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やまねこ10周年記念「世界の児童文学賞ラリー」レビュー集
チルドレンズ・ブック賞(イギリス) |
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最終更新日 2009/05/01 新規公開
このレビュー集について 10周年記念「世界の児童文学賞ラリー」においてやまねこ会員が個々に書いたレビューを、各児童文学賞ごとにまとめました。メ ールマガジン「月刊児童文学翻訳」や「やまねこのおすすめ」などに掲載してきた〈やまねこ公式レビュー〉とは異なる、バラエティーあふれるレビューをお楽しみください。
なお、レビューは注記のある場合を除き、邦訳の出ている作品については邦訳を参照して、邦訳の出ていない作品については原作を参照して書かれています。
以下の受賞作品は、他の賞のレビュー集ですでにレビューを公開しています。
2008年幼年向け部門 "Penguin"『ペンギンさん』 / 2008年低学年向け部門 "Ottoline and the Yellow Cat" / 2008年高学年向けショートリスト "The London Eye Mystery" / 2007年幼年向け部門ショートリスト "The Incredible Book Eating Boy" 『よにもふしぎな本をたべるおとこのこのはなし』 / 2007年幼年向け部門ショートリスト "Silly Billy" 『びくびくビリー』 / 2007年高学年向け部門 "Girl, Missing" / 2002年幼年向け部門ショートリスト "Katje, the Windmill Cat"『風車小屋ねこカッチェ』 / 2000年長編読み物部門ショートリスト "The Illustrated Mum" /
本ページのレビュー
2003年低学年向け部門ショートリスト "Cool!"『負けるな、ロビー!』 / 2009年幼年向け部門ショートリスト "The Pencil"『えんぴつくん』
2003年チルドレンズ・ブック賞 低学年向け部門ショートリスト
"Cool!" (2002) by
Michael Morpurgo
マイケル・モーパーゴ 『負けるな、ロビー!』 佐藤見果夢訳 評論社 2008.09 |
その他の受賞歴 |
ぼくは、ロビー。飼い犬を追いかけて道に飛び出し、交通事故にあってしまった。目は開かず、体も動かないから、昏睡状態だってことになってるけれど、実は、まわりの話は聞こえるし、感覚もあるんだ。記憶だってはっきりしている。医者のコーシュー先生は、母さんに、 「泣かないでどんどん話しかけるように」って言ってる。「何かのきっかけで目をさます可能性があります。1番いいのは、記憶を呼び起こすことです」って。家族や友達、お医者さんや看護師さんたちが、かわるがわるやって来てぼくに話しかけてくれる。それを聞くと、いろんなことを考えたり、思い出したりする。ぼくは、起き上がってみんなと話 せるようになるのかなあ。
10歳のロビーの1人称の語りで進む本作は100ページ少々だが、ドラマがたくさん詰まっている。昏睡状態の子どもが語る設定なんて、児童文学にはめずらしいだろ
う。「お願いだから、目をさまして」と言われても、どうしても目が開かないもどかしさが続く毎日。読者も、どうなるのかと気が気ではない。そして背後には、ロビーの両親が別居している問題
もひかえている。見舞いに来た父親が、別居についてはじめて話をしてくれて、大人扱いしてもらったようでロビーが喜ぶ場面がある。そのすぐ後には、両親がどうしてうまくいかなくなったのかについて自分の考えが語られる。子どもはそういう風に考えてしまう
のかと、読んでいて心が痛んだ。 (植村わらび) 2009年5月公開 |
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2009年チルドレンズ・ブック賞幼年向け部門 ショートリスト
"The Pencil" (2008) by Allan Ahlberg アラン・アルバーグ,
illustrated by Bruce Ingman ブルース・イングマン 『えんぴつくん』 福本友美子訳 小学館 2008.11 |
その他の受賞歴 |
どこにでもあるようなえんぴつが、ある日むっくりおきあがって、絵をかきはじめます。最初に、男の子の絵。そしたら、なんと、その男の子がしゃべりだすのです。「ぼくに名前をつけて」。バンジョーという名前をもらった男の子は、えんぴつにむかってもうひとつリクエストを出しました。「ぼくに、犬をかいてよ」。犬にねこ、家に町と、世界がどんどん広がっていきますが、困ったことが! えんぴつが書いた食べ物の絵に、バンジョーたちが「食べられないよ! だって、白黒だもん!」と文句をつけたのです。 さあ、えんぴつ君はどうしたでしょう?
「さて困った、どうしよう?」が途中に何度か出てきて、読者は絵本を前に頭をひねることになります。果たして作者が用意した展開を思いつく人がいるでしょうか。さらにその先で、どんな困った状況になるのかを、予想できる人がいるでしょうか。作者の発想はユニークで、私自身はとても思いつけませんでした。でも、一緒に絵本を読んだ子どもは、あれやこれやと考えて、絵本の流れとは違うけれども自分なりの答えをひねり出していきました。脳が刺激されてくるくる動きだした時の子どもの顔ときたら! 私はその様子を見ているだけで、とても幸せな気分になりました。 (植村わらび) 2009年5月公開 |
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