★ Yamaneko Honyaku Club 10th Anniversary ★ Yamaneko Honyaku Club 10th Anniversary ★
やまねこ10周年記念「世界の児童文学賞ラリー」レビュー集 ヤヌシュ・コルチャック賞(世界)
レビュー集 |
★ Yamaneko Honyaku Club 10th Anniversary ★ Yamaneko Honyaku Club 10th Anniversary ★
最終更新日 2009/03/06 新規公開
ヤヌシュ・コルチャック賞公式ページ(ibby Poland) 受賞リスト(英語) ポーランド語はこちら 賞の概要は後ほど |
このレビュー集について
10周年記念「世界の児童文学賞ラリー」においてやまねこ会員が個々に書いたレビューを、各児童文学賞ごとにまとめました。メ ールマガジン「月刊児童文学翻訳」や「やまねこのおすすめ」などに掲載してきた〈やまねこ公式レビュー〉とは異なる、バラエティーあふれるレビューをお楽しみください。
なお、レビューは注記のある場合を除き、邦訳の出ている作品については邦訳を参照して、邦訳の出ていない作品については原作を参照して書かれています。
Astrid Lindgren (アストリッド・リンドグレーン)(リンクのみ) * Annika Thol(アニカ・トール) 『海の島』
Astrid Lindgren (アストリッド・リンドグレーン) |
スウェーデン |
その他の受賞歴 ・1958年国際アンデルセン賞作家賞受賞(1960年までは作品が受賞の対象であったため、『さすらいの孤児ラスムス』(尾崎義訳/岩波書店/1965年)で受賞。 |
国際アンデルセン賞レビュー集を参照のこと |
▲TOPへ ★ Yamaneko Honyaku Club 10th Anniversary ★ このレビュー集について
Annika Thor (アニカ・トール) |
スウェーデン |
その他の受賞歴 ・個々の作品がさまざまな賞を受賞しているが、全業績に対しては、1999年に北欧学校図書館員協会賞、2000年にアストリッド・リンドグレーン賞を受賞している 。 |
第二次世界大戦中のスウェーデン。ドイツ占領下のオーストリアから逃れてきたユダヤ人のステフィとネッリ姉妹は、小さな島に渡る。そこで待っていたのは、優しそうなアルマと、険しい顔つきのメルタというふたりの女性だった。姉妹はこのふたりの家庭にわかれて引き取られることになる。そして言葉のわからないスウェーデンでの生活が始まった。第一印象のとおり、アルマは優しくメルタは厳しい人だった。メルタに引き取られたステフィは、ただ空と海が広がる景色を目にして〈この世の果て〉に来たと感じる……。 直接の戦火にはさらされないものの、異国で不安な生活を送る子どもたちと、命の危険にさらされながら祖国に残ってアメリカ行きを画策する親たちの状況の違いは、時折届く親からの手紙でしか語られず、読者も次の手紙が届くまで子どもたちと共に不安を抱くことになる。そんな中でも天真爛漫に日々を楽しく過ごしているネッリの幼さは痛々しく、すべてを理解できる年齢のステフィのつらさのほうが直接的で救いがあると思えてしまうのが、戦争の残酷さというものだろうか。 (冬木 恵子) 2009年3月公開 |
▲TOPへ ★ Yamaneko Honyaku Club 10th Anniversary ★ このレビュー集について
copyright © 2009 yamaneko honyaku club