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やまねこ10周年記念「世界の児童文学賞ラリー」レビュー集> スウェーデンの賞レビュー集



スウェーデンの賞レビュー集 一覧

アウグスト賞児童書部門  オッティリア・アーデルボリ賞

ニルス・ホルゲッソン賞  エルサ・ベスコフ賞

このレビュー集について 10周年記念「世界の児童文学賞ラリー」においてやまねこ会員が個々に書いたレビューを、各児童文学賞ごとにまとめました。メルマガ「月刊児童文学翻訳」「やまねこのおすすめ」などに掲載してきた〈やまねこ公式レビュー〉とは異なる、バラエティーあふれるレビューをお楽しみください。
 なお、レビューは注記のある場合を除き、邦訳の出ている作品については邦訳を参照して、邦訳の出ていな作品については原作を参照して書かれています。



 やまねこ10周年記念「世界の児童文学賞ラリー」レビュー集

アウグスト賞(児童書及びYA部門)(スウェーデン) レビュー集
Augustpriset:
barn- och ungdomsbok
 

★ Yamaneko Honyaku Club 10th Anniversary ★ Yamaneko Honyaku Club 10th Anniversary ★

最終更新日 2008/07/01 新規公開

★アウグスト賞について
 1989年創設。過去1年間にスウェーデンで出版された書籍を対象に与えられるスウェーデンで最も権威のある文学賞の1つ。主催はスウェーデン出版社協会。候補作6作の中から1作受賞作が選ばれる。候補作の発表は10月、受賞作の発表は12月に行われる。受賞対象となる分野はフィクション、ノンフィクション、児童書及びYAの3つ。(公式サイト児童書部門の受賞作及び候補作のページ


"Hedvig och Max-Olov" * "Alla doda sma djur"(リンク) * "GITTAN och gravargarna"


2006年アウグスト賞(児童書及びYA部門)候補作

"Hedvig och Max-Olov"(2006) (未訳読み物) 
 by Frida Nilsson フリーダ・ニルソン、illustrated by Stina Wirsen スティーナ・ヴィルセーン

その他の受賞歴


 ヘドヴィグは、小学校2年生になったばかりのおてんば少女。クラスメートのエレンが、最近馬を飼いはじめたらしい。馬なんて高くて買えないヘドヴィグのパパは、かわりにマックス・ウーロフという名の、間抜けなロバを買ってきた。ヘドヴィグはクラスの皆に馬がいるとつい嘘をついてしまう。嘘がバレたヘドヴィグは、アルフォンという男の子にからかわれるようになる。さらに馬の話にうんざりの、親友リンダとまで気まずくなってしまい、ふんだりけったりのヘドヴィグは、マックス・ウーロフに「あんたなんか大嫌い!」と言ってしまう。その晩、マックス・ウーロフはこつぜんと姿を消してしまう。

 作者が自身のHP、 http://www.fridanilsson.com/ で、「子供時代を振り返りながらこの作品を書いた」と語っているだけあって、物語の舞台であるハルデモの町がリアリティーをもって描かれていた。
 物語の初めに、自転車でぶつかってしまったおばさんに、素直に謝ることができず、あとから後悔して泣いてしまったヘドヴィグが、マックス・ウーロフという間抜けなロバとの出会いにより、ごめんなさいと言えるようになるまでが、説教臭さを感じさせることなく、楽しく描かれていた。
 馬が飼いたいというヘドヴィグの子供らしい思いは、読者の共感を呼ぶことだろう。しかもヘドヴィグが飼いだしたのは馬ではなくロバだったという展開は奇想天外、笑いを誘う。
 動物や物が擬人化されているのをはじめ、かわいらしい表現が作品の魅力を際立たせている。テンポ良い話し言葉が使われているため、読み聞かせにも適している。

(枇谷 玲子) 2008年7月公開

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2006年アウグスト賞(児童書及びYA部門)候補作

"Alla doda sma djur 〔Alla döda små djur 〕"(2006) (未訳絵本)
 by Ulf Nilsson ウルフ・ニルソン、illustrations by Eva Eriksson エヴァ・エリクソン

その他の受賞歴
2007年
ドイツ児童文学賞 児童書部門ノミネート作品


 ドイツ児童文学賞レビュー集を参照のこと

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2000年アウグスト賞(児童書及びYA部門受賞作

"GITTAN och gravargarna 〔GITTAN och gråvargarna〕" by Pija Lindenbaum ピア・リンデンバウム (未訳絵本)

その他の受賞歴


 ギッタンは、幼稚園の皆が小川を飛び越えたり、ミミズを触ったりして遊んでいても、仲間に入ろうとせず、他の子が犬のまわりに集まっていても、怖くて触ることもできない、少し怖がりやでマイペースな女の子。ある日、幼稚園の遠足で迷子になったギッタンは、森に迷いこみ、そこではいいろおおかみに出会った。まつぼっくりを投げたり、木にのぼったり、お医者さんごっこをしたり、楽しい一日を過ごしたものの、いつまで経っても誰もギッタンを見つけに来てはくれないことにはたと気づかされるギッタン。こうなったら自力で幼稚園を見つけるしかない! すっくと立ち上がったギッタンのおともを、おおかみたちが名乗りでた。ギッタンは幼稚園に無事戻ることができるのだろうか。

 リンドグレーンの『ふしぎなおにんぎょうミラベル』が記憶に新しいピア・リンデンバウムの代表作、ギッタン・シリーズの第一作目。 
 鮮やかな色彩が印象的。イラストは個性的で一度見たら忘れられない。
 森で出会ったはいいろおおかみたちが、コミカルに描かれていてとても楽しかった。

http://www.amazon.co.jp/Bridget-Gray-Wolves-Pija-Lindenbaum/dp/9129653959/ref=sr_1_3?ie=UTF8&s=english-books&qid=1202636385&sr=1-3

(枇谷 玲子) 2008年7月公開

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オッティリア・アーデルボリ賞(スウェーデン) レビュー集
Ottilia Adelborg-priset
 

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最終更新日 2008/07/01 新規公開

★オッティリア・アーデルボリ賞(Ottilia Adelborg-priset)について
『さっぱりペレとめちゃめちゃ村のこどもたち』(ブックグローブ社)の作者オッティリア・アーデルボリ氏を讃え、2000年から2年に一度、児童書のイラストレーターを対象に授与されている。過去の受賞者には『ちいさいオーちゃん 』(徳間書店)のエディス・ウンネルシュタード、エヴァ・エリクソン、レーナ・アンダションがいる。


Catarina Kruusva 〔 "Fia och djuren" * "Fia och djuren PA DAGIS"
Eva Eriksson 〔"Mamman och den vilda bebin"『ママときかんぼぼうや』(リンク)〕


2000年オッティリア・アーデルボリ賞受賞

Catarina Kruusval カタリーナ・クルースヴァル


"FIA och djuren" (2007) by Catarina Kruusval カタリーナ・クルースヴァル (未訳絵本) 

 カラスにクマ、ウサギにキリン、犬にハリネズミ、それから子猫はフィアの大事なお友達です。晴れた日の朝、フィアは動物達を連れて散歩に出かけます。森の小道をフィアを先頭に進んでいき、途中おやつをむしゃむしゃ、一休み。食べおわると、坂をかけ足でおりていきます。するとハリネズミと子猫が坂を転がり、穴に落ちてしまいました。家に帰ろうとしたフィア達は、やっとニ匹がいないことに気がつきました。フィア達は、二匹を見つけ、家路につくことができるのでしょうか。

 『うみのともだち』(文化出版局)をはじめとするエレンちゃんのシリーズで人気のクルースヴァルの新シリーズ、第1作目。 
 北欧の本にしては珍しく、字数が少なく、平易な言葉が使われているため、小さな子供も問題なく読むことができるだろう。
 フィアがお姉さんぶって動物達に上着を着せてあげている姿や、子猫達を穴から助ける姿はかわいらしかった。また原っぱで横になって雲をながめるフィアと動物のイラストは、開放感にあふれていて、読んでいてすがすがしい気分になった。
 「カラスのホーカンにクマのビョルン、ウサギのフィーネンに……」と、7匹の動物達の名前が繰り返し登場し、大変リズミカルで読み聞かせにも適している。

http://www.panorstedt.se/templates/Agency/Book.aspx?id=46804

(枇谷 玲子) 2008年7月公開


"Fia och djuren PA DAGIS 〔Fia och djuren PÅ DAGIS〕" (2007) by Catarina Kruusval カタリーナ・クルースヴァル (未訳絵本) 

 ある朝動物達が、フィアと一緒に保育園に行きたいと言いだしました。ところが保育園で動物達は耳をひっぱられたり、シンクでざぶざぶ洗われたり、肩車されたり、投げっこされたり、散々な目にあいます。
 動物達が廊下に避難して待っていると、同級生のシンネラがクマをリュックの中に詰めこみました。しばらくするとフィアのパパがお迎えにやってきます。あれ、クマはどこ? するとヒューゴが言いました。「シンネラのかばんから、足がはみでてる!」
 動物達はもう保育園はこりごり。次の日動物達は、保育園に行くフィアを、窓から手を振り、見送るのでした。


 見返し部分、原っぱでフィアと動物達が遊んでいるイラスト中の草木の緑色は大変美しく、また遠くで手をつないで保育園に入ろうとする先生と子供達の姿までもが細かく描かれていて、遊び心を感じることができた。  
 第一場面のフィアの子供部屋のイラストでは、クマが眠るベッドや、きれいな模様のカーペットをはじめ、部屋の様子が細部まで描かれていて見ごたえがあった。
 シンネラがクマをこっそりカバンに入れて持ち帰ろうとした、という展開は、教育上どうかと思ったが、陰険な雰囲気はなく、さっぱりとした描き方がされていたので問題ないか。また、カバンからクマの片足がはみ出ていたり、他の動物達がシンネラの行動をびっくりした顔で見つめる様子や、クマを探すフィアを横目にしめしめとずるがしこそうな顔をするシンネラの姿が描かれていて、「絵で語る」とはこういうことなのかと感心させられた。

http://www.panorstedt.se/templates/Agency/Book.aspx?id=46812

(枇谷 玲子) 2008年7月公開

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2006年オッティリア・アーデルボリ賞受賞

Eva Eriksson(エヴァ・エリクソン)


"Mamman och den vilda bebin"(1980) Eva Eriksson エヴァ・エリクソン絵、Barbro Lindgren バルブロ・リンドグレン文 (スウェーデン語)
『ママときかんぼぼうや』 小野寺百合子訳 佑学社 1981年

 エルサ・ベスコフ賞レビュー集を参照のこと

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