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やまねこ10周年記念「世界の児童文学賞ラリー」レビュー集
コールデコット賞(アメリカ) レビュー集 |
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最終更新日 2008/12/05 その2を新規作成、レビューを2点追加
1930・40年代レビュー集
/ 1950・60年代レビュー集 (その1) (その2) /
1970・80年代レビュー集 (その1 その2) / 1990・2000年代レビュー集 (その1 その2) |
このレビュー集について
10周年記念「世界の児童文学賞ラリー」においてやまねこ会員が個々に書いたレビューを、各児童文学賞ごとにまとめました。メ ールマガジン「月刊児童文学翻訳」や「やまねこのおすすめ」などに掲載してきた〈やまねこ公式レビュー〉とは異なる、バラエティーあふれるレビューをお楽しみください。
なお、レビューは注記のある場合を除き、邦訳の出ている作品については邦訳を参照して、邦訳の出ていない作品については原作を参照して書かれています。
コールデコット賞1990・2000年代レビュー集その1 "The Hello, Goodby Window"『こんにちは・さようならのまど』 * "Rosa"『ローザ』 * "Zen Shorts"『パンダのシズカくん』 * "The Red Book"『レッド・ブック』 * "Owen"『いつもいっしょ』 * "Black and White" * "Zin! Zin! Zin! A Violin"『ツィン! ツィン! ツィン! おたのしみの はじまり はじまり』 * "Mirette on the High Wire" * "The Talking Eggs" * "Don't Let the Pigeon Drive the Bus ! "『ハトにうんてんさせないで』
コールデコット賞1990・2000年代レビュー集その2 "The Three Pigs"『3びきのぶたたち』 * "Lon Po Po"『ロンポポ』追加 * "Golem"『土でできた大男ゴーレム』追加 *
2002年 コールデコット賞受賞作
"The Three Pigs" (2001)
David Wiesner
デイヴィッド・ウィーズナー 作 『3びきのぶたたち』 江國香織訳 BL出版 2002年 |
やまねこ公式レビュー 月刊児童文学翻訳2002年2月号 その他の受賞歴 2003年ドイツ児童文学賞 絵本部門ノミネート作品 |
(このレビューは、英語版を参照して書かれています) 昔々あるところに三匹のブタがいた。一匹目はわらで家を建て、二匹目は木の枝で家を建て、三匹目はレンガの家を建てた。オオカミがやってきて、わらの家を吹き飛ばし、あわれな一匹目はオオカミの餌食となった……のは、昔のお話。オオカミの吹いた息があまりに強かったので、ブタはお話の外へと飛ばされてしまったのだった。一匹目は他の二匹も救い出し、三匹のブタは絵本の外の広い世界を旅してまわる。あるところでは、バイオリンをひく猫にあい、またある山の上では黄金のバラを守る竜にあった。
昔話をもとにリメイクした物語は、いろいろあるが、どんなふうに料理された一品となるのか、それぞれの作家のお手並みを見るのはほんとうに楽しい。なるほど、こうきますか! お話の挿絵であった状態と、その外へ抜け出したあと、また最初のお話と次のお話、それぞれ絵のタッチが違い、書き分けてある。楽しい! 読者の一体感がいや増すこと間違いない。 (尾被ほっぽ) 2008年12月公開 |
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1990年 コールデコット賞オナーブック
"Lon Po Po"(1989) by Ed Young エド・ヤング
追加 『ロンポポ』 藤本朝巳訳 古今社 1999年 |
やまねこ公式レビュー レビュー(月刊児童文学翻訳2000年3月号) その他の受賞歴 1990年ボストングローブ・ホーンブック賞受賞絵本部門 |
(このレビューは、英語版を参照して書かれています) むかしむかし、3人姉妹のシャン、タオ、パオツェはお母さんと一緒に暮らしていました。ある日、お母さんはおばあさんのおたんじょう日を祝うために、出かけていきました。留守番をしている3人のもとに、おばあさんに化けたオオカミがやってきます。お母さんの言いつけどおり、きちんと鍵をかけていたのに、タオとパオツェがオオカミにだまされて、家のドアを開けてしまいました! 副題にA Red-Riding Hood Story from Chinaとあるとおり、中国の昔話である。内容は「オオカミと7ひきの子ヤギ」によく似ているが、姉妹がオオカミに、どうしてそんなに低い声なのか、どうしてそんなに毛深いのか、と一連の質問をする場面は、「赤ずきんちゃん」を思わせる。この昔話を盛り上げているのは、迫力満点の絵だ。オオカミの鋭い瞳や姉妹の緊迫した表情には、思わずぞくっとさせられる。一度見たら忘れられない、力のある絵だ。幼い子どもは怖がりつつも、目が離せないのではないだろうか。ちなみに、この話でオオカミを首尾よく出し抜きやっつけるのは、長女のシャンである。末っ子が活躍する昔話が多いなか、この結末は意外だと思った。 (佐藤淑子) 2009年4月公開 |
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1997年 コールデコット賞受賞作
"Golem"(1996) by
David
Wisniewski
デイヴィッド・ウィスニーウスキー(ウィズネスキー)
追加 『土でできた大男ゴーレム』 まつなみふみこ訳 新風舎 2000年 |
その他の受賞歴 |
(このレビューは、英語版を参照して書かれています) 1580年プラハに住むユダヤ人たちにとって、ひどいデマが流れ始めた。過ぎ越しの祭りで用意される特別なパンに、子どもの血が混じっているというのだ。悪意のあるデマは力を持ち、ユダヤ人たちは周囲を壁に囲まれたゲットーに押しやられる。ラビは光の手が現れる夢を見て、手が指し示した文字「ゴーレム」を作ることを決心する。土から作られた巨人ゴーレムはユダヤ人の安全を守るため働き、その使命を見事に果たす。しかし、朝焼けの美しさにふれ、生きることの貴重さを知ったゴーレムは……。
切り絵の迫力が素晴らしい。ゴーレムが形作られ、ラビの言葉によって命を持ち、立ち上がる場面は、風や雷の音まで聞こえてきそうなほど迫力満点だ。古い白黒映画でフランケンシュタインが作られる場面を思い出す。 (尾被ほっぽ) 2009年4月公開 |
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