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やまねこ10周年記念「世界の児童文学賞ラリー」レビュー集 ニルス・ホルゲション賞(スウェーデン) レビュー集 |
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最終更新日 2009/06/18 レビューを2点追加
やまねこ翻訳クラブではこれまで、Nils Holgersson-plaketten を「ニルス・ホルゲッソン賞」と表記してきましたが、原語の発音、および日本で確立してきた表記法に鑑み、今後は「ニルス・ホルゲション賞」で統一することにいたしました。なお、この賞はこれまでに、ニルス・ホルゲッソン賞の他にも、ニルス・ホルゲルソン賞、ニルス賞など、複数の表記が用いられてきました。(2009年3月)
このレビュー集について
10周年記念「世界の児童文学賞ラリー」においてやまねこ会員が個々に書いたレビューを、各児童文学賞ごとにまとめました。メ ールマガジン「月刊児童文学翻訳」や「やまねこのおすすめ」などに掲載してきた〈やまねこ公式レビュー〉とは異なる、バラエティーあふれるレビューをお楽しみください。
なお、レビューは注記のある場合を除き、邦訳の出ている作品については邦訳を参照して、邦訳の出ていない作品については原作を参照して書かれています。
Elsa Beskow エルサ・ベスコフ: 『しりたがりやのちいさな魚のお話』『ラッセのにわで』
『なきむしぼうや』『おひさまがおかのこどもたち』
『おもちゃ屋へいったトムテ』
Rose Lagercrantz ローセ・ラーゲルクランツ: 『ながいながいたび』
Astrid Lindgren アストリッド・リンドグレーン: 『親指こぞうニルス・カールソン』
Tove Jansson トーベ・ヤンソン: 『それからどうなるの?』
Thomas Tidholm トーマス・ティードホルム: 『むかし、森のなかで』←追加
Henning Mankell ヘニング・マンケル: 『少年のはるかな海』←追加
1952年ニルス・ホルゲション賞特別賞受賞 ニルス・ホルゲッソン賞リスト
Elsa Beskow エルサ・ベスコフ | 1952年、全業績に対し特別賞を受賞 |
「スイスイ」は、きれいな湖に住む小さなスズキの子どもです。スイスイには両親がいませんでしたが、カレイや鯉やカワカマスのおじさんやおばさんが、いつも可愛がってくれました。ある日のこと、知りたがりやのスイスイは、上からぶらさがっていたひもの先に食いつきました。すると口の中に何かがひっかかり、するすると上に引き上げられてしまいました。スイスイをつり上げたのは、トーマスという人間の男の子でした。さあ、たいへん。おじさんやおばさんたちは、なんとかスイスイを救い出そうと、相談しますが……。 (大塚道子) 2008年4月公開 |
秋のある日、ラッセはボールを追いかけて庭に出ました。するとかえでの木の上に、ひとりの男の子がいて、ラッセのボールを持っています。その子は、「くがつ」という名前で、かあさんは「なつ」で、とうさんが「ふゆ」だといいます。「くがつ」は、ラッセのボールをしげみのほうにほおりなげました。すると次々に木の実や花の精があらわれます。 ページをめくるたびに、さまざまな木の実や花や果物の精があらわれて、心躍る絵本です。かわいらしい少女の妖精や、優雅な「りんごふじん」だけでなく、ひげをはやしたおじさんの精や「キャベツふじん」も登場します。「くがつ」は秋の妖精なのです。実り豊かな北欧の秋をほうふつとさせるクラシックな画風は、まったく古さを感じさせません。 (大塚道子) 2008年4月公開 |
あるところに、ひとりの男の子がいました。思うとおりにならないと、すぐに泣いたりわめいたりするので、「なきむしぼうや」と呼ばれていました。ある日、ぼうやが「わあーん、わあーん」と泣いていると、まほうつかいのおばあさんがあらわれて、「こんなききわけのないこどもは見たことがない」と、まほうをかけてしまいます。さあて、それはどんなまほうだったのでしょうか? 時々、だだをこねた覚えのある小さな子ども(や大きな子ども)が喜びそうな絵本。まったく物事が思うようにいかない時って、ぼうやのように泣きたくなりますよね。でも、そんなことばかり続けていると、まほうつかいのおばあさんがやってきて……。あごにひげをはやした、このおばあさんの絵がなんとも秀逸。作者のユーモアと子どもへの愛情が感じられます。ベスコフは六人の子どもを育てながら、多くの物語や絵本を残したそうです。 (大塚道子) 2008年4月公開 |
「おひさまがおか」へようこそ。ここはスウェーデンののうじょうです。わたしと妹とおにいちゃんは、ここにくらしています。にわとりにえさをやったり、はたけのやさいに水をやったり、ときにはかていきょうしの先生とべんきょうをしたり、あそんだりします。げしまつりの日には、きれいな花でかざった、はしらのまわりでおどります。 農場にくらす子どもたちの毎日が、美しい絵で表現されています。それぞれの絵は、果物や花の絵のフレームにふちどられて、そのまま額に入れてかざりたくなるほど、きれいです。子どもたちの服装もクラシックで、『遊んで遊んで―リンドグレーンの子ども時代』(岩波書店、クリスティーナ・ビヨルク著)を思い起こさせます。ベスコフはリンドグレーンより33歳も年上ですから、リンドグレーンも子ども時代に彼女の絵本を読んだかもしれませんね。 (大塚道子) 2008年4月公開 |
人形作りをしているむすめさんたちの家の床下には、トムテ一家が住んでいました。ある夜更け、悪ふざけをして人形の服を身につけた息子トムテのヌッセが、むすめさんに見つかりそうになって、あわてて飛び込んだのは、なんとトムテ人形の箱。そのまま梱包されて、町のおもちゃ屋さんへ送られてしまったから、さあたいへん。ヌッセはおもちゃ屋さんのショーウィンドウで人形のふりをするはめに……。 ちょっぴり自分勝手なヌッセが、おもちゃ屋で出会ったスバンテと友情をはぐくむうちに、相手を思いやることを学びます。大好きなスバンテのために何かしたいと奔走する様子はいじましく、胸をうちました。とても心温まる物語です。そして、ささめやゆきによる挿絵が、またすばらしい。物語の世界にぐいっと引き込まれます。なんといっても、登場人物たちの印象的な大きな目がいいのです。目は口ほどにと申しますが、ヌッセと出会ったときのスバンテの目の中には、寂しさと友を見つけた喜びがありありと表現されていて、ベスコフの思いを巧みに表現していると思いました。半世紀以上も愛されてきた物語が、魅力的な挿絵によって、より味わい深い作品に仕上がっています。 (加賀田睦美) 2009年3月公開 |
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1950年ニルス・ホルゲション賞受賞 ニルス・ホルゲッソン賞リスト
Rose Lagercrantz ローセ・ラーゲルクランツ | 1980年、全業績に対し受賞 |
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1950年ニルス・ホルゲション賞受賞 ニルス・ホルゲッソン賞リスト
Astrid Lindgren アストリッド・リンドグレーン | 1950年、"Nils Karlsson-Pyssling" (『親指こぞうニルス・カールソン』 大塚勇三訳 岩波書店 1974) で受賞 |
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1953年ニルス・ホルゲション賞受賞 ニルス・ホルゲッソン賞リスト
Tove Jansson トーベ・ヤンソン | 1953年、"Hur gick det sen" (『それからどうなるの?』 渡辺翠訳 講談社 1991)で受賞 |
朝の5時。暗い森の中を、ムーミントロールが重いミルクのかんを持って歩いています。おや、木と木の間になにか見えてきたぞ。ママが待っているおうちの煙突かな……そう思って走っていくと、そこにいたのはミムラねえさんでした。「いもうとのちびのミイったら、いなくなったの!」泣いているミムラねえさんを励まして、ムーミントロールはいっしょにミイを探すことに。「このあきかんの中があやしいぞ」2人があきかんに入ってみると、あれれ、かんは底なしです。底なしあきかんをくぐりぬけたら……さてさて、それからどうなるの?
手
に取ると、表紙にあけられた大きなまるい穴に読者はびっくり。「これは、出版社がきりとりました」と書いてある。説明は続く。「ほかのページはあなたがきりとって、ムーミンたちのとおりみちをつくってあげてね!」本文の切り取り線にしたがって切り抜きを完成させ、手作りの穴あき絵本にしよう、というコンセプトなのだ。今回、私は図書館からこの本を借りてきたのだが、切り抜きは全ページ分が完了していたので、手軽に作品を楽しむことができた。 (古市真由美) 2008年5月公開 |
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1994年ニルス・ホルゲッソン賞受賞 ニルス・ホルゲッソン賞リスト
Thomas Tidholm トーマス・ティードホルム 追加 |
1994年、"Forr i tiden i skogen 〔Förr
i tiden i skogen〕" (『むかし、森のなかで』 ひしきあきらこ訳 ほるぷ出版 1995)で受賞 |
むかしむかしの、そのまた、むかしのお話。スウェーデンの森の中、7歳のヨナタンは、ぼろぼろのズボンをはき、だぶだぶの帽子をかぶって、毎日、まきを割り、おかゆを作って、大人といっしょに仕事をしながら暮らしていました。ある日、口ひげを生やした人が馬に乗ってやってきて「子どもは全員、学校へいくこと!」と言いました。そこで10月のある日、ヨナタンは学校というところへ行ってみます。そこでは見たこともない動物や、聞いたこともない国の話を教えてくれました。先生は天使のような女の先生でした。ところが春を願うルシアのお祭りの日、学校が火事になってしまいます。そこでヨナタンは先生を連れて家に帰り、ヨナタンの家が学校になりました。 アンナ-クララ・ティードホルムの絵は素朴で可愛い。ちょっととぼけた味もとてもいいです。学校が出来たことを喜ぶ子どもがいる一方で、それまでの生活が変わってしまったことに、戸惑う大人も大勢いたことでしょう。歴史の中で、物事が大きく移り変わっていくとき、さまざまな人々の葛藤を巻き込んで、事件が起きていく。しかし、一方へ転がり始めた物事はもう、元通りにはなりません。葛藤も、不安も飲み込んで、歴史は回っていくのでしょう。そんなむかし、むかしのお話をヨナタンのずっとのちの子孫のおじいさんが話してくれます。 (尾被ほっぽ) 2009年6月公開 |
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1991年ニルス・ホルゲッソン賞受賞 ニルス・ホルゲッソン賞リスト
Henning Mankell ヘニング・マンケル 追加 |
1991年、"Hunden som sprang mot en stjarna 〔Hunden som sprang
mot en stjärna〕" (『少年のはるかな海』 菱木晃子訳 偕成社 1996)で受賞 英語版タイトル: "A Bridge to the Stars" |
父親と二人暮らしのヨエルが主人公。母親はまだ小さかったヨエルを残して、家を出てしまった。父親は毎朝早くに、森で木を切る仕事に出かけていく。ヨエルは学校から戻ったら、買い物をして、夕食を作り、父親の帰りを待つ。
とても静かな物語だ。決して、騒々しい事件が起こるわけではない。町にはずっと雪が降り続く。けれども読み始めたら、主人公ヨエルのことが気になって、気になって、
止められない。犬を探すために、夜の街を徘徊するヨエルは危なっかしくてしょうがない。 (尾被ほっぽ) 2009年6月公開 |
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ニルス・ホルゲション賞(ホルゲッソン賞)リスト(やまねこ資料室) ニルス・ホルゲ
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