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やんちゃなスミス、大あばれの巻

「とてもすてきなわたしの学校」表紙

『とてもすてきなわたしの学校』
HOORAY FOR DIFFENDOOFER DAY!
ドクター・スースとJ・プレラツキー文
レイン・スミスとドクター・スース絵
神宮輝夫訳
(童話館出版 本体1600円)
「イカはいかようにしてもイカだ」表紙

『イカはいかようにしてもイカだ』
SQUIDS WILL BE SQUIDS:
Fresh Morals for Beastly Fables
(1998)
ジョン・シェスカ文 レイン・スミス絵
青山南訳
(ほるぷ出版 本体1800円)
「七ひきのねずみ」表紙

『七ひきのねずみ』
SEVEN BLIND MICE (1992)
エド・ヤング作 藤本朝巳訳
(古今社 本体1900円)

 今月は偶然、レイン・スミスの絵本が続けて出たのでご紹介しておきたい。1冊目は『とてもすてきなわたしの学校』。故ドクター・スースが未完成のまま遺した文章を、絵本として完成させたといういわくつきの作品。

 ほかの学校とちがっている「なんでもスクール」の先生は、よそとちがった先生ばかり。それぞれが自分の考えをもっている。においのかぎわけや、むすぶことや、サボテンとめ牛のちがいを教えてくれる。誰もが入りたくなるこの学校に、ちょっとした騒動がもちあがった――。あくまで子どもたちの味方であり続けたスースからの、やさしさいっぱいの最後のプレゼントだ。

 もう1冊は、悪友(?)ジョン・シェスカとのコンビによる『イカはいかようにしてもイカだ』。童話パロディの怪作『くさいくさいチーズぼうや&たくさんのおとぼけ話』(ほるぷ出版)でもおなじみのこのコンビ、今度はイソップ寓話で遊んでしまった。メチャクチャ度は前作を超えたかも。ちなみに副題が「イソップが生きていたら話していたにちがいない、いやらしいたとえ話(みずみずしい教訓つき)」。どのくらいみずみずしい教訓なのか、ご確認いただきたい。『とてもすてきなわたしの学校』と同じ作家とは思えないほど、毒気たっぷり。あなたなら、どっちを先に読む?

 にぎやかなスミスの絵本とは対照的な静謐さをもつのが、中国生まれのコールデコット賞作家エド・ヤングの『七ひきのねずみ』。内容は「群盲、象を撫ず」の一言で説明したも同然なのだけれど、黒い背景の上にコラージュされた単純な画面構成が、七色のねずみたちをはじめとするカラフルな素材を引き立たせ、安定感のあるデザインを実現させている。視覚的に表現するのが難しい題材だけに、このアイデアは拍手ものだ。

 楽しい絵本で笑ったあとで、美しい絵本を眺めるのも、また格別の味わい。

(ながさわくにお)

「キッズBOOKカフェ」(月刊『翻訳の世界』2000年1月号掲載)のホームページ版です。

表紙の画像は、出版社の許可を得て掲載しています(無断転載不可)。

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