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2022年12月号
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  =====★   月 刊  児 童 文 学 翻 訳   ★=====
   =====☆   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  ☆=====
                                No.217
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児童文学翻訳学習者による、児童文学翻訳学習者のための、電子メール版情報誌
http://www.yamaneko.org                         
編集部:mgzn@yamaneko.org     2022年12月15日発行 配信数 2540 無料
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●2022年12月号もくじ●
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◎特集:第25回やまねこ賞──会員が選んだ、今年の児童書ベスト5は?
 ☆読み物部門 ☆絵本部門
◎注目の本(邦訳読み物):『ロンドン・アイの謎』
                      シヴォーン・ダウド作/越前敏弥訳
◎賞情報:2022年全米図書賞児童書部門発表!
 受賞作品レビュー:"All My Rage" サバア・タヒア作
◎mikiron の親ばか絵本日誌:第12回 『3人のママと3つのおべんとう』
◎賞速報
◎イベント速報

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●特集●第25回やまねこ賞
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 さる11月1日から17日までの間、やまねこ翻訳クラブ恒例のやまねこ賞の投票が、
オンラインで開催されました。やまねこ賞は、前年10月から本年9月までに出版され
た邦訳児童書を対象に、会員がベスト5を選び、大賞作品を決定するものです(読み
物部門、絵本部門)。両部門の大賞に輝いた作品の翻訳者には、当クラブより賞状と
副賞の図書カードをお贈りします。
 また、会員が過去1年間に読んだ原書と、新刊以外の邦訳児童書を対象とする、別
賞(原書部門、オールタイム部門)も設けています。別賞の集計は行わず順位もつけ
ませんが、例年、会員の幅広い読書傾向を反映して、バラエティー豊かな作品が並ぶ
投票結果となっています。
 なお、投票のあった全作品のタイトルを、やまねこ賞ポータルページ(下記)から
部門別にご覧いただけます。

▽やまねこ賞ポータルページ
http://www.yamaneko.org/yn_award/index.htm
※本号に掲載しているコメントは、投票時に任意で寄せられたものの一部で、原則と
して投票時のままです。投票者名はここでは省略します。投票の様子は「これまでの
あゆみ( http://www.yamaneko.org/yn_award/index.htm#ayumi )」の「過去の投票
の様子」をご覧ください。

「読み物」「絵本」の分類については、原則として各出版社、書店などの種別を参考
に、当クラブの判断で決定しています。
 やまねこ翻訳クラブは、会員・非会員を問わず、海外児童書を主とした本の話題が
書き込める「読書室掲示板」を運営しています。
http://www.yamaneko.org/dokusho/index.htm


     ★☆★☆【2022年 第25回やまねこ賞 読み物部門】☆★☆★

★大賞 『ロンドン・アイの謎』シヴォーン・ダウド作 越前敏弥訳 東京創元社
Amazonで検索する:書名と作者名

 テッドと姉の目の前で、いとこのサリムが巨大観覧車に乗りこみ、そのまま姿を消
した。サリムはどこへ消えたのか? ほかの人とはちがう脳の仕組みを持つテッドが、
論理的な推理で驚きの謎を解くミステリー。
(本誌今月号「注目の本(邦訳読み物)」のレビューをご参照ください)

◎ふだんミステリーをあまり読まないわたしですが、読みはじめてぐいぐい引きこま
 れました。主人公テッドを応援したくなる!
◎爽やかな風が心に吹き抜けるミステリー。謎解きの過程と事件の解決が、子どもた
 ちの成長にそのまま重なる優れた児童書でもある。
◎ちょっとした偶然が重なり、意図したことと意図しなかったことが複雑に絡まって、
 謎を深めていく。
◎「いつかぼくも死ぬ。カットも死ぬ。ママも死ぬ。パパも死ぬ。……この地球上の
 生き物はかならず死ぬ。死ぬか死なないかではなく、いつかかならず死ぬ」という
 主人公テッドの透徹したまなざしが作品を貫いている。
◎ある症候群を持つ12歳のテッドと思春期真っ只中の姉、カットが、それぞれ成長し
 理解し合いながら謎解きをしていく様がすがすがしい。とてもおもしろかった。

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         ☆【受賞のことば】 翻訳家 越前敏弥さん☆
 まさか自分の訳書がやまねこ賞をもらえるとは思っていなかったので、とてもうれ
しいです。ありがとうございます。多くの人がすでに言及してくださっているとおり、
成長小説としても本格的なミステリーとしてもすばらしい作品であり、「はじめて読
む海外ミステリー」として、より多くのジュニアの読者に読んでもらいたいと強く願
っています。作者シヴォーン・ダウドの早世が残念でなりませんが、みごとに遺志を
継いだロビン・スティーヴンスによる続編『グッゲンハイムの謎』もどうぞよろしく。
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◆2位 『父さんのゾウ』ピーター・カーナバス作 美馬しょうこ訳 文研出版
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 オリーブの父さんのそばには、いつも灰色のゾウがいる。オリーブにしか見えない
ゾウだ。父さんの悲しみの象徴のようなそのゾウを追いはらおうと、オリーブはおじ
いちゃんや友だちに手をかしてもらう。おだやかでやさしい家族愛の物語。

◎物哀しい空気感の場面でも、何気なく明るさが散りばめられている作品で、最後に
 は安心と驚きがやってきて、読んでいる間じゅう胸が温かくなる。イラストも、と
 ても良い味を加えていると思う。
◎泣いたり、笑ったり、びっくりしたり、オリーブの行動と家族がおたがいを思う気
 持ちに心を揺さぶられっぱなしだった。
◎読んだ人の心に、そっと希望の種をまいてくれるような作品。悲しみや愛情が行間
 からひしひしと伝わってきて、これぞ物語の力だと思った。
◎最後の最後でやられた! 作品に対する感動と主人公オリーブに対する愛情が、最
 後に3段階くらい深くなりました。
◎深くて、切なくて、心があったかくなるお話。父さんのゾウのような存在はだれに
 でも現れる可能性があると思わされました。

◆3位 『魔女だったかもしれないわたし』
                エル・マクニコル作 櫛田理絵訳 PHP研究所
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 自閉の傾向がある少女アディは、魔女狩りの歴史に興味を持つ。人とちがうという
だけで処刑された女性たちを自分と重ね、犠牲者のために慰霊碑をつくれないかと考
えて……。ニューロダイバーシティをテーマにした、少女の成長物語。

◎自閉症スペクトラムの少女について、自閉症スペクトラムの筆者が描いただけあっ
 て、感じ方、考え方が非常に詳細かつリアルに描かれていて非常に興味深かったで
 す。そして何より、自閉症傾向のある人の側に立って読み進められるほど引き込ま
 れました。
◎主人公アディは自閉的。いわゆる定型の人たちにあわせようと類語辞典を愛用する
 姿に胸がぎゅっとなった。魔女たちへの偏見に「どうしてみんな平気なの?」とい
 う心の声が忘れられない。今年一番好きな主人公。
◎障害から人に疎まれることもありながらも、意思を貫こうとする主人公を応援して
 いた。周りの人たちの支えも温かく感じた。

◆4位 『住所、不定』スーザン・ニールセン作 長友恵子訳 岩波書店
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 家をなくし、母親とキャンピングカーで暮らしているフィーリックスは、生活が困
窮しているのに、だれにも助けを求めることができないでいた。クイズ番組で賞金を
獲得して状況を改善しようとするが……。子どもの「見えない貧困」を描いた作品。

◎ニールセンはいいですね。展開が喜怒哀楽に富んでいて、ぐいぐい引き込まれます。
 翻訳も素敵です!
◎極めてシリアスな問題をごまかさずにきちんと描きながら、ユーモアさえ感じさせ
 る筆致で一気に読ませる。この作家さん、前作もそうでしたがすばらしい。ラスト
 のひとことに温かい涙があふれた。
◎辛い中でなんとか踏ん張ろうとする主人公に共感。しんどくて楽しいストーリー。
◎見えない貧困ってこういうことなんだなというリアリティに引き込まれ一気読み。

◆5位(2作同点) 『彼の名はウォルター』
              エミリー・ロッダ作 さくまゆみこ訳 あすなろ書房
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 遠足の途中で、田舎道に取り残されたコリンたち。嵐をよけるために入った不気味
な屋敷で『彼の名はウォルター』という本を見つけた。その本に描かれていたのは驚
くべき真実だった。2019年オーストラリア児童図書賞 Younger Readers 部門受賞作
品。

◎こんなにも震えながら読んだ本は初めて。ラスト数章は鳥肌が立ちっぱなし。おと
 ぎ話から立ち上ってくる人間の本質に目を見開かされる。人間の様々な情に翻弄さ
 れた真実がついに明らかになるとき、なお震えは止まらなかった。
◎作中作が重要な鍵となっている物語。ページをめくる手がとまらなくなるほど話の
 力にぐいぐい引っ張られ、すべてが明らかになるラストで様々な感情が押し寄せる
 印象に残る作品。

◆5位(2作同点) 『トラからぬすんだ物語』
                   テェ・ケラー作 こだまともこ訳 評論社
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 おばあちゃんと暮らすために引っ越してきたリリー。その目の前にトラが姿をあら
わした。トラは、おばあちゃんが昔ぬすんだ物語を取り返しに来たのだといって……。
韓国にルーツを持つ作者が描く、2021年ニューベリー賞受賞作品。

◎家族を思うそれぞれの気持ちに感動。また、目立たなかった少女の成長にも胸が熱
 くなる。
◎主人公リリーの戸惑いと成長と、大好きなハルモニとの絆と……。読み応えがあり
 ました。
◎物語のなかの物語がきいている。おばあちゃんの、クセのある英語のはなしかたが
 とてもチャーミングに訳されているのにほれぼれしてしまった。

◆7位以下の作品
7位『ガラスの顔』
8位『かわいい子ランキング』
9位『13枚のピンぼけ写真』
10位『飛べないハトを見つけた日から』


      ★☆★☆【2022年 第25回やまねこ賞 絵本部門】☆★☆★

★大賞 『夜をあるく』マリー・ドルレアン文・絵 よしいかずみ訳 BL出版
Amazonで検索する:書名と作者名

 夏の夜。青い闇があたりを包んでいる。家族は約束の時間に目を覚ますと、しずか
に着替えをすませ、リュックを背負って歩きはじめる。非日常の宝物のようなひとと
きを少ない色数とシンプルなストーリーに凝縮させた作品。本国フランスでも複数の
文学賞を受賞するなど高い評価を受けた。
(本誌2022年6月号「訳者が語る! 注目の本」をご参照ください)
▽本誌バックナンバー2022年6月号
http://www.yamaneko.org/mgzn/dtp/2022/06.htm#hehon3

◎日本絵本賞翻訳絵本賞。落ち着いた雰囲気のすてきな絵本が選ばれてうれしい。見
 上げる梢と星空の絵が特にすてき。
◎夜の街や森の静謐さ、そこへ入るわくわく感、その先にある対照的なまぶしさ。子
 どもたちみんなに体験してほしい。
◎夜の色を描くってとてもすごいこと。そして訳文からも暗さのグラデーションや空
 気の感触が伝わってくる。
◎絵が美しい。家族で歩く夜の遠足、いいな。やってみたかった。
◎夜の闇を、家族の楽しみとして味わえる幸福! それを思い出させてくれる一冊。
◎どこまでも続く深い青の世界に、建物の照明や月光のまばゆい黄色が引き立つ美し
 い作品。感覚が研ぎ澄まされ、まるで一緒に森や山を歩いているような感覚を味わ
 った。

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        ☆【受賞のことば】 翻訳家 よしいかずみさん☆
 やまねこ賞を受賞する日がくるなんて夢のようです。この作品は長引くコロナ禍に
おいてオリジナルのフランス語版が奇跡的に入手できたことや、フランス語の翻訳、
英訳版との比較など、いくつもの偶然や挑戦が重なって出版に至った、たいへん思い
出深い作品です。刊行になって1年、たくさんの方々から感想をお聞きして、さまざ
まな感動を共有することができ、とてもうれしく思っています。本当にありがとうご
ざいました!
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◆2位 『ここがわたしのねるところ せかいのおやすみなさい』
   レベッカ・ボンド文 サリー・メイバー作画 まつむらゆりこ訳 福音館書店
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 ベッド、ハンモック、畳に敷いた布団――世界各地の「ねるところ」を刺繍で表現
し、寝具の特徴をやさしい語り口で解説。糸だけでなくフェルトやビーズなどさまざ
まな素材を使い、2年がかりで制作された精巧な刺繍は、息をのむ美しさ。

◎安らぎと温かさにあふれてる。刺繍で描かれた舞台が素晴らしくて、もう圧巻!
◎フェルトと刺しゅう糸のふっくらしたあたたかさが、子どもたちが安心して眠る場
 所の紹介にしっくりと合う。
◎さまざまな国の子どもたちが寝る風景を、色鮮やかな刺繍作品で表現した絵本。気
 候や文化のちがいに好奇心を刺激されると同時に、世界中の子どもたちが安心して
 寝られるようにと願わずにはいられません。
◎うつくしく繊細な刺しゅうに見入る。安心して眠れるのは平和あってこそと強く思
 う。

◆3位 『スーツケース』
        クリス・ネイラー・バレステロス文・絵 くぼみよこ訳 化学同人
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 遠いところからやってきた、みなれない動物。キツネやリスたちは、動物のスーツ
ケースの中身が気になって……。動物たちの心温まる交流に、現代にも通じるメッセ
ージがこめられている。2020年ケイト・グリーナウェイ賞ショートリスト選出作品。

◎かわいいほのぼのとした絵本のようで、悲しい過去を乗り越えてきた主人公の悲哀
 が感じられて心に残った。
◎献辞にあるとおり、「とおくであらたなせいかつをはじめているすべてのひと」に
 思いをはせたくなる。本自体が作中のスーツケースに見える装丁も素敵。
◎スーツケースひとつに自分なら一体何をいれるだろう。このみなれない動物の事情
 はわからないが、それを慮ろうとしたほかの動物たちと、それ故の失敗をゆるした
 みなれない動物の寛容さがうれしい。

◆4位 『ボクサー』ハサン・ムーサヴィー文・絵 愛甲恵子訳 トップスタジオHR
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 ボクサーは、なぜ孤独なのか。なぜこぶしをふるうのか。デフォルメされ一際大き
く描かれた背中が、一語一語刻みこむような言葉が、読者に問いかける。詩の国イラ
ンで生まれた、2019年ブラチスラバ世界絵本原画展グランプリ受賞作品。
(本誌2022年4月号「プロに訊く連動レビュー」をご参照ください)
▽本誌バックナンバー2022年4月号
http://www.yamaneko.org/mgzn/dtp/2022/04.htm#ehon

◎ハートがついたグローブでひたすらうつ。絵がかたる言葉がすごい、すごすぎる。
 いや、言葉自体もすごい、すごい。
◎圧倒的な絵の迫力。すごい。これは絵本ならでは。これからも、さまざまな言語や
 文化圏の作品がどんどん日本にやってきてほしい。翻訳をする人の存在は大きいと
 あらためて感じた作品。
◎画力にひきこまれました。翻訳時に原書の絵を反転させたというエピソードを聞い
 て、異文化の絵本だな、としみじみ思いました。
◎私たちは、学んだり、知識を得たり、体を鍛えたり、さまざまな力を身につけよう
 としています。その力はいったい何のため、どんな風に使うのでしょうか。そんな
 ことを思いました。

◆5位 『マイロのスケッチブック』
           マット・デ・ラ・ペーニャ文 クリスチャン・ロビンソン絵
                           石津ちひろ訳 鈴木出版
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 お姉さんと地下鉄に乗るマイロ。乗り合わせた人たちのふだんの姿を想像し、絵に
してみると……。『おばあちゃんとバスにのって』(石津ちひろ訳/鈴木出版)など
で人気を博している作家・画家ペアによる作品。マイロの描く絵にテーマを語らせる
という、絵本ならではの発想が光る。

◎自分の中にある偏見にはっと気づかされるすごい作品。
◎誰に何と言われようとも、子どもにとってお母さんはお母さんなのだ!!!
◎人は見かけだけでは全然わからない生活を送っているというマイロの気づきが心の
 視野をぐっと広げてくれる。マイロの豊かな想像力が、今のマイロの生活を支えて
 いると思うし、これからの家族の日々の原動力となっていくと思う。

◆6位以下の作品
6位『ニッキーとヴィエラ ホロコーストの静かな英雄と救われた少女』
7位『ことばコレクター』
8位『おばあさんとトラ』『森のなかの小さなおうち』
  『ライラックどおりのおひるごはん みんなでたべたいせかいのレシピ』
  『わたしのバイソン』(4作同点)

 見事大賞に輝かれました越前敏弥さん、よしいかずみさん、おめでとうございます!
お忙しいところ、快く「受賞のことば」をお寄せくださったおふたりに、心から感謝
申し上げます。
 今年のやまねこ賞では、読み物部門46作品、絵本部門47作品に投票がありました。
本誌に掲載したタイトルは10位までですが、「これまでのあゆみ
( http://www.yamaneko.org/yn_award/index.htm#ayumi )」の「過去の投票の様子」
で、投票があった全作品のタイトルをご確認いただけます。別賞(原書部門、オール
タイム部門)もあわせて、ぜひご覧ください。

【参考】
▽やまねこ賞受賞作品リスト(やまねこ翻訳クラブ資料室)
http://www.yamaneko.org/bookdb/award/yn/index.htm

▽やまねこ賞大賞受賞作品一覧(やまねこ翻訳クラブ資料室)
http://www.yamaneko.org/bookdb/award/yn/ichiran.htm

                           (池田幸子/綿谷志穂)

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●注目の本(邦訳読み物)●巨大観覧車から消えた少年の行方は?
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『ロンドン・アイの謎』 シヴォーン・ダウド作/越前敏弥訳
東京創元社 定価1,900円(本体) 2022.07 252ページ ISBN 978-4488011161
"The London Eye Mystery" by Siobhan Dowd
David Fickling Books, 2007
★2008年カーネギー賞ロングリスト作品
★2008年チルドレンズ・ブック賞高学年向け部門ショートリスト作品
★2007-08年ビスト最優秀児童図書賞受賞作品
★2011年銀の石筆賞佳作受賞作品
★2012年イタリア・アンデルセン賞最優秀読み物12歳以上受賞作品
Amazonで検索する:ISBN  Amazonで検索する:書名と作者名


 12歳のテッドと姉のカットは、地方から訪ねてきたいとこのサリムを連れて巨大観
覧車、ロンドン・アイに乗りにきた。チケット売り場の長い行列に3人で並んでいる
と、見知らぬ男がチケットを1枚だけゆずってくれた。そこで、ロンドン・アイが初
めてのサリムがひとりで乗ることになり、テッドとカットは彼が乗り込むところを見
守った。しかし、一周して降りてきた乗客たちのなかにサリムの姿がない。彼はいっ
たいどこに消えてしまったのか? 特殊な頭脳を持つテッドと、サリムをひとり乗せ
たことに責任を感じたカットのふたりは、残されたわずかな手がかりをたどりながら
その行方を追う。
 本作の魅力の1つは、なんといってもテッドの推理だ。作中では「症候群」と書か
れているだけで詳しい説明はないが、テッドの脳のはたらき方はほかの人とちょっと
ちがう。人の気持ちを読むのは苦手な一方、論理的に思考するのは得意だ。サリムが
消えた理由について、テッドは9つの仮説をたてた。そのなかには科学的に不可能で
はないが、かなり突飛なものもあり、現実的なカットに「ありえない」と一蹴されて
しまったりする。しかし、そんな仮説があとで重要なヒントにつながってくるのだか
らおもしろい。
 テッドとカットの関係が変化していくところも本書の見どころだ。カットは基本的
には優しい子なのだが、空気の読めない弟にきつくあたることも多い。しかし謎を解
明していく過程で、ふたりは互いのすばらしい相棒になっていく。テッドの推理を元
に、行動的なカットが家を抜けだして証人を探したり、行き詰まったときには、カッ
トがテッドの分析力をあてにしたり。姉弟が互いを補完しながら次第に絆を深めてい
く様子は、読んでいて温かい気持ちになる。
 著者のダウドは本作発表後まもなく、惜しくも47歳で早逝した。遺された構想をも
とに、本作の続編 "The Guggenheim Mystery"(ロビン・スティーヴンス作)が出版
されており、その邦訳、『グッゲンハイムの謎』(越前敏弥訳/東京創元社)は今月
刊行されたばかり。NYを舞台としたテッドの次の活躍も見のがせない。

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【作】シヴォーン・ダウド(Siobhan Dowd):1960年、アイルランド系の両親のもと
に生まれる。オックスフォード大学卒業後、作家や子どもの権利を擁護する活動に携
わる。2006年に "A Swift Pure Cry" で小説家デビューするが、翌年乳がんで逝去し
た。死後に発表された "Bog Child"(『ボグ・チャイルド』千葉茂樹訳/ゴブリン書
房)は、2009年のカーネギー賞およびビスト最優秀児童図書賞を受賞した。

【訳】越前敏弥(えちぜん としや):1961年生まれ。ミステリーをはじめ、幅広い
ジャンルの訳書があり、『新訳 思い出のマーニー』(ジョーン・G・ロビンソン作
/ないとうふみこ共訳/KADOKAWA)等、児童書の翻訳も多く手がける。著書に『文芸
翻訳教室』(研究社)等多数、最新の著書に『シートン動物記で学ぶ英文法』(倉林
秀男共著/アスク出版)がある。後進の育成や海外文学の普及にも力を入れている。

【参考】
▼越前敏弥公式 note
https://note.com/t_echizen/

▼越前敏弥公式ツイッター
https://twitter.com/t_echizen

                                (平尾陽子)

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●賞情報●2022年全米図書賞児童書部門発表!
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 11月16日、2022年全米図書賞の受賞作品が発表された。本号では、全5部門のうち
児童書部門の受賞作品を紹介するとともに、そのレビューをお届けする。なお、同部
門のファイナリストおよびロングリストに選ばれた作品は、本誌2022年10月号「賞情
報:速報! 2022年全米図書賞児童書部門 ファイナリスト発表!」を参照のこと。

The National Book Awards 2022 Winner

★児童書部門(Young People's Literature)

"All My Rage" by Sabaa Tahir (Razorbill)

 2022年全米図書賞児童書部門は、米国カリフォルニア州で育った Sabaa Tahir(サ
バア・タヒア)が手がけたYA小説 "All My Rage" が受賞した。同作は本年のボス
トングローブ・ホーンブック賞フィクションと詩部門にも輝いている。詳しくは、本
誌今月号のレビューをご参照いただきたい。

【参考】
▼2022年全米図書賞発表ページ(National Book Foundation ウェブサイト内)
https://www.nationalbook.org/awards-prizes/national-book-awards-2022/

▼上記ウェブサイト内、児童書部門発表ページ
https://www.nationalbook.org/awards-prizes/national-book-awards-2022/?cat=ypl

▽本誌バックナンバー(2022年10月号)
    「賞情報:速報! 2022年全米図書賞児童書部門 ファイナリスト発表!」
http://www.yamaneko.org/mgzn/dtp/2022/10.htm#sokuho

▽全米図書賞児童書部門受賞作品リスト(やまねこ翻訳クラブ資料室)
http://www.yamaneko.org/bookdb/award/us/nba/index.htm

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★2022年全米図書賞児童書部門受賞作品
★2022年ボストングローブ・ホーンブック賞フィクションと詩部門受賞作品

"All My Rage" 『さまよえる者たち』(仮題)
by Sabaa Tahir サバア・タヒア作
Atom, 2022, ISBN 978-0349125251 (UK) (Kindle)
Atom, 2022, 384pp. ISBN 978-0349125268 (UK) (PB)
(このレビューは電子書籍版を参照して書かれています)
Amazonで検索する:ISBN  Amazonで検索する:書名と作者名

 時は現代。18歳の少年サルと少女ヌールは6歳からの幼なじみだ。パキスタン系移
民で、アメリカの小さな町で暮らしている。その激動の日々を、サルとヌールが交互
に語り、そこにサルの母の回想を差しはさむ形式で綴られていく。
 サルはアメリカで生まれた。両親がカリフォルニアでモーテルの経営をはじめたが、
母が慢性腎臓病で亡くなってしまう。父はアルコール依存症だ。母の死後、一家に莫
大な借金があることを知ったサルは、ある犯罪に手を染める。返済できなければモー
テルを売却せねばならず、それだけは阻止したかったからだ。一方、ヌールは祖国で
起きた天災で親を失い、6歳でアメリカに避難してきたものの、一部の差別主義者か
らの偏見に晒される。さらに、成績優秀なのに家庭の事情で大学進学をあきらめかけ
ていた。いつしかサルに恋したヌールは、試練を前にその思いを成就させられるのか。
 ふたりに降りかかる災難はこれだけでは終わらない。それぞれの〈怪物〉に苦しめ
られていた。それは卑劣な人物なのだが、作中で〈怪物〉という言葉が繰り返される
ため、その意味にさらに深みがあるように思える。目には見えない暗い何かが物語に
まとわりついていたように感じたのだ。さしずめ、人生の理不尽さや、抑えられない
怒りといった心の影だろう。
 移民1世、2世のサルとヌールは運命に翻弄されつづけるが、本作は辛いばかりの
悲劇ではない。哀しみと怒りがうずまく心と向き合った、勇気ある若者の物語なのだ。
さらに、18歳らしい甘酸っぱい恋の行方も読みどころだ。特に印象的なのは、ヌール
が言った、「ふるさとをなくしたわたしに居場所はないが、サルといると心地いい」
という言葉だ。かけがえのない人と過ごせる喜びは大きい。ほかにふたりに力を与え
るのは、幅広いジャンルの音楽だ。折にふれて言及される曲 "The Wanderer" は、ジ
ョニー・キャッシュと U2(それぞれアメリカとアイルランドのミュージシャン)が
コラボレーションした名作で、荒れ野をさまよい救いを探す者の歌だ。自らの心情に
重なる音楽に導かれ、サルとヌールは、喪失感から癒されていく。

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【作】Sabaa Tahir(サバア・タヒア):ロンドン生まれのYA作家。本作の主人公
サルと同様、米国カリフォルニアで家族経営のモーテルで育った。ファンタジーとコ
ミックとインディーミュージックをこよなく愛す。2015年に "An Ember in the
Ashes"(『仮面の帝国守護者(上・下)』原島文世訳/早川書房)でデビュー。同シ
リーズ "Ember Quartet" は世界中でミリオンセラーを記録している。

【参考】
▼サバア・タヒア公式ウェブサイト
https://sabaatahir.com/

▼全米図書賞公式ウェブサイト内作品紹介ページ
https://www.nationalbook.org/books/all-my-rage/

                                (小原美穂)

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●mikiron の親ばか絵本日誌●第12回 『3人のママと3つのおべんとう』
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 本コーナーでは、わたくし mikiron が親ばかを承知のうえで、6歳の息子「青
(しょう)ちゃん」との日常を記しつつ、お気に入りの絵本をご紹介していきます。
どうぞおつきあいくださいませ。

 残りわずかとなった、青ちゃんの幼稚園生活。週に2回お弁当の日があるのですが、
これがいつも悩みの種です。偏食がひどく、緑色の野菜は口にしないので、結局似た
りよったりの茶色っぽいお弁当ばかり。でも給食の日は野菜もがんばって食べている
らしいし、せっかく楽しみにしてくれているお弁当なので好物を入れてあげようと思
い、少しだけ早起きして用意しています。小学生になってお弁当作りから解放される
日が待ち遠しいような、なんだか寂しいような、複雑な心境の今日このごろです。
 そんなとき、『3人のママと3つのおべんとう』(クク・チスン文・絵/斎藤真理
子訳/ブロンズ新社)という韓国の絵本を手にとりました。タイトルのとおり、同じ
マンションに暮らし、同じ幼稚園に通う子どもを持つ3人の母親たちが描かれます。
遠足の日の朝、それぞれが慌ただしくお弁当の準備をしています。会社勤めのお母さ
んは、いつもより早起きしてレシピを見ながらお弁当作り。作者がモデルと思われる
イラストレーターのお母さんは、徹夜明けでのり巻きを買いに走り、お弁当箱に詰め
て持たせます。専業主婦のお母さんは、赤ちゃんをおんぶしながら身支度を手伝い、
バス停まで送り届けます。そのあと、3人は仕事や家のことをして過ごしながら、ふ
とした瞬間に「おべんとうたべたかな……」と、わが子に思いをはせるのでした。お
迎えにいくと、素敵なサプライズが待っているとも知らずに。
 母親たちの日常がどれもリアルで、「わかる!」とうなずきながら読みました。子
どもの世話や家事に追われて一日が過ぎていき、いろんなことをやっているのに何も
していない気がするむなしさ。子どもを送り届けたと思ったら、息つく暇もなく仕事
に追われ、それでも早く顔が見たくて急いで迎えにいく気持ち。それぞれの立場で子
育てに奮闘する姿がどれもユーモラスで微笑ましいのは、色鉛筆でふんわりと描かれ
る、温かく優しい絵のおかげでしょうか。言葉少なで多くを語らない絵本ですが、だ
からこそ胸を打つものがあります。慌ただしい日常のなか、ふと足をとめ、季節の移
ろいに気づく心の余裕を持つことで、また新たな気持ちでわが子に接することができ
ます。最後のページのお弁当箱の絵を見て喜んでいた青ちゃん。天気のいい休日には、
たまにはお弁当を持ってピクニックもいいですね。絵本のなかの季節は花の咲き乱れ
る春だけれど、今はまだ寒いかな……?

『3人のママと3つのおべんとう』を Amazonで検索する:書名と作者名

【参考】
▽本誌バックナンバー「親ばか絵本日誌」コーナー
http://www.yamaneko.org/mgzn/corner/oyabaka.htm

                                (山本みき)

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●賞速報━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

★2022年ドイツ児童文学賞発表
★2023年度アストリッド・リンドグレーン記念文学賞候補者発表
                     (受賞者の発表は2023年3月の予定)
★2023年カーネギー賞作家賞(旧カーネギー賞)、カーネギー賞画家賞(旧ケイト・
 グリーナウェイ賞)ノミネート作品発表
   (ロングリストの発表は2023年2月15日、ショートリストの発表は3月15日、
                        受賞作品の発表は6月の予定)

 海外児童文学賞の書誌情報を随時掲載しています。「速報(海外児童文学賞)」を
ご覧ください。
http://www.yamaneko.org/cgi-bin/sc-board/c-board.cgi?id=award

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●イベント速報━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

★展示会情報
 自然と科学のミュージアム 森の工舎「ようこそ!絵本のまちへ展」
 太田市美術館・図書館「2022イタリア・ボローニャ国際絵本原画展」 など

★講座・講演会情報
 岡山国際交流センター
  おかやま子どもの本の会講演会「子どもの本で多様な窓をあける」
 あかがねミュージアム
  「市制85周年記念 特別企画展
     五味太郎作品展[絵本の時間]3 トークショー&サイン会」 など

 新型コロナウイルス感染拡大の影響で、イベントは中止や延期になる場合がありま
す。最新の開催情報は「児童書関連イベント情報掲示板」掲載の各参考ウェブサイト
でご確認ください。
http://www.yamaneko.org/cgi-bin/sc-board/c-board.cgi?id=event

 ツイッターアカウントでも最新情報を提供していますので、どうぞご注目ください。
▽やまねこ翻訳クラブ*イベント情報 Twitter
https://twitter.com/YamanekoEvent

                          (山本真奈美/冬木恵子)

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                         「月刊児童文学翻訳」編集部

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●編集後記●毎年恒例のやまねこ賞。第25回を迎えた今年は、読み物と絵本をあわせ
てのべ100作品近くに投票がありました。全タイトルは記事内でご紹介している「や
まねこ賞ポータルページ」からご確認いただけますので、ぜひご覧ください。2022年
も「月刊児童文学翻訳」をご購読いただきありがとうございました。2023年もどうぞ
よろしくお願いいたします。(ひ)
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編集人 平野麻紗/三好美香/森井理沙(やまねこ翻訳クラブ スタッフ)
企 画 赤塚きょう子 池田幸子 牛原眞弓 尾被ほっぽ 沖智子 かまだゆうこ
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協 力 からくっこ キジトラ ながさわくにお みちこ
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