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月刊児童文学翻訳

─2004年5月号(No. 60)情報編─

※こちらは「情報編」です。「書評編」もお見逃しなく!!

児童文学翻訳学習者による、児童文学翻訳学習者のための、
電子メール版情報誌<HP版+書店街>
http://www.yamaneko.org/
編集部:mgzn@yamaneko.org
2004年5月15日発行 配信数 2370

もくじ

 ◎賞情報1:2003年度ゴールデン・カイト賞発表
 ◎賞情報2:2004年国際アンデルセン賞発表
 ◎賞情報3:2004年MWA賞(エドガー賞)発表
 ◎賞情報4:2004年アガサ賞発表
 ◎賞情報5:2003年度カーネギー賞、ケイト・グリーナウェイ賞候補作発表
 ◎展示会情報:木城えほんの郷「アジアは絵本の宝庫
     ――野間国際絵本原画コンクール受賞作とえほんの郷のたからものたち展」ほか
 ◎セミナー・講演会情報:清水真砂子講演会「今、子どもの本にできること」ほか
 ◎世界の児童文学賞:第28回 ニュージーランド・ポスト児童書及びYA小説賞
 ◎読者の広場:海外児童文学や翻訳にまつわるお話をどうぞ!

●このページでは、書店名をクリックすると、各オンライン書店で詳しい情報を見たり、本を購入したりできます。

 

●賞情報1●2003年度ゴールデン・カイト賞発表

 3月17日、アメリカの児童文学賞、ゴールデン・カイト賞の発表が行われた。1973年より始まったこの賞は、内容や芸術性に富み、子どもの目からも魅力ある作品に贈られるものである。児童書作家・画家協会が主催し、賞の選考対象となるのは同協会の会員のみ。

 2003年度の★受賞作、および☆オナー(次点)は以下の通り。


2003 Golden Kite Award

○フィクション

 ★"Milkweed" by Jerry Spinelli (Alfred A. Knopf/Random House)
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 ☆"Breath" Donna Jo Napoli (Atheneum/Simon & Schuster)
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○ノンフィクション

 ★"Leonardo: Beautiful Dreamer" by Robert Byrd (Dutton/Penguin)
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 ☆"After the Last Dog Died: The True-life, Hair-raising Adventure of
   Douglas Mawson and His 1911-1914 Antarctic Expedition"
                  by Carmen Bredeson (National Geographic)
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○絵本(文)

 ★"The Dirty Cowboy" by Amy Timberlake, illustrated by Adam Rex
   (Farrar, Straus & Giroux)
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 ☆"On Sand Island" by Jacqueline Briggs Martin
   illustrated by David A. Johnson (Houghton Mifflin)
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○絵本(絵)

 ★"I Dream of Trains" by Loren Long
   text by Angela Johnson (Simon & Shuster)
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 ☆"Just a Minute" by Yuyi Morales (Chrounicle)
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 受賞作 "Milkweed" は、第二次世界大戦の最中、ナチス占領下にあるワルシャワの町を生き抜いていく、一人のユダヤ人孤児の姿を描いた作品。作者 Jerry Spinelli は、数々の文学賞を受賞しており、1997年のニューベリー賞オナーに選ばれた『ひねり屋』(千葉茂樹訳/理論社)など邦訳も多い。"Breath" は、「ハーメルンの笛吹き」というドイツの昔話を、12歳の男の子の目を通して、新しい解釈で語っている。近く邦訳出版される予定。作者 Donna Jo Napoli は、1998年にも "Stones in Water" で、同賞を受賞している。"Leonardo: Beautiful Dreamer" は、レオナルド・ダ・ヴィンチの絵画や彫刻といった作品について、難解なことで有名な本人のノートブック(アイデアなどを書きとめたもの)を読みやすく解説することで、より楽しめるように紹介している。"After the Last Dog Died" は、南極探検に向かったオーストラリア隊の、死と隣り合わせの極限状態を描く。

 絵本(文)部門受賞の "The Dirty Cowboy" では、汗と砂にまみれハエまでたかるほど体が臭いカウボーイが、川で水浴びをする間、脱いだ服の見張りを自分の犬に言いつける。ところが、あまりに爽やかな匂いのする体になってしまったため、自分の犬に別人と思われ……。"On Sand Island" は、湖に浮かぶ小さな島から漕ぎ出すために、自分のボートを作ろうとする男の子の話。作者 Jacqueline Briggs Martin は、『雪の写真家ベントレー』(メアリー・アゼアリアン絵/千葉茂樹訳/BL出版)で、1998年コールデコット賞を受賞している。絵本(絵)部門受賞の "I Dream of Trains" は、少年の電車への熱い思いと伝説のエンジニアへの憧れを通して、夢と希望を持つことの大切さを描く。"Just a Minute" は、誕生日の祝い方を通してメキシコの文化を紹介した絵本。英語とスペイン語が使われている。ブラジル民族舞踏のダンサーでもある作者が、鮮やかな色彩で生き生きとした絵を描いている。

(村上利佳)
【参考】
◆ゴールデン・カイト賞公式ページ:http://www.scbwi.org/awards.htm

◇ゴールデン・カイト賞について(本誌2000年5月号情報編「世界の児童文学賞」)
http://www.yamaneko.org/mgzn/dtp/2000/05a.htm#bungaku

◆Jerry Spinelli 公式サイト
http://www.jerryspinelli.com/newbery_001.htm

◆Jacqueline Briggs Martin 公式サイト
http://www.jacquelinebriggsmartin.com/

◆Loren Long 公式サイト
http://www.lorenlong.com/

◆Yuyi Morales 公式サイト
http://www.yuyimorales.com/



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●賞情報2●2004年国際アンデルセン賞発表

 4月、国際アンデルセン賞の受賞者が発表された。この賞は、児童文学に貢献してきた作家/画家の全業績を称え、国際児童図書評議会(IBBY)が2年に1度、西暦偶数年に発表するものである。授賞式は9月にケープタウンで行われる。各国(今回は30か国)から推薦された、26人の作家と27人の画家のうちから選ばれた受賞者、およ び最終候補者(finalists)は以下の通り。

Hans Christian Andersen Award 2004

 ★Author award: Martin Waddell (Ireland)

 ☆finalists: Barbro Lindgren (Sweden)
        Bjarne Reuter (Denmark)
        Joel Rufino dos Santos (Brazil)
        Jurg Schubiger (Switzerland) ※Jurg の u の上にウムラウト

 ★Illustrator award: Max Velthuijs (Netherland)

 ☆finalists: Rotraut Susanne Berner (Germany)
        Roberto Innocenti (Italy)
        Javier Serrano (Spain)
        Gre(´)goire Solotareff (France) ※(´)は直前の文字の上に付く

 作家賞を受賞した Martin Waddell は、150以上の作品を送りだしてきたアイルランドの作家。彼の作品の中では、「ちいくまくん」シリーズ(B・ファース絵/角野栄子訳/評論社)など、選び抜いた言葉であふれるような愛情を表現した絵本がよく知られているが、ミステリーなどの読みものや、Catherine Sefton の別名で書いたヤングアダルト向けの作品も、同じく高い評価を得た。

 画家賞を受賞した Max Velthuijs はオランダの絵本作家。「かえるくん」シリーズ(セーラー出版)をはじめとする彼の絵本の数々は、子どもたちを元気づける「小さな宝石」と審査員から賞賛された。ブラティスラヴァ世界絵本原画展賞金のりんご賞やオランダ金の石筆賞などを受賞しており、金の絵筆賞にいたっては4度の受賞経験をもつ。

 最終候補者の中には、2002年に引き続いて最終候補まで残った3人の名前がある。デンマークの Bjarne Reuter(作家賞)、ドイツの Rotraut Susanne Berner(画家賞、2000年から3回連続)、フランスの Gre(´)goire Solotareff(画家賞)で、確かな実力のほどがうかがえる。このうち、Berner が2003年に挿絵を書いた『ママは行ってしまった』(クリストフ・ハイン作/松沢あさか訳/さ・え・ら書房)は、今月号の書評編で取り上げている。作家賞最終候補者のひとり、スウェーデンの Barbro Lindgren は、『ベニーいえでする』(長下日々訳/徳間書店)など、これまで絵本を中心に16冊の邦訳が紹介されている人気の作家だ。また、Robert Innocenti は、2003年にボローニャ・ラガッツィ賞でフィクション部門特別賞を受賞している。

(植村わらび)
【参考】
◆国際児童図書評議会(IBBY)発表記事
http://www.ibby.org./Seiten/03_news.htm#andersen_winners

◆「かえるくん」(マックス・ベルジュイス作)友の会サイト(オランダ語)
http://www.kikkervriendjes.nl/

◆ Leopold(出版社)の「かえるくん」公式サイト(オランダ語)
http://www.kikkerfeest.nl/show

◇国際アンデルセン賞について(本誌1999年10月号情報編「世界の児童文学賞」)
http://www.yamaneko.org/mgzn/dtp/1999/10a.htm#a1bungaku

◇国際アンデルセン賞受賞作品リスト(やまねこ翻訳クラブ資料室)
http://www.yamaneko.org/bookdb/award/andersen/index.htm

◇マーティン・ワッデル作品リスト(やまねこ翻訳クラブ資料室)
http://www.yamaneko.org/bookdb/author/w/mwaddell.htm

◇マックス・ベルジュイス作品リスト(やまねこ翻訳クラブ資料室)
http://www.yamaneko.org/bookdb/author/v/mvelthui.htm

◇バルブロ・リンドグレン邦訳作品リスト(やまねこ翻訳クラブ資料室)
http://www.yamaneko.org/bookdb/author/l/blindg_j.htm

※編集部注
当メールマガジンでは、今までこの賞の名称を「ハンス・クリスチャン・アンデルセン賞」と表記しておりましたが、JBBY などで使われている名称にあわせ、今回より「国際アンデルセン賞」と表記することといたします。


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●賞情報3●2004年MWA賞(エドガー賞)発表

 4月29日、MWA賞(エドガー・アラン・ポー賞)が発表された。アメリカ探偵作 家クラブ(Mystery Writers of America)の主催で、前年度に発表された広義のミス テリー文学や映像作品の中より選出される。現在13の部門賞が設けられているが、本 誌では児童文学に関係する2部門のみ掲載する。

2004年の★Winner(受賞作)、☆Nominees(候補作)は以下の通り。

The Edgar Allan Poe Awards 2004

【最優秀ヤングアダルト小説賞】(Best Young Adult)

★Winner
 "Acceleration" by Graham McNamee (Wendy Lamb Books/Random House Children's)
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☆Nominees
 "The Last Treasure" by Janet Anderson (Dutton Children's Group)
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 "Feast of Fools" by Bridget Crowley (McElderry/Simon & Schuster)
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 "Death and the Arrow" by Chris Priestly (Knopf Books for Young Readers/Random House Children's)
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 "Uncovering Sadie's Secrets" by Libby Sternberg (Bancroft Press)
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 受賞作 "Acceleration" はカナダ出身の作家 Graham McNamee による作品。地下鉄の遺失物取扱所でアルバイトをする少年が、引き取り手のない忘れ物の中にストーカー男の日記を発見。そこに記された犯行予告を阻止すべく、事件に深く関わっていく。読み出したら止められないスリル満点の展開が読者を引きこむ。"The Last Treasure" は、孤独な少年が、古い屋敷に隠された財宝と一族の悲しい歴史の謎を探る物語。"Feast of Fools"、"Death and the Arrow" の2作は、ともに中世の英国を舞台にした作品。前者では教会の合唱団に属する少年達が殺人事件に巻きこまれ、後者では少年と老医師が連続殺人事件の謎を解く。一方、現代っ子の女の子が主人公の "Uncovering Sadie's Secrets" は、明るく小気味よい展開が、少女ミステリの代表 的作品 "Nancy Drew" シリーズを彷彿とさせる物語だ。



【最優秀児童図書賞】(Best Juvenile)

★Winner
 "Bernie Magruder & the Bats in the Belfry" by Phyllis Reynolds Naylor
                        (Atheneum/Simon & Schuster)
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☆Nominees
 "The Malted Falcon" by Bruce Hale (Harcourt Children's Books)
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 "Lily's Ghosts" by Laura Ruby (HarperCollins Children's Books)
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 "Dust" by Arthur Slade (Wendy Lamb Books/Random House Children's)
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 "Sammy Keyes and the Art of Deception" by Wendelin Van Draanen
           (Knopf Books for Young Readers/Random House Children's)
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 受賞作は、邦訳出版もされている「ミステリーホテル」シリーズ(偕成社)の最新作。主人公の Bernie は、父親が支配人を勤める Bessledorf Hotel に住んでいる。本作では、町を巻きこんだ奇妙な騒動をめぐり、Bernie が得意の推理を働かせて問題を解決する。作者 Reynolds Naylor は1985年以来2度目の受賞。"The Malted Falcon" は、小学校4年生の少年と相棒の小鳥が主人公のゆかいな物語だ。ホラータッチの "Lily's Ghosts" は作者 Laura Ruby の初めての児童書作品。"Dust" は、行方不明になった幼い弟をさがす兄を主人公に、SFとファンタジーの要素を含ませつ つ、結末に鮮やかな謎解きを用意した異色作である。Van Draanen は1999年に "Sammy Keys and the Hotel Thief"(『少女探偵サミー・キーズとホテル泥棒』加藤洋子訳/集英社)で本部門を受賞。昨年に引き続き、同シリーズ作品が候補作に選ばれた。

(森久里子)
【参考】
◆Mystery Writers of America 公式サイト http://www.mysterywriters.org/index.htm

◆Graham McNamee 紹介ページ(Teenreads.com サイト内)
http://www.teenreads.com/authors/au-mcnamee-graham.asp

◆Phyllis Reynolds Naylor 紹介ページ(Simon & Schuster 社サイト内)
http://www.simonsays.com/content/index.cfm?sid=510

◇MWA賞(エドガー賞)受賞作品リスト(やまねこ翻訳クラブ資料室)
http://www.yamaneko.org/bookdb/award/us/mwa/index.htm

◇MWA賞について(本誌2001年5月号情報編「世界の児童文学賞」)
http://www.yamaneko.org/mgzn/dtp/2001/05a.htm#bungaku


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●賞情報4●2004年アガサ賞発表

 5月2日、マリス・ドメスティック主催のアガサ賞が発表された。アガサ・クリスティの作品のように、過激な描写の少ない推理小説が対象。Best Novel、Best First Mystery Novel、Nonfiction、Short Story、Children's/YA の5部門に分けられている。ここでは児童文学に関する1部門のみ掲載する。

2004年の★Winner(受賞作)、☆Nominees(候補作)は以下の通り。

2004 Agatha Award

【児童書及びヤングアダルト部門】(Children's/YA)

★Winner
 "The 7th Knot" by Kathleen Karr (Marshall Cavendish)
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☆Nominees
 "Gangsters at The Grand Atrantic" by Sarah Masters Buckey
                             (Pleasant Company)
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 "Danger, Dynamite!" by Anne Capeci (Peachtree Publishers)
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 "Ghost Light on Graveyard Shoal" by Elizabeth McDavid Jones
                             (Pleasant Company)
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 "The Secret of The Equestrian Park" by Gay Toltl Kinman (Amber Quill Press)
amazon.comロゴ(シリーズ5作の PB 版)

 受賞作 "The 7th Knot" の舞台は19世紀末のヨーロッパ。ウィックとマイルの兄弟は叔父とともに、夏休みをつかってグランド・ツアーに出た。ところが旅の途中、叔父の連れていた怪しげな侍従が失踪してしまう。彼の捜索をきっかけに、ふたりは事件に巻き込まれていく。作者の Kathleen Karr が2000年に執筆した作品 "The Boxer" は、ゴールデン・カイト賞をふくめ多くの賞を受賞した。"Gangsters at the Grand Atrantic" は、American Girl History Mysteries の1冊。作者は違うが昨年もこのシリーズから同賞の候補作が出ている。ギャングのはびこる街に住む12歳のエミリーは、姉と一緒に海にのぞむ素敵なホテルで夏を過ごせることになった。大喜びしたのもつかの間、同じホテルにギャングのボスも滞在していることを知り……。Anne Capeciは、TVアニメやドラマでおなじみの「マジックスクールバス」シリーズや、可愛い小犬が登場する「ウィッシュボーン」シリーズも手がけている作家。"Danger, Dynamite!" は、鉄道のトンネル工事の作業場から盗まれたダイナマイトの行方を追う10歳のビリーと友人の話。この作品もシリーズ化され、2004年4月に2作目が出版されている。Elizabeth McDavid Jones は、本賞と同様に推理小説を対象にしたMWA賞最優秀児童図書賞を、2000年に受賞した作家である。"Ghost Light on Graveyard Shoal" も American Girl History Mysteries の1冊。島育ちで外に出たことのないローダは、ある日、岬沿いの墓地の上で怪しく輝きながら移動する光を見た。難破船の船長の亡霊なのだろうか? Gay Toltl Kinman は、一昨年 Alison Leigh Powers Misteries 1作目で同賞の候補に挙がった。今回の作品はシリーズ5作目で、前作同様 e-book での出版である。厩舎の仕事を手伝うアリソンの周りで、次々と不吉なことが起こる。

(西薗房枝)
【参考】
◆MALICE DOMESTIC 公式サイト
http://www.malicedomestic.org/

◆Gay Toltl Kinman 公式サイト
http://www.gaykinman.com/index.htm

◇アガサ賞について(本誌2002年6月号情報編「世界の児童文学賞」)
http://www.yamaneko.org/mgzn/dtp/2002/06a.htm#bungaku



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●賞情報5●2003年度カーネギー賞、ケイト・グリーナウェイ賞候補作発表

 4月30日、カーネギー賞およびケイト・グリーナウェイ賞のショートリスト(最終候補作)が発表された。英国図書館協会が主催するこの賞は、イギリスでは最も権威ある児童文学賞である。今年は3月5日にロングリストとしてカーネギー賞に39作品、ケイト・グリーナウェイ賞に37作品があがっていた。発表、授賞式は7月9日。ショートリストは以下の通り。
(ロングリストは、出版翻訳ネットワークの「出版翻訳ニュース」に掲載。
http://litrans.jp/ltnetc/newspw/pukiwiki.php?%B4%FB%CA%F3%B5%AD%BB%F6

【カーネギー賞候補作】〜 Carnegie Medal 〜(作家対象)

"The Fire-eaters"      by David Almond (Hodder Children's Books)
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"A Gathering Light"     by Jennifer Donnelly (Bloomsbury)
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"The Curious Incident of the Dog in the Night-time"
               by Mark Haddon (David Fickling Books)
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 (『夜中に犬に起こった奇妙な事件』)
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"The Garbage King"      by Elizabeth Laird (Macmillan)
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"Private Peaceful"      by Michael Morpurgo (Collins)
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"Sisterland"         by Linda Newbery (David Fickling Books)
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 最終候補作には、既に各賞を受賞した作品がそろった。本賞の常連となった David Almond の "The Fire-eaters" は2003年スマーティーズ賞金賞、ウィットブレッド賞児童書部門を受賞した。Almond の作品は『ヘヴンアイズ』(金原瑞人訳/河出書房新社)など3冊邦訳されている。Jennifer Donnelly の "A Gathering Light"(原題 "A Northern Light")は2004年プリンツ賞オナー(次点)に選ばれた。20世紀初頭のアメリカで、人生の岐路に立った16歳の少女の物語。Mark Haddon の "The Curious Incident of the Dog in the Night-time"(『夜中に犬に起こった奇妙な事件』/小尾芙佐訳/早川書房)は、2003年ガーディアン賞、ウィットブレッド賞小説部門および最優秀賞などを受賞している。4度目のノミネートとなった Elizabeth Laird は、ロングリストに2作品あがっていた。最終候補に残った "The Garbage King" は、エチオピアを舞台にした、異なる境遇からストリート・チルドレンとなったふたりの少年の物語。Laird の邦訳には2002年本賞候補となった『今、ぼくに必要なもの』(中村久美訳/ピエ・ブックス)などがある。Michael Morpurgo も4度目のノミネート。"Private Peaceful" は2003年ウィットブレッド賞候補になった、第一次世界大戦の戦場を舞台とした作品。Morpurgo は昨年5月に、子どもたちの投票によって選ばれる、第3代 The Children's Laureate に任命され、子どもと本のために活躍している。邦訳には、2000年チルドレンズ・ブック賞を受賞した『ケンスケの王国』(佐藤見果夢訳/評論社)などがある。Linda Newbery は、昨年の "The Shell House" に続いて最終候補に残った。"Sisterland" は、アルツハイマー病を患った祖母を引き取ったことから、孫娘が祖母の秘められた過去を探っていく話。

(竹内みどり)
【参考】
◆David Almond 公式サイト
http://www.davidalmond.com/

◆Jennifer Donnelly 公式サイト
http://www.jenniferdonnelly.com/

◆Linda Newbery 公式サイト
http://www.lindanewbery.co.uk/

◇やまねこ翻訳クラブ資料室:作家・画家別作品リスト
http://www.yamaneko.org/bookdb/author/index.htm

◇"The Fire-eaters" のレビュー(本誌2003年10月号書評編)
http://www.yamaneko.org/mgzn/dtp/2003/10b.htm#fireeate

◇"A Gathering Light" のレビュー(本誌2004年2月号書評編)
http://www.yamaneko.org/mgzn/dtp/2004/02b.htm#n_light

◇『夜中に犬に起こった奇妙な事件』のレビュー(本誌2003年10月号書評編)
http://www.yamaneko.org/mgzn/dtp/2003/10b.htm#curious

【ケイト・グリーナウェイ賞候補作】〜 Kate Greenaway Medal 〜(画家対象)

"The Shape Game"       by Anthony Browne (Doubleday)
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"Beegu"            by Alexis Deacon (Hutchinson)
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 (『ともだちになって』)
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"Always and Forever"     by Debi Gliori, text by Alan Durant (Doubleday)
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"The Pea and the Princess"  by Mini Grey (Red Fox)
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"Ella's Big Chance"      by Shirley Hughes (The Bodley Head)
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"The Wolves in the Walls"   by Dave McKean, text by Neil Gaiman (Bloomsbury)
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"Bob Robber and Dancing Jane" by Bee Willey,
               text by Andrew Matthews (Jonathan Cape)
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"Two Frogs"          by Chris Wormell (Red Fox)
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 本年度の候補には、新人からベテランまでの幅広い層が選ばれた。また、有名なおとぎ話がベースになっているものが2作品あるのも今年の特徴だ。

 まずは本賞常連の Anthony Browne から。"The Shape Game" は、"Zoo"(『どうぶつえん』藤本朝巳訳/平凡社、1992年本賞受賞作)で登場した家族が美術館に行く設定。母親の提案にしぶしぶ従った家族だが、絵を見ているうちに絵画鑑賞の楽しみに気づく。この作品は、作者がテート・ブリテン(旧テート・ギャラリー)の子ども向けワークショップを指導したことから生まれた。実際に展示されている絵もたくさん登場する。

 すでに邦訳が出版されている Alexis Deacon の "Beegu"(『ともだちになって』いずむらまり訳/徳間書店)は、地球に不時着した宇宙人の子どもピークーが、ひとりぼっちで町をさまよううちに、子どもたちと仲良くなるという心温まる話。この作品は、デビュー作の "Slow Loris" に続く2作目。

 "Always and Forever" は、キツネが亡くなり、残された動物たちがその死を受け入れていくさまを描いた作品。作者の Debi Gliori は、絵本・読み物とも数多く手がけ、日本でも邦訳が多数出版されている。また、1996年にも同賞の候補に選ばれた。

 Mini Grey の "The Pea and the Princess" は、「エンドウ豆の上に寝たお姫さま」で知られるアンデルセン童話が元になっている。主人公は、ほんとうのお姫さまかどうかを見極めるために積み重ねられた20枚の羽ふとんの下に置かれる「豆」。意外なところにも登場している豆に注目。Mini Grey の作品は、今年4月に出版されたばかりの "Biscuit Bear" を含め全部で3作あるが、本書は2番目の作品である。

 本賞常連のもうひとりである、Shirley Hughes の "Ella's Big Chance" は、シャルル・ペローによる「シンデレラ」をベースにしている。時は、1920年代。仕立て屋のエラ一家が侯爵家のパーティーに招待されたところ、継母と2人の義理の姉に意地悪され、エラだけ連れて行ってもらえなかった。エラはどのようにして幸福を手にするのだろうか。

 Dave McKean の "The Wolves in the Walls" は、ちょっと恐い話。ルーシーが壁の中にオオカミがいるといい出したことから、一家は恐怖を味わうことになる。コラージュとペン画がミックスされた独特な画風が特徴だ。Dave McKean は、Neil Gaiman(本書の文を担当)原作のアメリカン・コミック "Sandman" シリーズの表紙画で有名。

 Bee Willey の "Bob Robber and Dancing Jane" は、人から盗むことしか知らないどろぼうのボブが、楽しそうに踊りをおどるジェインに嫉妬し、ジェインの影を盗んでしまう話。闇の世界に住むボブの黒い服と、闇の中でも白く輝くジェーンのドレスが対照的に描かれている。

 2作品がロングリストに選ばれた Chris Wormell。最終候補に残った "Two Frogs"は、2003年のスマーティーズ賞の銅賞も受賞している。池に浮かぶ蓮の葉の上で、2匹のカエルがウィットに富んだ問答をする、オチが絶妙な作品。Chris Wormell は、1991年にボローニャ・ラガッツィ賞を受賞している。

(横山和江)
【参考】
◆カーネギー賞、ケイト・グリーナウェイ賞サイト
http://www.carnegiegreenaway.org.uk/

◇カーネギー賞、ケイト・グリーナウェイ賞について
               (本誌1999年7月号情報編「世界の児童文学賞」)
http://www.yamaneko.org/mgzn/dtp/1999/07a.htm#a1bungaku

◇カーネギー賞、ケイト・グリーナウェイ賞受賞作品リスト
                        (やまねこ翻訳クラブ資料室)
http://www.yamaneko.org/bookdb/award/uk/carnegie/index.htm
http://www.yamaneko.org/bookdb/award/uk/greenawy/index.htm

※編集部より
 当クラブでは、特設掲示板にて「カーネギー賞&ケイト・グリーナウェイ賞候補作を読もう会」を開催中です。
http://www.yamaneko.org/cgi-bin/c-board/c-board.cgi?id=cg2004



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●展示会情報●

◎木城えほんの郷「アジアは絵本の宝庫
    ――野間国際絵本原画コンクール受賞作とえほんの郷のたからものたち展」
所在地: 宮崎県児湯郡木城町石河内475
電 話: 0983-39-1141
会 期: 平成16年5月30日(日)まで
休館日: 月曜日
入館料: 一般500円 高校生・中学生・小学生300円
内 容: 世界的に活躍するアジア、アフリカ、ラテンアメリカの絵本作家を隔年で表彰する野間国際絵本原画コンクール。2002年に行われた第13回で大賞を受賞したクラウディア・レニャツィ(アルゼンチン)や次席のパク・チョル・ミン(韓国)をはじめ、独創性にあふれる作家たちの原画を紹介する。
参 考: http://www.mnet.ne.jp/~ehon/ajianogengaten2004.htm
 
◎宮城県美術館「おしゃべりな絵 長新太展」
所在地: 宮城県仙台市青葉区川内元支倉34-1
電 話: 022-221-2111
会 期: 平成16年5月23日(日)まで
休館日: 月曜日
入館料: 一般500円 大学生300円 高校生以下無料 団体割引あり
内 容: マンガや絵本、挿絵など幅広い分野で活躍する長新太の、初期から最近の作品まで23タイトル200点の原画を紹介し、「ナンセンス」「ふしぎ」などと評される独特の世界を展望する。
参 考: http://www.pref.miyagi.jp/bijyutu/museum/news/label-top-01.html
 
◎子どもの本のみせ ナルニア国「深い森の中で ロシア絵本の世界」
所在地: 東京都中央区銀座4-5-1 教文館6階
電 話: 03-3563-0730
会 期: 平成16年6月10日(木)まで(無休)
入館料: 無料
内 容: 日本でも長く愛されてきたラチョフの『てぶくろ』(うちだりさこ訳/福音館書店)やバスネツォフの『3びきのくま』(おがさわらとよき訳/福音館書店)などロシアの絵本を紹介。ギャラリーのナルニアホールでは、ユーリー・ノルシュテンがアニメーション映画にした『きりのなかのはりねずみ』と『きつねとうさぎ』(ともに、こじまひろこ訳/福音館書店)、『アオサギとツル』(こじまひろこ訳/未知谷)の原画を3期に分けて展示する。
参 考: http://www.kyobunkwan.co.jp/
 
 上記以外のものもやまねこ翻訳クラブのホームページで随時紹介しています。
「速報(イベント情報)」をご覧ください。http://www.yamaneko.org/event/

(笹山裕子/清水陽子)



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●セミナー・講演会情報●

◎清水真砂子講演会「今、子どもの本にできること」
講 師: 清水真砂子(翻訳家)
場 所: 鳥取県立図書館(鳥取県鳥取市尚徳町101)
日 時: 平成16年5月23日(日) 14:00〜16:00
参加費: 無料
問合せ: 鳥取県立図書館 TEL(0857-26-8155)
詳 細: http://www.library.pref.tottori.jp/
 
◎第1期ふくしま絵本ゼミ 第2回「絵本は親子の生きる力」
講 師: 松居直(児童文学家)
場 所: 郡山ユラックス熱海(福島県郡山市熱海町熱海2-148-2)
日 時: 平成16年5月29日(土) 13:30〜16:00
参加費: 3000円 テキスト代別途1600円(当日販売)
問合せ: 福島こどものとも社 TEL(024-951-2697) 担当 上野良一
備 考: 満席の場合、当日チケットはなし。前日までに問合せのこと。
テキストには『絵本のよろこび』(松居直著/NHK出版)を使用。
詳 細: http://www.fukuinkan.co.jp/event/index.html#event
 
◎大阪YWCA専門学校 子どもと子どもの本の講座
内 容: 「児童文学を深く味わう」(全6回コース)
第1回 5月31日(月) 13:00〜15:00
講師 上田由美子(大阪YWCA千里子ども図書室代表)ほか
受講料 15000円
「いろいろな作品の魅力をさぐる」(全4回コース)
第1回 6月14日(月) 13:00〜15:00
講師 太田三紀子(大阪YWCA千里子ども図書室)
受講料 10000円
場 所: 大阪YWCA専門学校(大阪府大阪市北区神山町11-12)
その他: 部分受講可能。その場合の参加費は(回数×2500円+2000円手数料)会員割引あり。
定 員: 30名
申込み: TEL(06-6361-2955)/FAX(06-6361-2997)/E-mail(college@osaka.ywca.or.jp)で予約の上申込む。
詳 細: http://osaka.ywca.or.jp/college/course/children.html#jidou

(井原美穂/奈良久子)



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●世界の児童文学賞●
第28回 ニュージーランド・ポスト児童書及びYA小説賞(ニュージーランド)
〜ニュージーランドの児童文学を子どもたちに広めるための賞〜

 
■概要
名称:ニュージーランド・ポスト児童書及びヤングアダルト(YA)小説賞
   (New Zealand Post Book Awards for Children & Young Adults)
                (※2 賞の新しい名称について:2010年6月追記)
対象:ニュージーランド出身または帰化・移住した作家および画家による作品
部門:絵本/児童読み物/YA小説/ノンフィクション
創設:1990年
主催:ブックセラーズ・ニュージーランド(Booksellers New Zealand)
後援:ニュージーランド・ポスト(New Zealand Post)
協力:クリエイティブ・ニュージーランド(Creative New Zealand)
   ブック・トークンズ(ニュージーランド)社(Book Tokens (NZ) Ltd)
発表:毎年5月(2004年は13日。候補作の発表は毎年1月下旬〜2月上旬)
関連サイト: http://www.booksellers.co.nz/

 1982年創設の賞(※)に端を発する本賞は、1990年からブックセラーズ・ニュージーランドが運営団体となったのを機に、後援会社 AIM Toothpaste にちなんで The AIM Children's Book Awards に改称。毎年秋開催の全国的な行事である Children's Book Festival で発表が行われることとなった。1997年に New Zealand Post が後援を引き継いで New Zealand Post Children's Book Awards となり、2004年、日程等の変更とともに現在の名称に変わった。授賞の目的は、ニュージーランドの良質な児童文学を広め、その作者や画家の業績を称えることである。

 対象となるのは、前年にニュージーランドで出版された児童書。絵本、児童読み物(5〜12歳向け)、YA小説(13歳以上向け)、ノンフィクションの4部門から各5作が候補に挙げられたうえで、各部門の受賞作が決まる。さらに、4受賞作の中から最優秀図書賞(New Zealand Post Book of the Year)が選ばれる。審査は、児童文学関連の知識と経験の豊富な図書館員や作家など数名によって行われる。あらすじや登場人物の魅力(ノンフィクションの場合は内容の信憑性)、言葉や絵の用い方、作品の普遍性などが審査基準となる。この他、全20候補作を対象に子どもたちが投票で 選ぶ Children's Choice Award がある。

(※)一般的に New Zealand Children's Book of the Year と呼ばれるが、資料によって New Zealand Government Publishing Awards や Government Printer Awards などの名称も見られ、定かでない。

※2) やまねこ翻訳クラブでは賞の名称を「ニュージーランド・ポスト児童書及びヤングアダルト(YA)小説賞」としていたが、2010年より、賞の公式ウェブサイトでの表記にあわせて「ニュージーランド・ポスト児童図書賞」(New Zealand Post Children's Book Awards)とした。 (2010年6月追記)


◆2004年の受賞者(2004年5月13日発表)
 上記 URL または下記【参考】記載のリスト参照。◎は最優秀図書賞受賞作。

○絵本部門
 Pamela Allen "CUTHBERT'S BABIES"
○児童読み物部門
 V. M. Jones "JUGGLING WITH MANDARINS"
○YA小説部門
 Ted Dawe "THUNDER ROAD"
◎ノンフィクション部門
 Janet Hunt "A BIRD IN THE HAND: Keeping New Zealand Wildlife Safe"

 なお、Children's Choice Award には、絵本部門候補作の "OH HOGWASH, SWEET PEA!"(Ngareta Gabel 作/Ali Teo & Astrid Jensen 絵)が選ばれた。


◇過去の主な受賞者

○Robert Sullivan(ロバート・サリヴァン)

 2003年、"Weaving Earth and Sky: Myths and Legends of Aotearoa"(Gavin Bishop 絵) がノンフィクション部門の受賞作となり、同時に最優秀図書賞も獲得した。ニュージーランドの先住民マオリの詩人で、ポリネシアの現代詩人たちの作品を集めた詩集や、キャプテン・クックの探検をテーマにした歌劇風の長い詩の本などを発表している。 (参考サイト:http://www.nzepc.auckland.ac.nz/authors/sullivan/

○Joy Cowley(ジョイ・カウリー)

 2002年に、文を担当した "Brodie"(Chris Mousedale 絵)が絵本部門の受賞作になったほか、2001年には "Shadrach Girl"、1999年には "Starbright and the Dream Eater"、1998年には "Ticket to the Sky Dance" が児童読み物部門の受賞作となった。邦訳に、本賞の発端となった賞を受賞した『サンゴしょうのひみつ』(原題 "The Silent One"/百々佑利子訳/冨山房)などがある。
(参考サイト:http://www.joycowley.com/


【参考】
◇過去の受賞作リスト(やまねこ翻訳クラブ資料室)
http://www.yamaneko.org/bookdb/award/nz/nzp/index.htm

◇2002年児童読み物部門受賞作 "Recycled"(Sandy McKay 作)のレビュー
                         (本誌2003年5月号書評編)
http://www.yamaneko.org/mgzn/dtp/2003/05b.htm#myomi
                                
(須田直美)




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今月は賞情報が盛りだくさんです。カ・グ賞予想も楽しいかも。まずは特設掲示板にいかなくちゃ。みなさんもいかがですか?(に)

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