギンのメスは、産卵するとオスに卵を預け、魚をとりに遠くの海まで出かけるのだそうだ。ではそのあいだ、オスはなにをしているのか。その答えが『ペンギン・カルテット ニューヨークへいく』だ。 とうさんペンギンは、息子3人と卵を連れ(?)、なんとニューヨークへ演奏旅行へ行っていた。スウェーデンの新進作家といいながら、アメリカのポップアートを思わせる「はじけた」絵本だ。

 単純に楽しい2冊に比べ、『ウエズレーの国』は少々重く見えるかもしれない。町の中でひとりだけはみだしてる少年ウエズレーの物語だからだ。 だけど、ウエズレーはそんなことに悩んでなんかいない。自分の好きなことを好きなようにする、それだけだ。夏休みの自由研究に、「自分だけの文明」を創り出そうと思い立ち、見事にそれを実行する。はみだしてるから、独自だからこそできた、ウエズレーの国。

 これは重い話ではなく、実は痛快な話なのだ。夏休みにぴったりの、とびっきりの冒険を思い切り楽しんでしまおう(もう残りわずかだけどね)。

(ながさわくにお)

「キッズBOOKカフェ」(月刊『翻訳の世界』1999年10月号掲載)のホームページ版です。

表紙の画像は、出版社の許可を得て掲載しています(無断転載不可)。

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