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2016年9月号
   =====☆                    ☆=====
  =====★   月 刊  児 童 文 学 翻 訳   ★=====
   =====☆   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  ☆=====
                                No.173
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児童文学翻訳学習者による、児童文学翻訳学習者のための、電子メール版情報誌
http://www.yamaneko.org                         
編集部:mgzn@yamaneko.org     2016年9月15日発行 配信数 2570 無料
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●2016年9月号もくじ●
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◎特集:第63回(2016年)産経児童出版文化賞翻訳作品賞 受賞作品レビュー
 『テンプル・グランディン 自閉症と生きる』サイ・モンゴメリー著/杉本詠美訳
 『いもうとガイドブック』
          ポーラ・メトカーフ文/スザンヌ・バートン絵/福本友美子訳
◎賞速報
◎イベント速報:★やまねこ翻訳クラブ協力企画のお知らせあり★
◎やまねこカフェ:第11回 海外レポート ニュージーランド(オークランド)
◎読者の広場

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●特集●第63回(2016年)産経児童出版文化賞翻訳作品賞 受賞作品レビュー
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 産経児童出版文化賞は、子どもたちに優れた本を与えることを目的に、1954年の学
校図書館法の施行とともに制定された。大賞を含む7つの賞からなり、そのうち翻訳
作品賞は2007年より設けられている。前年の1年間に初版として刊行された児童書が
対象で、毎年5月5日の「こどもの日」に発表される。今月号では、その中から2016
年の翻訳作品賞を受賞した2作品のレビューをお届けする。

▽産経児童出版文化賞受賞作品リスト(やまねこ翻訳クラブ資料室)
http://www.yamaneko.org/bookdb/award/jp/sankei/index.htm

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『テンプル・グランディン 自閉症と生きる』
サイ・モンゴメリー著/杉本詠美訳
汐文社 定価1,600円(本体) 2015.02 219ページ ISBN 978-4811321684
"Temple Grandin: How the Girl Who Loved Cows Embraced Autism and Changed
the World" by Sy Montgomery
Houghton Mifflin Harcourt, 2012
★2015年IBBY障害児図書資料センター推薦図書

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 アメリカの動物学者テンプル・グランディンは、画期的な食肉処理施設の設計で北
米の牧場のあり方を変えた人物として知られる。見たものを正確に映像としてとらえ、
何度も頭の中で再生することができる特殊な能力を持つ。本書の言葉を借りれば、
「自閉症をかかえる大人として、世界でいちばん高い教養を身につけた、世界でいち
ばん有名なひと」だ。
 テンプルは、1947年にアメリカのニューイングランドで生まれた。3歳で自閉症と
診断されると、父は「まともでない」娘を精神科の施設に入れようとしたが、母は普
通の教育を受けさせることをあきらめなかった。小学生時代は友だちにも恵まれたが、
変化に順応するのが苦手で人とのつきあいが極端に下手なテンプルは、中学では「変
人」、「知恵遅れ」と揶揄され、いじめられた。思春期に入るとホルモンの分泌がテ
ンプルの特殊な脳に影響を与え、パニック発作と不安に苦しむようになる。
 転機が訪れたのは、高校2年の夏。アリゾナ州で牛の牧場を経営するおばの家に滞
在したときだった。動物に近い鋭い感覚を持つテンプルは、牛の感じ方や行動が手に
取るように理解できた。牛たちはテンプルに心からの安らぎを与え、どん底から救い
出し、彼女の生きる方向を決める特別な存在となった。その後テンプルは心理学、動
物学の研究に没頭し、牛が痛みや恐怖に苦しまない畜牛施設の設計で高い評価を得て
いく。当時の家畜産業は男性社会で、困難や試練も経験したが、動物への敬愛に支え
られた行動は、誰にも止めることができなかった。
 本書には、テンプルの子ども時代から現在までの写真と自筆の動物の挿絵が数多く
収められ、テンプルを身近に感じることができる。自閉症についての理解を深めるた
めの情報や、自閉症を抱える若い人が充実した人生を送るためのアドバイスも含まれ
た、内容の濃い1冊だ。テンプルは固有の才能を社会に役立て、多くの称賛を浴びて
いるが、彼女の功績の陰には並々ならぬ努力と、愛情深い母と温かい恩師の支えがあ
ったことを、本書は教えてくれる。そして、わが道を真摯に進む人には、その考えに
共鳴し、ともに歩もうとする仲間が現れるという希望を持たせてくれる。
 自閉症についての講演も精力的に行っているテンプル。ありのままの自分を肯定し、
可能性の扉を開き続ける生き方は、これからも多くの人の目を開き心を動かすだろう。

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【著】サイ・モンゴメリー(Sy Montgomery):1958年生まれ。ナチュラリスト、作
家、脚本家など多岐にわたり活躍。動物を取り上げた作品が多く、取材で世界を旅す
る。邦訳に『彼女たちの類人猿 グドール、フォッシー、ガルディカス』(羽田節子
訳/平凡社)、『幸福の豚 クリストファー・ホグウッドの贈り物』(古草秀子訳/
バジリコ)がある。米国在住。

【訳】杉本詠美(すぎもと えみ):広島県生まれ。広島大学文学部卒業。訳書に、
『ヒラリー・クリントン 本当の彼女』(カレン・ブルーメンタール著/汐文社)や
「シャドウハンター」シリーズ(カサンドラ・クレア作/東京創元社)などがある。
やまねこ翻訳クラブ会員。

【参考】
▼サイ・モンゴメリー公式ウェブサイト
http://symontgomery.com/

▼テンプル・グランディン公式ウェブサイト
http://www.templegrandin.com/

                              (かまだゆうこ)

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『いもうとガイドブック』
ポーラ・メトカーフ文/スザンヌ・バートン絵/福本友美子訳
少年写真新聞社 定価1,500円(本体) 2015.06 26ページ ISBN 978-4879815200
"A Guide to Sisters" text by Paula Metcalf, illustrations by Suzanne Barton
words & pictures, 2014

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「もらっていちばんうれしいおくりものは、いもうとよ」と、ママはいいますが、そ
の“おくりもの”は、うるさくて、どこにでもついてきて、まねばかりして、なんで
もわけてほしがるから、おねえちゃんはとてもたいへんです。いもうとのいちばんの
おきにいりは、リモコンのボタン。うるさいいもうとにも、つけたりけしたりできる、
ボタンがあるといいのに。でも、いっしょにいると、うれしいことやたのしいことも
たくさんあって……。
 本書は妹の取扱説明書という設定をとりつつ、妹との楽しい過ごし方案内にもなっ
ている。書かれているエピソードが妙に具体的で、読み手はいつのまにかお姉ちゃん
の気持ちになって読んでいることに気づく。“トリセツ”らしく最初にもくじがあり、
「あかちゃん/ちやほや/わけっこ」など13の項目に分かれている。それぞれの説明
がいかにもお姉ちゃん目線で笑ってしまう。たとえばお姉ちゃんと妹の特徴は、「お
ねえちゃんは、なにをするにも、いもうとよりじょうずにできます」「いもうとは、
とてもいそがしいです。なくし、たべるし、ねるし、おむつをよごすし、またなくし」
という具合。ちょっぴりえらそうなお姉ちゃんと無邪気な妹が、シンプルな線画でカ
ラフルに描かれていて、たまらなくかわいい。最後に添えられた「おまけ」がまたい
いのだ(それは見てのお楽しみ)。
 本書を読んで子どものころの記憶がよみがえってきた。そう、そう、わたしたちも
こんなふうだった、と。ふたりの様子が、自分と妹の幼いころと重なった。ときには
うんざりし、でもいないと寂しくて、一緒にいるとけんかするのに、やっぱり大好き
――妹とはそんな存在なのだ。作者のメトカーフも画家のバートンも、姉や妹がいる
という。だからふたりのやりとりや、表情やしぐさがこんなにもリアルなわけだ。
 お姉ちゃんやお兄ちゃんは、妹や弟にイラッとしたり、やきもちを焼いたり、それ
に我慢しなくちゃいけないこともあったりして、いろいろと大変だ。本書はそんなお
姉ちゃんやお兄ちゃんを応援する本でもある。そして、同じような経験をした大人に
とっては、幼いころを思い出させてくれる本。離れて暮らす妹に会いたくなった。

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【文】ポーラ・メトカーフ(Paula Metcalf):1972年生まれの、英国の絵本作家兼
イラストレーター。アングリア・ラスキン大学でイラストレーションを学ぶ。2008年
より母校の大学で講師を務めている。これまで多くの絵本を手掛けているが、邦訳さ
れたのは本書が初めて。ケンブリッジ在住。

【絵】スザンヌ・バートン(Suzanne Barton):英国の絵本作家兼イラストレーター。
大学で心理学を学んだのち、ケンブリッジ美術学校で児童書のイラストレーションを
学ぶ。2014年に絵本作家デビュー。本書は初の邦訳作品。夫とふたりの子どもとオッ
クスフォードで暮らしている。

【訳】福本友美子(ふくもと ゆみこ):1951年、東京生まれ。慶應義塾大学文学部
図書館・情報学科卒業後、公共図書館勤務を経て、児童書の研究、翻訳、編集などに
従事する。訳書に『おじいちゃん、おぼえてる?』(フィル・カミングス文/オーウ
ェン・スワン絵/光村教育図書)、『へんてこたまご』(エミリー・グラヴェット作
/フレーベル館)など多数。

【参考】
▼ポーラ・メトカーフ紹介ページ(Pan Macmillan ウェブサイト内)
https://www.panmacmillan.com/authors/paula-metcalf

▼スザンヌ・バートン公式ウェブサイト
https://suzannebarton.co.uk/

▽福本友美子訳書・作成書誌リスト(やまねこ翻訳クラブ資料室)
http://www.yamaneko.org/bookdb/int/ls/yfukumot.htm

▽福本友美子さんインタビュー(やまねこ翻訳クラブ資料室)
http://www.yamaneko.org/bookdb/int/yfukumot.htm

                                (蒲池由佳)

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●賞速報━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

★2016年ガーディアン賞ロングリスト発表(受賞作品の発表は11月17日の予定)
★2016年ニュージーランド児童書及びヤングアダルト小説賞発表
★2016年オーストラリア児童図書賞発表

 海外児童文学賞の書誌情報を随時掲載しています。「速報(海外児童文学賞)」を
ご覧ください。
http://www.yamaneko.org/cgi-bin/sc-board/c-board.cgi?id=award

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●イベント速報━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

★展示会情報
 北海道立文学館「2016年の宮沢賢治―科学と祈りのこころ」
 Bunkamuraザ・ミュージアム
     「ビアトリクス・ポター生誕150周年 ピーターラビット展」 など

★講演会情報
 国立国会図書館国際子ども図書館「いま、イタリアの子どもの本は?」
 下関市立美術館「エドワード・ゴーリーの優雅な秘密展/柴田元幸氏講演会」
                                    など

★コンクール情報
 「第23回いたばし国際絵本翻訳大賞」 など

★イベント情報
 東京ビッグサイト「第23回 東京国際ブックフェア」
 六甲オルゴールミュージアム「オルゴールで楽しむ"鏡の国のアリス"」 など

 詳細やその他のイベント情報は、「速報(イベント情報)」をご覧ください。なお、
空席状況については各自ご確認願います。
http://www.yamaneko.org/cgi-bin/sc-board/c-board.cgi?id=event

★★やまねこ翻訳クラブ協力企画のお知らせ★★

「読書探偵作文コンクール2016」
  主催 読書探偵作文コンクール事務局
  協力 翻訳ミステリー大賞シンジケート、やまねこ翻訳クラブ

 7月1日から募集を開始した「読書探偵作文コンクール」の締切は、9月23日です。
残すところ1週間あまりとなり、事務局には作品が続々届いています。
 詳しくは読書探偵作文コンクールのウェブサイトをご参照ください。
 ツイッター、フェイスブックページでも随時情報を提供していますので、どうぞご
利用ください。

読書探偵作文コンクール公式ウェブサイト
http://dokushotantei.seesaa.net/

読書探偵作文コンクール公式ツイッター
https://twitter.com/Dokusho_Tantei

読書探偵作文コンクールフェイスブックページ
https://www.facebook.com/dokushotantei

 まだまだ間に合います。
 お子さんに、お友だちに、お知り合いに、ぜひお知らせください!

                          (冬木恵子/山本真奈美)

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●やまねこカフェ●第11回 海外レポート ニュージーランド(オークランド)
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            〜IBBY世界大会に参加して〜            

 リオデジャネイロ五輪が終盤を迎えた8月18日からの4日間、同じ南半球のニュー
ジーランドで、国際児童図書評議会(IBBY)の第35回世界大会が開催されました。
国際アンデルセン賞の授賞式も行われる隔年の行事です。私事ですが、2014年にニュ
ージーランドを訪れた際、今回のホストであるIBBYニュージーランド支部のみな
さんと交流する機会がありました(本誌2015年3月号「やまねこカフェ」参照)。そ
のことがきっかけで、今回、思い切って参加を申し込んだのです。活気に満ちた4日
間を、初参加者の立場でざっくりとレポートさせていただきます。
 "Literature in a Multi-Literate World" をテーマに掲げた本大会。会場は、国
内最大の都市オークランドの中心部にあるコンベンション施設「アオテア・センター」
です。2千人収容のホールでは、開会式や閉会式、講演やパネルディスカッションが
催され、会議室では分科会が行われます。各階のロビーには展示物やポスターが並び、
書店の販売ブースも出ていました。
 プログラムは、朝から夕方までぎっしり組まれていました。うれしいことに、毎日
ランチつき。カウンターでサンドイッチや海苔巻きなどの主食とパックに入ったおか
ずを受け取るのですが、場所はロビーなのでテーブルはなく、椅子も十分にはありま
せん。多くの人が床に座って食事をしています。ちょっとびっくりしつつも、なんだ
か楽しい! まるで遠足のお弁当タイムです。ランチに限らず、4日間を通して、堅
苦しさを感じさせない明るく温かな雰囲気だったことが何より印象的でした。名札を
首からさげて、プログラムや資料の入ったオレンジ色のバッグを肩にかけた世界各国
からの参加者は、みんな友だち。私にはそんなふうに思えました。参加者の中には、
ビッグネームの顔もありました。休憩時間にロビーや階段を歩いていると、目の前に、
キャサリン・パターソンさんやホジェル・メロさんがいたりするのです。地元ニュー
ジーランドの作家やイラストレーターの姿も、たくさんお見かけしました。
 日本人作家で登壇したのは、2014年に国際アンデルセン賞を受賞した上橋菜穂子さ
ん。「児童文学における文化の多様性」というテーマのパネリストとして講演されま
した。文化人類学者でもある上橋さんは、オーストラリアでアボリジニの研究をして
いたことにふれ、それぞれの民族らしさとは?と問いかけながら、ご自身の創作姿勢
や、想像力のすばらしさを伝えました。大会で使われる言語は、原則として英語です。
導入部分をご自身で話したあと、著作の英訳者である平野キャシーさんにバトンタッ
チ。英語のスピーチ原稿を代読してもらいながら、上橋さんもときおりジェスチャー
(拳を握ったり、手をさしだしたり)で参加します。英語が母国語ではないというハ
ンディを上手にかわした演出で、聴衆を沸かせました。
 分科会には、著名な作家のトーク、研究成果の発表、取り組みの紹介や報告など、
さまざまなものがありました。その数は全部で30ほど。同じ時間帯に6つも開かれる
ため、どの分科会を選ぶべきか悩ましい限りでしたが、情報発信する人が大勢いるこ
とに、刺激を受けました。日本国際児童図書評議会(JBBY)が行ってきた福島で
の支援活動の報告、国立国会図書館国際子ども図書館の紹介ほか、日本人参加者の発
表にも注目が集まりました。
 ポスターによる発表も、多くの人の目にふれ、参加者との対話もしやすくて、魅力
的な情報発信方法だと気づかされました。やまねこ翻訳クラブの活動をポスターで紹
介できたら……などと夢見てしまいます。国際アンデルセン賞候補者の資料や作品、
IBBYオナーリスト作品、IBBY障害児図書資料センター推薦図書など、さまざ
まなテーマの展示も充実していました。
 最大のお楽しみは、なんといっても国際アンデルセン賞授賞式ディナーでしょう。
ウォーターフロントにあるイベントスペース「シェッド10」にて、3日目の夜に催さ
れました。少しだけドレスアップして、黄昏時の街を歩き、会場へ。管弦楽の演奏を
聴きながら、ワイン片手に歓談したあと、席につきます。10人掛けのテーブルが50ほ
どあり、たいへんなにぎわいです。あいさつや乾杯のあと、オードブル。関係者のス
ピーチをはさんでメインディッシュ。そしていよいよ、授賞式です。今年の受賞者は、
本誌4月号でお伝えしたとおり、作家賞が中国の曹文軒さん、画家賞はドイツのロー
トラウト・ズザンネ・ベルナーさんでした。曹文軒さんは、中国語でロングスピーチ。
左右のスクリーンに英語字幕が流れます。私の席からは遠くて読み取れなかったので
すが、熱のこもったすばらしいスピーチだったことは間違いありません。会場は総立
ちで拍手喝采となりました。ベルナーさんは残念ながら出席できず、スピーチの代わ
りに動画が流されました。作風や人柄がうかがえるほのぼのとしたアニメーションに、
みんなの顔がほころびます。デザートをいただき、時計を見ると、席についてから3
時間も経っていました。時間を忘れて満喫した、栄えある賞の授賞式。名残惜しいけ
れど、そろそろお開きです。
 翌21日も午前9時半からホールでのプログラムがあり、正午ごろから閉会式となり
ました。最後を飾ったのは、子どもたちによる合唱です。小学生から高校生まで3つ
のグループが、ニュージーランドの歌を披露してくれました。子どもの本のイベント
で、子どもたちから歌をプレゼントされ、目頭が熱くなります。最後の歌が終わった
あと、いつまでも拍手していたい気持ちでした。
 かくして大会は幕を閉じました。子どもの本や識字教育に関わる人々が世界じゅう
からやってきて、情報を交換し、学習し、交流を深めるすばらしい機会。児童文学の
魅力や価値を知る人ばかりが集まる中で過ごすことに、幸せを感じた4日間でした。
JBBYの会員をはじめとする日本人参加者のみなさんにも親切にしていただき、交
流できたことにも感謝しています。次回の開催地であるトルコのイスタンブールに思
いをはせながら、早春のニュージーランドに別れを告げました。

【参考】
▼第35回IBBY世界大会公式ウェブサイト
http://www.ibbycongress2016.org

▼同ウェブサイト内、プログラムのページ
http://ibbycongress2016.org/programme.html

▼ロートラウト・ズザンネ・ベルナーの受賞メッセージ動画
             (YouTube 内 Rotraut Susanne Berner のチャンネル)
https://www.youtube.com/watch?v=lzYVgiIyiS8

▽国際アンデルセン賞受賞者リスト(やまねこ翻訳クラブ資料室)
http://www.yamaneko.org/bookdb/award/andersen/index.htm

▽国際アンデルセン賞発表記事(本誌2016年4月号「賞情報」)
http://www.yamaneko.org/mgzn/dtp/2016/04.htm#sokuho1

▽「やまねこカフェ」第10回(本誌2015年3月号)
http://www.yamaneko.org/mgzn/dtp/2015/03.htm#cafe

                                (大作道子)

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●読者の広場● 海外児童文学や翻訳にまつわるお話をどうぞ!
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 このコーナーでは、本誌に対するご感想・ご質問をはじめ、海外児童書にまつわる
お話、ご質問、ご意見等を募集しています。mgzn@yamaneko.org までお気軽にお寄せ
ください。

※メールはなるべく400字以内で、ペンネームをつけてお送りください。
※タイトルには必ず「読者の広場」とお入れください。
※掲載時には、趣旨を変えない範囲で文章を改変させていただく場合があります。
※質問に対するお返事は、こちらに掲載させていただくことがあります。原則的に編
集部からメールでの回答はいたしませんので、ご了承ください。

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●お知らせ●

 本誌でご紹介した本を、各種のインターネット書店で簡単に参照していただけます。
こちらの「やまねこ翻訳クラブ オンライン書店」よりお入りください。
http://www.yamaneko.org/info/order.htm
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           ・☆・〜 次 号 予 告 〜・☆・

 詳細は10日頃、出版翻訳ネットワーク内「やまねこ翻訳クラブ情報」のページに掲
載します。どうぞお楽しみに!
          http://litrans.g.hatena.ne.jp/yamaneko1/

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▽▲▽▲▽   海外児童書のシノプシス作成・書評執筆を承ります   ▽▲▽▲▽

  やまねこ翻訳クラブ(yagisan@yamaneko.org)までお気軽にご相談ください。

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    ☆☆ FOSSIL 〜 Made in USA のライフスタイルブランド ☆☆
 独創的なデザインで世界120ヶ国以上で愛用されているフォッシルはアメリカを代
表するライフスタイルブランドです。1984年、時計メーカーとして始まったフォッシ
ルは時計をファッションアクセサリーのひとつと考え、カジュアルでポップなライン
からフォーマルなシーンにも使えるアイテムまで、年間300種類以上のモデルを発売
し続けています。またフォッシル直営店では、時計以外にもレザーバッグや革小物な
どのラインを展開しています。
TEL 03-5992-4611
http://www.fossil.com/      (株)フォッシルジャパン:やまねこ賞協賛会社
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★☆     出版翻訳ネットワークは出版翻訳のポータルサイトです     ☆★
             http://www.litrans.net/
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     ★☆メールマガジン『海外ミステリ通信』 隔月15日発行☆★
          http://honyakuwhod.blog.shinobi.jp/
未訳書から邦訳新刊まで、あらゆる海外ミステリの情報を厳選して紹介。翻訳家や
編集者の方々へのインタビューもあります!    〈フーダニット翻訳倶楽部〉
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*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*= やまねこ翻訳クラブ広報ブログ =*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*

★広報ブログ「やまねこ翻訳クラブ情報」(litrans グループ ブログ内)
                  http://litrans.g.hatena.ne.jp/yamaneko1/
 ※各掲示板の話題やクラブの動きなど、HOTな情報をご紹介しています。

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●編集後記●今月号の編集作業では、言葉の持つ力と、言葉のみに頼らない力のすご
さにあらためて気づかされました。読書探偵作文コンクールの結果も楽しみにしてい
ます。(み)
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発 行 やまねこ翻訳クラブ
編集人 三好美香/蒲池由佳(やまねこ翻訳クラブ スタッフ)
企 画 赤塚きょう子 大作道子 尾被ほっぽ 加賀田睦美 かまだゆうこ
    相良倫子 手嶋由美子 平野麻紗 冬木恵子 増山麻美 村上利佳
    森井理沙 安田冬子 山本真奈美
協 力 出版翻訳ネットワーク 管理人 小野仙内
    ayo からくっこ くらら ながさわくにお
    html版担当 ayo
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