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やまねこ10周年記念「世界の児童文学賞ラリー」レビュー集 ネスレ子どもの本賞(イギリス) レビュー集
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最終更新日 2008/12/17 やまねこ賞の情報を追加
0〜5歳部門レビュー集 / 6〜8歳部門レビュー集 / 9〜11歳部門レビュー集 |
このレビュー集について
10周年記念「世界の児童文学賞ラリー」においてやまねこ会員が個々に書いたレビューを、各児童文学賞ごとにまとめました。メ ールマガジン「月刊児童文学翻訳」や「やまねこのおすすめ」などに掲載してきた〈やまねこ公式レビュー〉とは異なる、バラエティーあふれるレビューをお楽しみください。
なお、レビューは注記のある場合を除き、邦訳の出ている作品については邦訳を参照して、邦訳の出ていない作品については原作を参照して書かれています。
"The Diamond of Drury Lane" * "Keeper"『キーパー』 * "Journey to the River Sea"『夢の彼方への旅』←追加
2006年ネスレ子どもの本賞(旧スマーティーズ賞)9〜11歳 部門金賞
"The Diamond of Drury Lane" (2006) by Julia Golding ジュリア・ゴールディング (未訳読み物) |
その他の受賞歴 |
舞台は18世紀の英国、ロンドン。赤ん坊のころ、ドルーリーレーン劇場の前に捨てられていたキャットは、劇場支配人に拾われて以来、この劇場で生活している。ある日、キャットは、支配人のある秘密を知る。支配人は、劇場内にダイアモンドを隠しているというのだ。秘密めいた脚本家ジョニー、黒人の天才少年音楽家ペドロ、下町の青年ギャングのボス、シドとビリー、そして、公爵家の子息フランシスと令嬢エリザベス。彼らとともに、キャットは、劇場内に隠されたダイアモンドを巡る事件に巻き込まれていく。果たして、ダイアモンドは本当に存在するのか? キャットは、ダイアモンドを守りきれるのか? ロンドンの下町と上流社会を舞台に、キャットの冒険が始まる。 キャットは、孤児であるがゆえに自分のアイデンティティーを確立できず、自分を取るにたりない存在だと思い込んでいた。そんな彼女が、ダイアモンドを巡る事件で、たくさんの友情と愛情を認識するようになる。自分がみんなにとってかけがえのない存在だと知ったときのキャットの気持ちを思うと、胸が熱くなった。最後の最後までいろんなどんでん返しが用意されており、章を追うごとにページを繰る手がどんどん早くなっていく秀逸な作品だ。 (村上利佳) 2008年5月公開 |
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2004年スマーティーズ賞( 現ネスレ子どもの本賞)9〜11歳部門銅賞
"Keeper" (2003) by Mal Peet
マル・ピート作 『キーパー』 池 央耿訳 評論社 2006 |
その他の受賞歴 |
(このレビューは、英語版を参照して書かれています) 南米一のサッカー記者パウル・ファウスティーノは、世界最強のゴール・キーパー、エル・ガトの独占インタビューを始めようとしていた。机の上に置かれたテープレコーダーの横では、代表チームがわずか2日目に勝ち取ったワールドカップが、金色の光をはなっている。エル・ガトは、ジャングルに囲まれた村の貧しい木材伐採人の息子として育った。しかし彼がポツリポツリと語り始めた少年時代の出来事は、世にも不思議な、思いがけないものだった。 冒頭から、すっと物語の世界に引き込まれ、本を置いたときには、さわやかな読後感に満たされていた。背が高く、やせっぽちで、「コウノトリ」というあだ名で呼ばれていた少年が、ジャングルの中で「キーパー」と出会い、一流のゴール・キーパーへと成長して行く物語は、作者のマル・ピートがその場にいたのではと感じさせるほど、臨場感に満ちていた。サッカー記者とのインタビューという形式をとり、何度も過去にフラッシュバックする手法が非常に効果的だと思う。平易な言葉で書かれていて読みやすいので、日ごろあまり本を読まない若者たちにもオススメだ。サッカー・ファン必読のファンタジー。 (大塚道子) 2008年5月公開 |
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2001年スマーティーズ賞(現ネスレ子どもの本賞)9〜11歳部門金賞
"Journey to the River Sea"(2001) by
Eva Ibbotson
エヴァ・イボットソン←追加 『夢の彼方への旅』 三辺律子訳 偕成社 2008.06 |
やまねこ公式レビュー
レビュー(月刊児童文学翻訳2001年11月号) その他の受賞歴 |
ロンドンの名門女子高に在籍するマイアは、明るく聡明な女の子だった。二年前に両親を列車事故で失ってからも、前向きに毎日を懸命に努力して生きてきた。そんなところへ彼女の後見人は、遠い親戚にあたる家族を見つけてきたのだ。なんと彼らは未開地ブラジルのジャングルに住んでいるという。双子の姉妹がたった数行書いてよこした手紙にも、マイアは創造力を膨らませ、限りない夢と期待を込めて、遥か遠い国に住む親戚を思いやる。 すべてのものにまっすぐな好奇心と偏見のない目を持ち、瞳を輝かせながら、新しい世界に飛び込んでいくマイアは、素晴らしい女性だ。その彼女の浮き足立ってしまいがちな気持ちに、しっかり錨をつけるミントン先生。二人は抜群の組み合わせと言えるだろう。期待でいっぱいのマイアの前に登場するカーター家の双子は、こんなお話にぴったり過ぎるぐらいぴったりのはまり役。イボットソンは、小公子と小公女と、シンデレラを下敷きにこの物語の構想を練ったのではないかと思うほどだ。つまり、小公子としても、小公女としても、シンデレラとしても、お話の山があるってこと。最後に行き着くまでに、読者は最低三回はドキドキを経験できるという大変嬉しい(大変お買い得な)物語なのだ。 (尾被ほっぽ) 2008年11月公開 |
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